中国工場の実状を知る 中国工場の品質改善(その43)

更新日

投稿日

生産マネジメント

 前回のその42に続いて解説します。

【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方

【3.10 品質課題解決の順序】

(2)どの不良から手をつけるか

① 不良の流出を止める

 この方法については、取引先改善指導のポイントのところで詳しく説明します。

② 不良の発生を止める

 不良の発生低減に取り組む時にどの不良から取り組むのかを決めなくてはなりません。すべての不良を一度になくすことは、工数も限られておりできません。ですので、感覚やイメージに惑わされることのないようにきちんとデータを取って、パレート分析を行い、取り組む優先順位を決めます。例えば不良率の高い項目から取り組む、または不良率はそれほど高くはないが金額的に損失の大きい不良を潰すなどメリットの大きい不良の低減から取り組むようにします。これは日本の工場と同じやり方です。

 付け加えると、このようなパレート分析や取組む優先順位の付け方も中国人スタッフに教え、出来るように育成します。

【事例:例外はある】

 中国工場の多くは不良の流出を止めることから始めます。しかし工場の状況によっては、それでは問に合わない場合もあります。そのような際は不良の流出を止め、不良の発生をなくすことの双方を同時に進めなくてはなりません。

 ここで紹介するのは、ちょうど本書の執筆中に出合った工場の事例です。※人以外の出会いはすべて「出合い」です。

 自動車向けの内装部品を生産している日系中国工場では、外観不良多発による歩留まり低下と不良流出で起きる代替品の生産や輸送にかかる経費で慢性的な赤字となっていました。

 外観不良の顧客への流出が止まらない状態なので、クレーム対応に追われ本来の業務が出来ない状態でした。まずは外観不良の流出を止めることを早急に対応しなくてはなりません。一方で不良発生による歩留まりの低下も深刻で流出を止めるだけでは、赤字の解消はできませ...

生産マネジメント

 前回のその42に続いて解説します。

【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方

【3.10 品質課題解決の順序】

(2)どの不良から手をつけるか

① 不良の流出を止める

 この方法については、取引先改善指導のポイントのところで詳しく説明します。

② 不良の発生を止める

 不良の発生低減に取り組む時にどの不良から取り組むのかを決めなくてはなりません。すべての不良を一度になくすことは、工数も限られておりできません。ですので、感覚やイメージに惑わされることのないようにきちんとデータを取って、パレート分析を行い、取り組む優先順位を決めます。例えば不良率の高い項目から取り組む、または不良率はそれほど高くはないが金額的に損失の大きい不良を潰すなどメリットの大きい不良の低減から取り組むようにします。これは日本の工場と同じやり方です。

 付け加えると、このようなパレート分析や取組む優先順位の付け方も中国人スタッフに教え、出来るように育成します。

【事例:例外はある】

 中国工場の多くは不良の流出を止めることから始めます。しかし工場の状況によっては、それでは問に合わない場合もあります。そのような際は不良の流出を止め、不良の発生をなくすことの双方を同時に進めなくてはなりません。

 ここで紹介するのは、ちょうど本書の執筆中に出合った工場の事例です。※人以外の出会いはすべて「出合い」です。

 自動車向けの内装部品を生産している日系中国工場では、外観不良多発による歩留まり低下と不良流出で起きる代替品の生産や輸送にかかる経費で慢性的な赤字となっていました。

 外観不良の顧客への流出が止まらない状態なので、クレーム対応に追われ本来の業務が出来ない状態でした。まずは外観不良の流出を止めることを早急に対応しなくてはなりません。一方で不良発生による歩留まりの低下も深刻で流出を止めるだけでは、赤字の解消はできません。そこで私はこの工場では不良の流出防止と発生防止の両方を同時に進めることが必要と判断しました。それぞれの問題点を層別していくと様々な要因が見えてきましたので、対応部門を決めて進めることにしました。

 次回は、3.11 品質課題解決の進め方、から解説を続けます。

【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行、筆者のご承諾により抜粋を連載 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
作業標準書について(その2)

【目次】 1.作業標準書について 2.作業標準書の項目の記述内容 3.作業標準書の有効な使い方    作業標準書について、前回...

【目次】 1.作業標準書について 2.作業標準書の項目の記述内容 3.作業標準書の有効な使い方    作業標準書について、前回...


通箱の工夫で工数と経費削減 レイアウトと物流(その10)

  1.搬送自体の付加価値はないが、経費は発生する 生産工程における付加価値というお金を生む工程は、加工や組立工程のみになります。しかも...

  1.搬送自体の付加価値はないが、経費は発生する 生産工程における付加価値というお金を生む工程は、加工や組立工程のみになります。しかも...


会社を変える改善 儲かるメーカー改善の急所101項(その24)

2.モノづくり〈現場改善の基本〉 ◆ 会社を変える改善  よくある改善の仕組みで「改善提案制度」というものがあります。  仕事をやり易くしたり、...

2.モノづくり〈現場改善の基本〉 ◆ 会社を変える改善  よくある改善の仕組みで「改善提案制度」というものがあります。  仕事をやり易くしたり、...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
完璧な作業標準。でも実際は

1.事例:中国企業の工場  ものづくりの現場に作業標準または作業手順書は必須です。ないとどうなるかを考えてみれば、必須の理由がおのずとわかります。 ...

1.事例:中国企業の工場  ものづくりの現場に作業標準または作業手順書は必須です。ないとどうなるかを考えてみれば、必須の理由がおのずとわかります。 ...


各種5軸マシニングを活かしたデータ作成方法 伸びる金型メーカーの秘訣 (その37)

        今回、紹介する加工メーカーは、Y産業株式会社です。同社は自動車部品製造において、量産から試作...

        今回、紹介する加工メーカーは、Y産業株式会社です。同社は自動車部品製造において、量産から試作...


提案制度の考察、参加しやすいルールとは、継続できるしくみとは

      1. 参加しやすいルールとは メーカーでは全従業員が毎月何かしらの提案を行っている会社が多いと思います。メーカーで...

      1. 参加しやすいルールとは メーカーでは全従業員が毎月何かしらの提案を行っている会社が多いと思います。メーカーで...