中国と日本企業の違いとは 中国工場の品質改善(その56)

更新日

投稿日

サプライチェーンマネジメント

【中国工場の品質改善 連載全84回から各章の冒頭ページ 】

 前回のその55に続いて解説します。

【第4章】中国新規取引先選定のポイント

4.1 中国企業と日本企業の違いを認識

 中国企業と取り引きをする時に気を付けるべきことは「中国企業は日本企業とは違う」という認識を持つ必要があることです。私が講師のセミナーで「中国企業と日本企業の違いは何か、何でもいいからあなたが経験したことや感じたことを言ってください」と受講者に聞くと、次のような回答がありました。

 経営者に関しての違い

 社長自身の利益が大事/従業員を大事にしない
 中国企業の商談(改善も含む)はトップがやる/判断基準がお金

 意識に関して

 

 不良を出しても悪いと思っていない/不良品を平気で納入する
 創意工夫がない/納期を守る意識が薄い
 ルールを守らない/安全意識が低い
 愛社精神が高い(日本)、低い(中国)/中国視線でしかものを見ない
 相手のことを考えない/価値観が違う
 手順を守らず不良を作る/従業員の定着が違う

 品質(良・不良の基準)に関して

 品質基準が低い/良品に対する認識が違う
 外観に対する感覚が違う/使用上の問題がなければOK
 梱包箱のへこみ、虫の混入など気にしない

 対応に関して

 何でもできると言う/同じ失敗を繰り返す
 顧客要求を満たす(日本)、自己都合で対応(中国)/不良を他人のせいにする
 問合せに対するレスポンスが遅い/中国企業は社内の連携がない
 問題の原因がいつも不明/分からないで終わってしまう
 水平展開ができない

 その他

 人との関係を大事にする/特許関係なく真似する
 話が進むうちにリスクは日本側が持たされる/日本側にその場で判断を求められる

◆ 違いを会社全体で共有する

 このような違いの認識は中国企業との取り引きで矢面に立つ人、例えば、窓口となる購買部門や品質問題に対応する品管部門の担当者は十分持っています。しかし、大事なことは会社全体でこうした中国企業と日本企業との違いを共有化することです。そうでないと、会社上層部や他の部門から「どうして問題が起きるんだ」、「品質がちっとも良くならないが何をやっているんだ」などと責められることになってしまいます。

 会社全体で日本企...

サプライチェーンマネジメント

【中国工場の品質改善 連載全84回から各章の冒頭ページ 】

 前回のその55に続いて解説します。

【第4章】中国新規取引先選定のポイント

4.1 中国企業と日本企業の違いを認識

 中国企業と取り引きをする時に気を付けるべきことは「中国企業は日本企業とは違う」という認識を持つ必要があることです。私が講師のセミナーで「中国企業と日本企業の違いは何か、何でもいいからあなたが経験したことや感じたことを言ってください」と受講者に聞くと、次のような回答がありました。

 経営者に関しての違い

 社長自身の利益が大事/従業員を大事にしない
 中国企業の商談(改善も含む)はトップがやる/判断基準がお金

 意識に関して

 

 不良を出しても悪いと思っていない/不良品を平気で納入する
 創意工夫がない/納期を守る意識が薄い
 ルールを守らない/安全意識が低い
 愛社精神が高い(日本)、低い(中国)/中国視線でしかものを見ない
 相手のことを考えない/価値観が違う
 手順を守らず不良を作る/従業員の定着が違う

 品質(良・不良の基準)に関して

 品質基準が低い/良品に対する認識が違う
 外観に対する感覚が違う/使用上の問題がなければOK
 梱包箱のへこみ、虫の混入など気にしない

 対応に関して

 何でもできると言う/同じ失敗を繰り返す
 顧客要求を満たす(日本)、自己都合で対応(中国)/不良を他人のせいにする
 問合せに対するレスポンスが遅い/中国企業は社内の連携がない
 問題の原因がいつも不明/分からないで終わってしまう
 水平展開ができない

 その他

 人との関係を大事にする/特許関係なく真似する
 話が進むうちにリスクは日本側が持たされる/日本側にその場で判断を求められる

◆ 違いを会社全体で共有する

 このような違いの認識は中国企業との取り引きで矢面に立つ人、例えば、窓口となる購買部門や品質問題に対応する品管部門の担当者は十分持っています。しかし、大事なことは会社全体でこうした中国企業と日本企業との違いを共有化することです。そうでないと、会社上層部や他の部門から「どうして問題が起きるんだ」、「品質がちっとも良くならないが何をやっているんだ」などと責められることになってしまいます。

 会社全体で日本企業との違いを認識して「だから中国企業との取引は大変なんだ」、「全社で力を合わせて中国企業の部材を使いこなすようにしていこう」といった状態にしていくことが必要です。

 ここに挙げたのは、どれも受講者白身が中国企業との取り引きを通して体験したことであり、お読みになった方も「そうだ」と感じるものが多くあったのではないでしょうか。

 次回は、4.2 意識のずれを解消する。から解説を続けます。

 【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行、筆者のご承諾により抜粋を連載 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ものづくり工場の日常管理のしくみ(その4)

◆報連相を定着させるには(製造業の工場品質改善の進め方・事例の解説)    強い組織作りに欠かせない「報・連・相」について解説します。 ◆...

◆報連相を定着させるには(製造業の工場品質改善の進め方・事例の解説)    強い組織作りに欠かせない「報・連・相」について解説します。 ◆...


小さなことでも徹底的に形にしてみる 現場改善:発想の転換(その11)

   工場の経営者から現場の従業員の方を対象として、現場改善:発想の転換をテーマに連載で解説します。固定観念を打ち崩しながら現場改善に留(...

   工場の経営者から現場の従業員の方を対象として、現場改善:発想の転換をテーマに連載で解説します。固定観念を打ち崩しながら現場改善に留(...


原価管理と部品表

  1. BOM(部品表)  BOM(Bill Of Material: 部品表)は製品製造に必要な部品や材料を、その製品に紐づけて情報管理...

  1. BOM(部品表)  BOM(Bill Of Material: 部品表)は製品製造に必要な部品や材料を、その製品に紐づけて情報管理...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
業者の規模による評価の違いとは 中国企業の壁(その51)

        日本品質を目指している中国企業A社では、前年の製品品質データをまとめたところ、大きな損失を出した3件の顧客クレームの主要因が外部から...

        日本品質を目指している中国企業A社では、前年の製品品質データをまとめたところ、大きな損失を出した3件の顧客クレームの主要因が外部から...


業務効率化による生産性革命の危険性

 政府は「生産性革命」と称して労働生産性(一人当たり付加価値額)向上を図ろうといています。生産性が改善しなければ日本の経済成長性を示すGDP(国内の付加価...

 政府は「生産性革命」と称して労働生産性(一人当たり付加価値額)向上を図ろうといています。生産性が改善しなければ日本の経済成長性を示すGDP(国内の付加価...


多能工育成の手順

 多能工の育成手順について考察してみます。  「多能工化、進めないといけないのはわかっちゃいるけど、なかなかうまく進まないな」という企業は大変多いと思い...

 多能工の育成手順について考察してみます。  「多能工化、進めないといけないのはわかっちゃいるけど、なかなかうまく進まないな」という企業は大変多いと思い...