日本企業の違い 中国工場の品質改善(その58)

更新日

投稿日

中国

 前回のその57に続いて解説します。

【第4章】中国新規取引先選定のポイント

◆ 中国企業と生じる意識のずれ

 中国と日本では常識や考え方の基準、物差しが違っているのですから、ずれが生じます。また、製造業の歴史が長い日本では製造業として当たり前にやること、やらなければならないことが企業に染み付いているといえます。しかし歴史の浅い中国では、製造業としての当たり前が身に付いていません。そうしたことを理解させ、実施してもらうことが必要になります。

(1)品質に対する考え方

 まず不良が出たときの対応に大きな違いがあります。

 中国企業の場合、不良が出たら良品と取り換えれば良いと考えている会社がまだまだ少なくありません。しかし買う側が求めているのは、単なる交換ではないですね。不良の原因を調べて単発の不良なのか、他のロットに波及する可能性があるのかなどの情報が欲しい訳です。日本企業なら、そうして情報を提供してくれます。

(2)外観の品質基準

 日本ではどう見ても不良と判断されるような外観不良が中国企業から納入されることが少なくありません。中国と日本では、外観品質に関する認識は大きく違います。もっとも、これは中国だけに限ったことではなく、日本人が求める外観品質は、世界一厳しいと考えて間違いありません。みなさんも実感されていると思います。ですから、どこの海外工場であっても外観品質に対する許容値は日本より甘いといえます。

(3)スペックのうたい方

 自社製品のスペックの設定にも中国企業と日本企業とでは違いがあるように思います。筆者が在籍していた会社では顧客に保証するスペックを設定する場合、実力値に対して十分なマージンを取っていました。余程のことがない限り不良にはならないような設定でした。

 一方競合の中国企業は、自社製品の実力値をそのままスペックとして設定していました。仮に両社の実力値が同じだった場合、実力値をそのままうたった中国企業の方がハイスペックに見えます。買う側としては、ハイスペックの方が望ましいのですから、中国企業の製品を選びたくなるのは当然といえるでしょう。

 ただし気を付けなければいけないのは、実力値をそのまま表示した場合、スペックに余裕がないので...

中国

 前回のその57に続いて解説します。

【第4章】中国新規取引先選定のポイント

◆ 中国企業と生じる意識のずれ

 中国と日本では常識や考え方の基準、物差しが違っているのですから、ずれが生じます。また、製造業の歴史が長い日本では製造業として当たり前にやること、やらなければならないことが企業に染み付いているといえます。しかし歴史の浅い中国では、製造業としての当たり前が身に付いていません。そうしたことを理解させ、実施してもらうことが必要になります。

(1)品質に対する考え方

 まず不良が出たときの対応に大きな違いがあります。

 中国企業の場合、不良が出たら良品と取り換えれば良いと考えている会社がまだまだ少なくありません。しかし買う側が求めているのは、単なる交換ではないですね。不良の原因を調べて単発の不良なのか、他のロットに波及する可能性があるのかなどの情報が欲しい訳です。日本企業なら、そうして情報を提供してくれます。

(2)外観の品質基準

 日本ではどう見ても不良と判断されるような外観不良が中国企業から納入されることが少なくありません。中国と日本では、外観品質に関する認識は大きく違います。もっとも、これは中国だけに限ったことではなく、日本人が求める外観品質は、世界一厳しいと考えて間違いありません。みなさんも実感されていると思います。ですから、どこの海外工場であっても外観品質に対する許容値は日本より甘いといえます。

(3)スペックのうたい方

 自社製品のスペックの設定にも中国企業と日本企業とでは違いがあるように思います。筆者が在籍していた会社では顧客に保証するスペックを設定する場合、実力値に対して十分なマージンを取っていました。余程のことがない限り不良にはならないような設定でした。

 一方競合の中国企業は、自社製品の実力値をそのままスペックとして設定していました。仮に両社の実力値が同じだった場合、実力値をそのままうたった中国企業の方がハイスペックに見えます。買う側としては、ハイスペックの方が望ましいのですから、中国企業の製品を選びたくなるのは当然といえるでしょう。

 ただし気を付けなければいけないのは、実力値をそのまま表示した場合、スペックに余裕がないのでちょっとのバラツキでスペックを外れる、つまり不良判定となるということです。購入品に不良が発生すれば、その処置や対応には相応の工数が掛りますし、購入先中国企業の対応次第では、その手間が増すことになります。実力値=スペックとしている場合、こうしたことが頻繁に発生する可能性があることを認識しておく必要があります。

 次回に続きます。

 【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行、筆者のご承諾により抜粋を連載 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ゴミを部品として考える レイアウトと物流(その7)

  1.ゴミを捨てるにも工数や費用がかかっている 部品を作る過程で哀れにも部品に至らなかった残りモノは、役目を終えたとたんにゴミと称され...

  1.ゴミを捨てるにも工数や費用がかかっている 部品を作る過程で哀れにも部品に至らなかった残りモノは、役目を終えたとたんにゴミと称され...


理想的な設備ライン 儲かるメーカー改善の急所101項(その53)

5、設備を改善する基本 ◆ 理想的な設備ライン  工場見学をしていると、時々変なレイアウトがされた現場に出合うことがあります。  離れている工程...

5、設備を改善する基本 ◆ 理想的な設備ライン  工場見学をしていると、時々変なレイアウトがされた現場に出合うことがあります。  離れている工程...


生産性と効率の違い、個人の仕事効率と会社の生産性との間のギャップ

  日本では「生産性」向上の話で持ちきりです。しかし、今行われている議論はそのほとんどがイメージ先行で、実際の取り組みに繋がらず効果を出す...

  日本では「生産性」向上の話で持ちきりです。しかし、今行われている議論はそのほとんどがイメージ先行で、実際の取り組みに繋がらず効果を出す...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
製造業のIoT活用は時代遅れ

 工作機械見本市に行きました。最近はインダストリー4.0、スマート工場、IoTなどが騒がれています。さぞかし機械メーカはネット活用に力を入れているのかと期...

 工作機械見本市に行きました。最近はインダストリー4.0、スマート工場、IoTなどが騒がれています。さぞかし機械メーカはネット活用に力を入れているのかと期...


多能工育成の手順

 多能工の育成手順について考察してみます。  「多能工化、進めないといけないのはわかっちゃいるけど、なかなかうまく進まないな」という企業は大変多いと思い...

 多能工の育成手順について考察してみます。  「多能工化、進めないといけないのはわかっちゃいるけど、なかなかうまく進まないな」という企業は大変多いと思い...


経営者は積極的に現場へ

 今回は、経営者は積極的に現場へ、と言う論点で、現場診断での事例から解説します。   1. 現場診断事例  私の現場診断での事例を紹介します。あ...

 今回は、経営者は積極的に現場へ、と言う論点で、現場診断での事例から解説します。   1. 現場診断事例  私の現場診断での事例を紹介します。あ...