中国工場の実状を知る 中国工場の品質改善(その47)

更新日

投稿日

中国

 前回のその46に続いて解説します。

【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方

【3.13 顧客工場監査を利用する】

 中国工場の改善に活用したいのが、顧客による工場監査です。

 取引先が中国に生産を移管した時には、品質が心配になるため工場監査を必ず実施すると思います。同じように顧客も中国工場の品質を心配して工場監査を行います。

 工場監査は受ける側からすると準備は大変な上、1日時間は潰れ、顧客から問題点を指摘されれば対応をしなくてはならないので、出来れば受けたくないですね。しかし、顧客がやると言えば受けざるを得ないのが本当のところではないでしょうか。

 工場監査を受けなくてはならないなら、改善の機会と前向きに捉えたいものです。

(1)有効な指摘やアドバイスをもらえる可能性大

 確かに重箱の隅を突くような指摘をされる事もありますが、ポイントを突いた有効な指摘やアドバイスをもらえることも多々あります。

① 見る視点が異なる

 自社と顧客では、工程を見るときの視点が違うことがあります。

 自分たちや業界では当たり前だと思っていたことが、違う業界の顧客から見ると「何であんなことをやっているのだろう?」と指摘され、よくよく検討すると本当にムダな事だったというケースもあります。

② 競合他社の工場も見ている

 顧客は、競合他社の工場も監査しているケースも多く、競合と自社を比較して、良い点や劣る点を指摘してくれることもあります。

 筆者の中国駐在員時代の仕事は、取引先の品質改善だったので工場監査をする側でした。工場監査では、実際に競合他社の状況を話して更なる改善を促すことはやっていました。競合他社が具体的にどのようなやり方を進めているかということは、守秘義務があるので話しをすることはありません。ある工場で総経理が改善によってこれ...

中国

 前回のその46に続いて解説します。

【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方

【3.13 顧客工場監査を利用する】

 中国工場の改善に活用したいのが、顧客による工場監査です。

 取引先が中国に生産を移管した時には、品質が心配になるため工場監査を必ず実施すると思います。同じように顧客も中国工場の品質を心配して工場監査を行います。

 工場監査は受ける側からすると準備は大変な上、1日時間は潰れ、顧客から問題点を指摘されれば対応をしなくてはならないので、出来れば受けたくないですね。しかし、顧客がやると言えば受けざるを得ないのが本当のところではないでしょうか。

 工場監査を受けなくてはならないなら、改善の機会と前向きに捉えたいものです。

(1)有効な指摘やアドバイスをもらえる可能性大

 確かに重箱の隅を突くような指摘をされる事もありますが、ポイントを突いた有効な指摘やアドバイスをもらえることも多々あります。

① 見る視点が異なる

 自社と顧客では、工程を見るときの視点が違うことがあります。

 自分たちや業界では当たり前だと思っていたことが、違う業界の顧客から見ると「何であんなことをやっているのだろう?」と指摘され、よくよく検討すると本当にムダな事だったというケースもあります。

② 競合他社の工場も見ている

 顧客は、競合他社の工場も監査しているケースも多く、競合と自社を比較して、良い点や劣る点を指摘してくれることもあります。

 筆者の中国駐在員時代の仕事は、取引先の品質改善だったので工場監査をする側でした。工場監査では、実際に競合他社の状況を話して更なる改善を促すことはやっていました。競合他社が具体的にどのようなやり方を進めているかということは、守秘義務があるので話しをすることはありません。ある工場で総経理が改善によってこれだけ歩留りが良くなったと自慢げに話をしてきましたが、私は競合他社の歩留まりがもっと良いことを知っていたので、努力したことは認めつつ「他社はもっと高い歩留りですよ」と話し、さらなる改善を促しました。

 次回は、(2) こちらから指摘を依頼する。から解説を続けます。

 【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行、筆者のご承諾により抜粋を連載 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
過剰在庫とは

 企業経営にとって「過剰在庫の増加」は頭の痛い問題です。ところで何が過剰な在庫で、何が過剰でないかはどうやって判断すればいいのでしょうか。当社では在庫分析...

 企業経営にとって「過剰在庫の増加」は頭の痛い問題です。ところで何が過剰な在庫で、何が過剰でないかはどうやって判断すればいいのでしょうか。当社では在庫分析...


現場から人を抜く:現場改善のヒント(その3)

【改善のヒント連載目次】 1. 儲かる現場づくりとは 2. チームとして改善を進める 3. 現場から人を抜く 4. からくり改善とは 5...

【改善のヒント連載目次】 1. 儲かる現場づくりとは 2. チームとして改善を進める 3. 現場から人を抜く 4. からくり改善とは 5...


生産戦略の策定

1.生産戦略とは  「生産」とは、JISの定義によれば「生産要素である素材などの低い価値の経済財を投入して、より高い価値の財に変換する行為または活動」で...

1.生産戦略とは  「生産」とは、JISの定義によれば「生産要素である素材などの低い価値の経済財を投入して、より高い価値の財に変換する行為または活動」で...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
品質改善、現場との関係とは

        今回は、改善活動、定着の初期段階のことです。    生産部門の品質が悪く品質部門で現場改善を行っていて、品質リスクアセスメントで...

        今回は、改善活動、定着の初期段階のことです。    生産部門の品質が悪く品質部門で現場改善を行っていて、品質リスクアセスメントで...


金型メーカー特有の多能工化のメリットとは 伸びる金型メーカーの秘訣 (その43)

   今回、取り上げる金型部品加工メーカーはT鉄工株式会社です。同社は自動車部品で使用されるダイカスト金型の部品加工を主力事業としている。主な...

   今回、取り上げる金型部品加工メーカーはT鉄工株式会社です。同社は自動車部品で使用されるダイカスト金型の部品加工を主力事業としている。主な...


経営者は積極的に現場へ

 今回は、経営者は積極的に現場へ、と言う論点で、現場診断での事例から解説します。   1. 現場診断事例  私の現場診断での事例を紹介します。あ...

 今回は、経営者は積極的に現場へ、と言う論点で、現場診断での事例から解説します。   1. 現場診断事例  私の現場診断での事例を紹介します。あ...