新規開拓のどこを見ればよいか 中国工場の品質改善(その66)

更新日

投稿日

中国

 前回のその65に続いて解説します。

【第4章】中国新規取引先選定のポイント

◆ 立派な作業指導書には要注意

 今後有望と期待されていた中国企業を新規取引先候補の一つとして工場監査を行ったことがありました。その工場は原料ペレットの製造工程とそれを使う成形工程とに大きく分かれていました。原料ペレットの製造工程では、金属の原料粉を粉砕して所定の大きさにした後、樹脂と混合しますが、この工程が成形工程の品質に与える影響が大きく、とても重要になります。原料ペレット製造工程の現場で作業指導書の内容をチェックしたところ、申し分のない内容となっていました。引き続き工程の作業記録をチェックしたのですが、記録から作業が作業指導書通りに行われていないことが分かりました。

 どうしてそのようなことになっているのかを調べていくと、意外なことが判明しました。なんと作業指導書に記載されている通りに作業することが実質的に出来ないことが分かったのです。

 この会社は、まだ設立数年という立ち上げ期にあるが故に、何人かのキーパーソンを技術や品管など専門ごとに置き、すべてを任す体制で運営管理していました。生産を含む技術部門も一人のキーマンが、すべてを見ていました。そのキーマンが理想の作業を実際にできるかどうかを確認せずに記載していたということだったのです。

 このようなこともあるので、作業指導書の内容に問題がない場合でも記録で実施状況を確認することを怠ってはいけないということです。

◆ 検査が機能していること

(1)検査で確実に不良品を検出できること

 製造業においては「不良品ゼロ」を目標にしますが、残念ながら現実には不可能です。発生させてしまった不良品を検査で確実に検出し、後工程や顧客に渡さないことが検査の重要な役割です。実施している検査で不良品を確実に捕まえることができているかどうかをチェックします。

(2)計測機器の校正管理

 計測機器の校正管理は、IS09001の要求事項になっているのでISOを取得している企業であれば、行われているはずです。仮にISOを取得していない中国企業で...

中国

 前回のその65に続いて解説します。

【第4章】中国新規取引先選定のポイント

◆ 立派な作業指導書には要注意

 今後有望と期待されていた中国企業を新規取引先候補の一つとして工場監査を行ったことがありました。その工場は原料ペレットの製造工程とそれを使う成形工程とに大きく分かれていました。原料ペレットの製造工程では、金属の原料粉を粉砕して所定の大きさにした後、樹脂と混合しますが、この工程が成形工程の品質に与える影響が大きく、とても重要になります。原料ペレット製造工程の現場で作業指導書の内容をチェックしたところ、申し分のない内容となっていました。引き続き工程の作業記録をチェックしたのですが、記録から作業が作業指導書通りに行われていないことが分かりました。

 どうしてそのようなことになっているのかを調べていくと、意外なことが判明しました。なんと作業指導書に記載されている通りに作業することが実質的に出来ないことが分かったのです。

 この会社は、まだ設立数年という立ち上げ期にあるが故に、何人かのキーパーソンを技術や品管など専門ごとに置き、すべてを任す体制で運営管理していました。生産を含む技術部門も一人のキーマンが、すべてを見ていました。そのキーマンが理想の作業を実際にできるかどうかを確認せずに記載していたということだったのです。

 このようなこともあるので、作業指導書の内容に問題がない場合でも記録で実施状況を確認することを怠ってはいけないということです。

◆ 検査が機能していること

(1)検査で確実に不良品を検出できること

 製造業においては「不良品ゼロ」を目標にしますが、残念ながら現実には不可能です。発生させてしまった不良品を検査で確実に検出し、後工程や顧客に渡さないことが検査の重要な役割です。実施している検査で不良品を確実に捕まえることができているかどうかをチェックします。

(2)計測機器の校正管理

 計測機器の校正管理は、IS09001の要求事項になっているのでISOを取得している企業であれば、行われているはずです。仮にISOを取得していない中国企業であっても、この校正管理は実施していることが必要です。校正管理ができていないとすれば、検査の信頼院が担保されていないことになります。経営トップや品管責任者が、校正管理の重要性を認識していない場合、取引可否は慎重に判断する必要があります。

 次回は、工場の雰囲気。から解説を続けます。

 【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行、筆者のご承諾により抜粋を連載 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
改善は誰のために行うか 儲かるメーカー改善の急所101項 (その1)

       1. モノづくり〈基本の基本〉   ◆ 改善は誰のために行うか   ...

       1. モノづくり〈基本の基本〉   ◆ 改善は誰のために行うか   ...


チームとして改善を進める:現場改善のヒント(その2)

【改善のヒント連載目次】 1. 儲かる現場づくりとは 2. チームとして改善を進める 3. 現場から人を抜く 4. からくり改善とは 5...

【改善のヒント連載目次】 1. 儲かる現場づくりとは 2. チームとして改善を進める 3. 現場から人を抜く 4. からくり改善とは 5...


「C型PDPC」とは(4) 【快年童子の豆鉄砲】(その86)

  3.「C型PDPC」の使い方 3)各ステップの進め方:【快年童子の豆鉄砲】(その85)からのつづき   【この連載の前...

  3.「C型PDPC」の使い方 3)各ステップの進め方:【快年童子の豆鉄砲】(その85)からのつづき   【この連載の前...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
業務効率化による生産性革命の危険性

 政府は「生産性革命」と称して労働生産性(一人当たり付加価値額)向上を図ろうといています。生産性が改善しなければ日本の経済成長性を示すGDP(国内の付加価...

 政府は「生産性革命」と称して労働生産性(一人当たり付加価値額)向上を図ろうといています。生産性が改善しなければ日本の経済成長性を示すGDP(国内の付加価...


品質改善、現場との関係とは

        今回は、改善活動、定着の初期段階のことです。    生産部門の品質が悪く品質部門で現場改善を行っていて、品質リスクアセスメントで...

        今回は、改善活動、定着の初期段階のことです。    生産部門の品質が悪く品質部門で現場改善を行っていて、品質リスクアセスメントで...


‐段取り替え時間の短縮‐ 製品・技術開発力強化策の事例(その33)

 前回の事例その32に続いて解説します。繰り返し性のある大量生産品はアジアの各国に生産拠点が移転し、多品種少量の生産が当然の状態になっています。つまり、段...

 前回の事例その32に続いて解説します。繰り返し性のある大量生産品はアジアの各国に生産拠点が移転し、多品種少量の生産が当然の状態になっています。つまり、段...