中国工場の実状を知る 中国工場の品質改善(その9)

更新日

投稿日

 

中国

【第2章 中国工場の実状を知る】

【管理者について】

 前回のその8に続いて解説します。

 

【管理者】

 ここで言う管理者とは、呼び方は会社によって違いますが、現場の主管、科長、組長、班長のことです。先ず、組長、班長をみていきましょう。

(1)組長、班長

① QCDを支える人たち

 組長や班長は、現場を指揮管理しているという観点から工場のQCDを支えるキーパーソンと位置付けられています。工場のQCDレベルは、これら管理者のレベルによって決まると言っても過言ではありません。ですから、この組長さん、班長さんがどんなレベルなのか、そしてその役割を果たすことがとても重要なのです。

② 自分から勉強することを期待してはいけない

 では、いったいどんな人が組長さんや班長さんになっているのでしょうか?多くの工場では、作業者の中から優秀な人を抜擢しています。多くの作業者の中から選ばれた人だちなのでそれなりに優秀な人たちです。教えたことは覚えてくれるし、仕事に活かしてくれる人たちです。

 しかし、そこまでなのです。どういうことかと言うと、自分が知らないことや教わっていないことを自分で勉強して身に付けることは望めません。逆に、このレベルの人たちに自ら勉強することを期待してはいけません。ここが日本との大きな違いです。ですから、組長さん班長さんができる仕事の範囲は、彼ら彼女らに教えた範囲の中となります。組長さん班長さんに果たして欲しい役割や、やってもらいたい仕事があるのなら、それらが出来るように教育する必要があるのです。

 もちろん中には、自分から勉強してどんどん知識や仕事の範囲を増やしていく人もいます。そういう人がいた場合は、責任ある仕事を任せて、それに見合う役職に就かせて活躍してもらえばよいでしょう。

③ 組長・班長の役割と育成の重要性

 組長や班長に昇格させたからといって、何もせずに勝手に育つことはないので、育成しなければなりません。そのためには、育成する仕組みが必要となります。

 元々作業者でしたから作業のことはよくわかっていますし、新人に対して作業指導することも出来るでしょう。しかし、作業者をどのように管理するのかについてはわかりません。作業者に対して、どのような指示の仕方をしたら従うのか、作業者がルールを守らないのはなぜなのかなど考えたこともないでしょう。管理者になったからといって、すぐにマネジメントが出来るかと言えば、そんなことはありません。

 また、作業者に教育することもその役割となりますが、そのためには、教育する内容に関して自分がしっかり理解していなくてはなりません...

 

中国

【第2章 中国工場の実状を知る】

【管理者について】

 前回のその8に続いて解説します。

 

【管理者】

 ここで言う管理者とは、呼び方は会社によって違いますが、現場の主管、科長、組長、班長のことです。先ず、組長、班長をみていきましょう。

(1)組長、班長

① QCDを支える人たち

 組長や班長は、現場を指揮管理しているという観点から工場のQCDを支えるキーパーソンと位置付けられています。工場のQCDレベルは、これら管理者のレベルによって決まると言っても過言ではありません。ですから、この組長さん、班長さんがどんなレベルなのか、そしてその役割を果たすことがとても重要なのです。

② 自分から勉強することを期待してはいけない

 では、いったいどんな人が組長さんや班長さんになっているのでしょうか?多くの工場では、作業者の中から優秀な人を抜擢しています。多くの作業者の中から選ばれた人だちなのでそれなりに優秀な人たちです。教えたことは覚えてくれるし、仕事に活かしてくれる人たちです。

 しかし、そこまでなのです。どういうことかと言うと、自分が知らないことや教わっていないことを自分で勉強して身に付けることは望めません。逆に、このレベルの人たちに自ら勉強することを期待してはいけません。ここが日本との大きな違いです。ですから、組長さん班長さんができる仕事の範囲は、彼ら彼女らに教えた範囲の中となります。組長さん班長さんに果たして欲しい役割や、やってもらいたい仕事があるのなら、それらが出来るように教育する必要があるのです。

 もちろん中には、自分から勉強してどんどん知識や仕事の範囲を増やしていく人もいます。そういう人がいた場合は、責任ある仕事を任せて、それに見合う役職に就かせて活躍してもらえばよいでしょう。

③ 組長・班長の役割と育成の重要性

 組長や班長に昇格させたからといって、何もせずに勝手に育つことはないので、育成しなければなりません。そのためには、育成する仕組みが必要となります。

 元々作業者でしたから作業のことはよくわかっていますし、新人に対して作業指導することも出来るでしょう。しかし、作業者をどのように管理するのかについてはわかりません。作業者に対して、どのような指示の仕方をしたら従うのか、作業者がルールを守らないのはなぜなのかなど考えたこともないでしょう。管理者になったからといって、すぐにマネジメントが出来るかと言えば、そんなことはありません。

 また、作業者に教育することもその役割となりますが、そのためには、教育する内容に関して自分がしっかり理解していなくてはなりません。こうしたことも組長さん、班長さんに教えていくことが必要です。

 加えて、仕事や品質に対する意識を高く持って、作業者に対して模範となってもらうことも大事なことです。そうした意識付けもやはり意図して教育していくことが必要です。きちんと教育された管理者を持つことが、工場のレベルアップにとって必要不可欠な要素と認識してください。

 次回は、(2)主管・科長から、解説を続けます。

【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行   筆者のご承諾により、抜粋を連載

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「人的資源マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
管理成果の見える化とは【連載記事紹介】

  管理成果の見える化が無料でお読みいただけます!   ◆ 管理成果の見える化とは 管理成果の見える化とは、日々の管理成果...

  管理成果の見える化が無料でお読みいただけます!   ◆ 管理成果の見える化とは 管理成果の見える化とは、日々の管理成果...


技術士第二次試験対策:論文を時間内に書くための時間管理方法(その1)

  「解答がわかっていたが、それを時間内で書くことができなかった」という受験生の声を何度が聞いたことがあります。頭の中に60点以上の解答が...

  「解答がわかっていたが、それを時間内で書くことができなかった」という受験生の声を何度が聞いたことがあります。頭の中に60点以上の解答が...


日本的人事が強い会社を創る(その2)

4.シンプルな人事制度が重要  前回の前編に続いて後編です。人事制度はとにかくわかりやすく、簡単にすることが大切です。組織のベクトルを合わせるためにそれ...

4.シンプルな人事制度が重要  前回の前編に続いて後編です。人事制度はとにかくわかりやすく、簡単にすることが大切です。組織のベクトルを合わせるためにそれ...


「人的資源マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
『坂の上の雲』に学ぶコミニュケーション論(その5)

【『坂の上の雲』に学ぶコミニュケーション論の連載目次】 ・すべての関係者と課題を共有する。 ・課題の共有 ・顧客の言うことを鵜呑みにしない ・...

【『坂の上の雲』に学ぶコミニュケーション論の連載目次】 ・すべての関係者と課題を共有する。 ・課題の共有 ・顧客の言うことを鵜呑みにしない ・...


自力で稼ぐことの再認識

 2016年4月14、16日は熊本を震源に大きな地震が来ました。突然の緊急地震速報アラームに驚きました。スマホで緊急速報を受けたのは初めてでしたが、正直大...

 2016年4月14、16日は熊本を震源に大きな地震が来ました。突然の緊急地震速報アラームに驚きました。スマホで緊急速報を受けたのは初めてでしたが、正直大...


外部中途採用での成功率を上げるには

 年功序列・終身雇用制度が崩れ、外部から優れた人材を確保することが当たり前の今日、社員育成に誇りをもっていた老舗の財閥企業でさえ、定期的に外部採用を行い自...

 年功序列・終身雇用制度が崩れ、外部から優れた人材を確保することが当たり前の今日、社員育成に誇りをもっていた老舗の財閥企業でさえ、定期的に外部採用を行い自...