中国工場の実状を知る 中国工場の品質改善(その6)

更新日

投稿日

 

中国工場の品質

【第2章 中国工場の実状を知る】

 前回のその5に続いて解説します。

 
 

【作業者について】

 中国工場で働いている作業者とは、いったいどんな人だちなのでしょうか。

(3)中国人作業者のよい点

 これまで中国人作業者のネガティブな面ばかりを書きましたが、その一方で、中国人作業者にもよい点はあります。これがなければ中国で工場は成り立ちません。では、どんなよい点を持っているのでしょうか?

 ・残業を厭わずにやってくれる
 ・単調な作業でも文句を言わずやってくれる
 ・ちゃんと教えれば、その通りやってくれる

 などがよく言われています。ここではもう一つ紹介します。

 それは、目がとってもいいのです。中国の作業者は、17歳くらいから20代半ばくらいの若い人たちで、その人たちはとても目がいいのです。日本の工場と比べてみましょう。例えば日本で外観検査をしているのは、おばさまの検査員が多いですね。

 ですから、中国工場で作業者の目の良さを使った作業や検査をすることで、品質レベルを上げることにつなげられる可能性があります。今中国でも眼鏡をかけた女の人を多く見かけますが、作業者で眼鏡をかけている人は見かけません。

(4)昔も今も作業者のレベルは変わらない

 社会の発展に伴い中国でも大学進学率が高くなっています。ちなみに1998年の大学進学率は9.8%でしたが、2012年には26.7%に上昇しています。これに伴って、大学卒業者も増えているのですが、中国の社会問題の一つとして大学を卒業しても就職できない人が大勢いることがあります。

 では、そうした人たちが仕事がないからといって工場の作業者になるか?と言えば、絶対になりません。それは、大卒が求める賃金やプライドの問題があるからです。従って中国社会が成長しても、作業者になる人たちのレベルは昔と今で大きな差はない、変わらないと考えておくべきだと思います。

(5)中国工場での作業の考え方

 このような作業者たちに作業をやってもらうときの基本的な考え方は、作業を単純化して標準化することです。そしてマニュアルを整備してマニュアル通りに作業してもらうことです。つまり同じ作業は、同じ手順・同じ方法でやってもらうのです。今までの中国工場では、可能な限り作業を分解して単純化していました。つまり、ひとつひとつの作業を単純な作業にしていたのです。そして、この単純化した作業を標準作業として標準化し、マニュアルを作成してマニュアル通りに...

 

中国工場の品質

【第2章 中国工場の実状を知る】

 前回のその5に続いて解説します。

 
 

【作業者について】

 中国工場で働いている作業者とは、いったいどんな人だちなのでしょうか。

(3)中国人作業者のよい点

 これまで中国人作業者のネガティブな面ばかりを書きましたが、その一方で、中国人作業者にもよい点はあります。これがなければ中国で工場は成り立ちません。では、どんなよい点を持っているのでしょうか?

 ・残業を厭わずにやってくれる
 ・単調な作業でも文句を言わずやってくれる
 ・ちゃんと教えれば、その通りやってくれる

 などがよく言われています。ここではもう一つ紹介します。

 それは、目がとってもいいのです。中国の作業者は、17歳くらいから20代半ばくらいの若い人たちで、その人たちはとても目がいいのです。日本の工場と比べてみましょう。例えば日本で外観検査をしているのは、おばさまの検査員が多いですね。

 ですから、中国工場で作業者の目の良さを使った作業や検査をすることで、品質レベルを上げることにつなげられる可能性があります。今中国でも眼鏡をかけた女の人を多く見かけますが、作業者で眼鏡をかけている人は見かけません。

(4)昔も今も作業者のレベルは変わらない

 社会の発展に伴い中国でも大学進学率が高くなっています。ちなみに1998年の大学進学率は9.8%でしたが、2012年には26.7%に上昇しています。これに伴って、大学卒業者も増えているのですが、中国の社会問題の一つとして大学を卒業しても就職できない人が大勢いることがあります。

 では、そうした人たちが仕事がないからといって工場の作業者になるか?と言えば、絶対になりません。それは、大卒が求める賃金やプライドの問題があるからです。従って中国社会が成長しても、作業者になる人たちのレベルは昔と今で大きな差はない、変わらないと考えておくべきだと思います。

(5)中国工場での作業の考え方

 このような作業者たちに作業をやってもらうときの基本的な考え方は、作業を単純化して標準化することです。そしてマニュアルを整備してマニュアル通りに作業してもらうことです。つまり同じ作業は、同じ手順・同じ方法でやってもらうのです。今までの中国工場では、可能な限り作業を分解して単純化していました。つまり、ひとつひとつの作業を単純な作業にしていたのです。そして、この単純化した作業を標準作業として標準化し、マニュアルを作成してマニュアル通りに作業をしてもらうようにしていました。

 こうすることで、作業者には特別なスキルは必要なく、採用した人をすぐに生産現場に出すことができますOまた、仮に誰かが辞めたとしても、すぐに他の人で代わりが務まります。中国の作業者の流動性の高さも、こうした作業方法が広がった要因です。

 次回、(6)中国工場の作業を深堀して考える。に続きます。

 【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行   筆者のご承諾により、抜粋を連載

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「人的資源マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
技術企業の高収益化: 本物のリーダーは気迫を養う

◆ 経営者が養うべき「気迫」とはなにか  「何か良い方法がありませんか?」  数年前の話です。次期経営者になる予定の方(仮にAさんとします)からそ...

◆ 経営者が養うべき「気迫」とはなにか  「何か良い方法がありませんか?」  数年前の話です。次期経営者になる予定の方(仮にAさんとします)からそ...


現場が意識することで見えるお客様の変化 人材育成・組織・マネジメント(その10)

  【人材育成・組織・マネジメントの考察 連載目次】 1. 間接部門のプロセス改善とは 2. 現場は全てを物語る 3. 明日の仕...

  【人材育成・組織・マネジメントの考察 連載目次】 1. 間接部門のプロセス改善とは 2. 現場は全てを物語る 3. 明日の仕...


目標管理の活性化とは【連載記事紹介】

  目標管理の活性化とはの連載記事が無料でお読みいただけます!   ◆目標管理の活性化 管理指標を明確にした目標管理が行わ...

  目標管理の活性化とはの連載記事が無料でお読みいただけます!   ◆目標管理の活性化 管理指標を明確にした目標管理が行わ...


「人的資源マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
人的資源マネジメント:自分が変われば組織が変わる(その2)

 前回のその1に続いて解説します。   3. ポジティブ・リーダーシップ    ポジティブ組織開発の名著といわれている書籍に、...

 前回のその1に続いて解説します。   3. ポジティブ・リーダーシップ    ポジティブ組織開発の名著といわれている書籍に、...


改善活動の共通言語

 コスト削減、品質改善、業務改善などの改善活動を行う時、アクションに携わるスタッフが改善の為の『共通言語』を身につけているかどうかで効率や効果が変わってき...

 コスト削減、品質改善、業務改善などの改善活動を行う時、アクションに携わるスタッフが改善の為の『共通言語』を身につけているかどうかで効率や効果が変わってき...


人的資源マネジメント:効率的で実践的な進捗管理とは(その3)

  前回は、必要最小限の手間で効率的なメトリクス管理を実現するための3つの技法のうち、2軸管理と基本メトリクスセットについて、進捗管理を中心に...

  前回は、必要最小限の手間で効率的なメトリクス管理を実現するための3つの技法のうち、2軸管理と基本メトリクスセットについて、進捗管理を中心に...