中国工場の実状を知る 中国工場の品質改善(その41)

更新日

投稿日

生産マネジメント

 前回のその40に続いて解説します。

【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方

【3.9 必要なデータは取れているか、活用出来ているか】

 いろいろなデータを見ることで工場の実態、本当の問題点を掴むようにする訳ですから、そのためにはデータが取れていることが前提です。

 筆者が多くの中国工場を見てきた経験からいうと、どんなにひどい中国企業の工場でもデータが全くないという工場はありませんでした。どんな工場であっても何らかの記録は付けています。

 ただし、本当に必要な記録・データが取れているかが問題です。必要なデータは何か、これを考えた上で取るべきデータを決めるようにします。例えば、生産工程でどのような検査を行うのか、不良を流出させないための検査もあれば、工程の状況を把握することを目的とした検査もあるので、十分検討してください。

 必要なデータが決まったらそれを取る、記録する仕組みを作ります。この時に記録をつけるための必要性を現場の班長さんや実際に記録する作業者、検査員に理解させることが大事です。そうしないと何も分からないまま、ただ記録することになり、いい加減な記録や漏れが出ることにつながります。

 何の作業でもそうですが、どうしてやるのか、必要なのかを説明し理解させた上で行ってもらうようにしましょう。

 データが取れたら次は活用に移行します。良い工場とそうでない工場の差が出るのはここです。

 「データを活用する」「フィードバックする」この二つが機能しているかどうかが大きな違いとなります。この2点ができている工場は、自力でPDCAが回せているので、スピードは別にしても改善が進んでいるといえます。

 しかし、データを活用していない工場は、PDCAが...

生産マネジメント

 前回のその40に続いて解説します。

【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方

【3.9 必要なデータは取れているか、活用出来ているか】

 いろいろなデータを見ることで工場の実態、本当の問題点を掴むようにする訳ですから、そのためにはデータが取れていることが前提です。

 筆者が多くの中国工場を見てきた経験からいうと、どんなにひどい中国企業の工場でもデータが全くないという工場はありませんでした。どんな工場であっても何らかの記録は付けています。

 ただし、本当に必要な記録・データが取れているかが問題です。必要なデータは何か、これを考えた上で取るべきデータを決めるようにします。例えば、生産工程でどのような検査を行うのか、不良を流出させないための検査もあれば、工程の状況を把握することを目的とした検査もあるので、十分検討してください。

 必要なデータが決まったらそれを取る、記録する仕組みを作ります。この時に記録をつけるための必要性を現場の班長さんや実際に記録する作業者、検査員に理解させることが大事です。そうしないと何も分からないまま、ただ記録することになり、いい加減な記録や漏れが出ることにつながります。

 何の作業でもそうですが、どうしてやるのか、必要なのかを説明し理解させた上で行ってもらうようにしましょう。

 データが取れたら次は活用に移行します。良い工場とそうでない工場の差が出るのはここです。

 「データを活用する」「フィードバックする」この二つが機能しているかどうかが大きな違いとなります。この2点ができている工場は、自力でPDCAが回せているので、スピードは別にしても改善が進んでいるといえます。

 しかし、データを活用していない工場は、PDCAが回っていないことになり、改善が進むことも期待できません。データをフィードバックする際には、グラフ化するなり層別するなど使う側が分かりやすい形で行うことが望まれます。

 次回は、3.10 品質課題解決の順序、から解説を続けます。

【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行、筆者のご承諾により抜粋を連載 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
新規開拓のどこを見ればよいか 中国工場の品質改善(その68)

 前回のその67に続いて解説します。 【第4章】中国新規取引先選定のポイント ◆ 契約書 1、契約書に盛り込む内容  中国企業から材料・部品・...

 前回のその67に続いて解説します。 【第4章】中国新規取引先選定のポイント ◆ 契約書 1、契約書に盛り込む内容  中国企業から材料・部品・...


SQHKライン戦略とは(5) 【快年童子の豆鉄砲】(その79)

  3.SQHKライン戦略の総括 1)はじめに 生産ライン設計時、SQHKライン戦略を極めれば、中小企業でも、画期的な成果を手にするこ...

  3.SQHKライン戦略の総括 1)はじめに 生産ライン設計時、SQHKライン戦略を極めれば、中小企業でも、画期的な成果を手にするこ...


強いモノづくりに必要なこと 儲かるメーカー改善の急所101項(その79)

  6、強いモノづくり ◆ 人も設備も多能工化  プロダクトアウトと呼ばれ、同じものを作れば作っただけすべて売れてしまう時代がありまし...

  6、強いモノづくり ◆ 人も設備も多能工化  プロダクトアウトと呼ばれ、同じものを作れば作っただけすべて売れてしまう時代がありまし...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
儲かる設備への割付けとは

 大抵の場合、製造装置は新型の方が旧型よりコストパフォーマンスに優れます。マイナーチェンジかどうかで差異の程度は違います。例としては、次の4点です。  ...

 大抵の場合、製造装置は新型の方が旧型よりコストパフォーマンスに優れます。マイナーチェンジかどうかで差異の程度は違います。例としては、次の4点です。  ...


参入障壁 伸びる金型メーカーの秘訣 (その27)

 今回、紹介する金型メーカーは、株式会社Sです。同社は、PPやナイロン系の樹脂材料を成形素材とするモールド金型を製造するメーカーです。筆者が同社をサポート...

 今回、紹介する金型メーカーは、株式会社Sです。同社は、PPやナイロン系の樹脂材料を成形素材とするモールド金型を製造するメーカーです。筆者が同社をサポート...


多品種少ロット生産現場の人材育成と納期管理

1. 多能工化    多能工化、進めないといけないのはわかているけど、なかなかうまく進まないな、という企業は多いと思います。私自身、金型設計...

1. 多能工化    多能工化、進めないといけないのはわかているけど、なかなかうまく進まないな、という企業は多いと思います。私自身、金型設計...