中国工場の実状を知る、部品・材料について 中国工場の品質改善(その23)

投稿日

生産マネジメント

【第2章 中国工場の実状を知る】

【部品・材料】

 前回のその22に続いて解説します。

 3Mの三つ目は、部品・材料です。中国工場の部品・材料に関する問題点のポイントは、中国メーカーの部材の品質改善を進めることが出来るか、いかに使いこなすかになります。

1. 部材調達の変遷

 日本企業が中国に進出した当初は、日本工場で使っていた部材を日本から送り込んでいました。しかし、輸送コストやそれにかかる時間を考えると思った程のメリットが出ない状況でした。そこに顧客からのコストダウン要求が加わり、部材を現地(中国)で調達する、流れとなりました。現地調達も最初は、同じ日系の中国工場からでしたが、顧客の厳しいコストダウン圧力により、日系以外の工場からの調達、そして最終的に中国メーカーから調達をするに至っています。現地調達は、品質レベルは落ちます。中国メーカーの部材を使いこなすことにみなさん苦労している訳です。

【部材調達の年代別イメージ】

  • 1980年代後半~1990年代前半:日本から多くの部材を送り込んでいた
  • 1990年代後半~2000年代前半:現地日系企業からの調達を進め、その比率を増やしていった
  • 2000年代前半~:中国企業からの調達を増やし始めていった

2. 中国メーカー部材の問題点と使う側の問題点

(1)中国メーカー部材の問題点

 これは言うまでもなく日本製の部材に比べると品質が悪いという問題です。

(2)使う側の問題点

 使う側の問題点としては、次の三つがあります。

・生産技術力不足

 部材に不具合があっても自社生産工程でそれを消化できないとか取り除けないなど生産技術力の問題

・品質管理力不足

 部材の不具合に起因して生産してしまった不良品を工程検査や出荷検査ではじけずに流出させてしまうなど、自社の品質管理力の問題

・部材評価の甘さ

 1回評価しただけで採用を決めてしまうなど、その見極めが甘い問題評価したサンプルが実はチャンピオンサンプルだったので、量産ではサンプルよりもレベルの低いものが納入されて問題となる メーカーが提出してくるサ...

生産マネジメント

【第2章 中国工場の実状を知る】

【部品・材料】

 前回のその22に続いて解説します。

 3Mの三つ目は、部品・材料です。中国工場の部品・材料に関する問題点のポイントは、中国メーカーの部材の品質改善を進めることが出来るか、いかに使いこなすかになります。

1. 部材調達の変遷

 日本企業が中国に進出した当初は、日本工場で使っていた部材を日本から送り込んでいました。しかし、輸送コストやそれにかかる時間を考えると思った程のメリットが出ない状況でした。そこに顧客からのコストダウン要求が加わり、部材を現地(中国)で調達する、流れとなりました。現地調達も最初は、同じ日系の中国工場からでしたが、顧客の厳しいコストダウン圧力により、日系以外の工場からの調達、そして最終的に中国メーカーから調達をするに至っています。現地調達は、品質レベルは落ちます。中国メーカーの部材を使いこなすことにみなさん苦労している訳です。

【部材調達の年代別イメージ】

  • 1980年代後半~1990年代前半:日本から多くの部材を送り込んでいた
  • 1990年代後半~2000年代前半:現地日系企業からの調達を進め、その比率を増やしていった
  • 2000年代前半~:中国企業からの調達を増やし始めていった

2. 中国メーカー部材の問題点と使う側の問題点

(1)中国メーカー部材の問題点

 これは言うまでもなく日本製の部材に比べると品質が悪いという問題です。

(2)使う側の問題点

 使う側の問題点としては、次の三つがあります。

・生産技術力不足

 部材に不具合があっても自社生産工程でそれを消化できないとか取り除けないなど生産技術力の問題

・品質管理力不足

 部材の不具合に起因して生産してしまった不良品を工程検査や出荷検査ではじけずに流出させてしまうなど、自社の品質管理力の問題

・部材評価の甘さ

 1回評価しただけで採用を決めてしまうなど、その見極めが甘い問題評価したサンプルが実はチャンピオンサンプルだったので、量産ではサンプルよりもレベルの低いものが納入されて問題となる メーカーが提出してくるサンプルはアベレージ品だと思い込みがちですが、そうとは限りません。

【問題点】

 部品・材料は、中国メーカー部材の品質が悪く、使う側にも問題点があります。このようなことで中国メーカー部材の不具合によって自社製品の不具合となってしまうことが、中国工場の品質低下となっている訳です。

 次回は、 中国メーカー部材への対応策について解説します。

 【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行 筆者のご承諾により、抜粋を連載

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
キャラバン方式生産計画とは(2) 【快年童子の豆鉄砲】(その81)

  【「キャラバン方式生産計画」の進め方】 1.設備の複数個所に段替えが必要で、段替えに複数の作業者が必要なケース 前回、多数の機台を...

  【「キャラバン方式生産計画」の進め方】 1.設備の複数個所に段替えが必要で、段替えに複数の作業者が必要なケース 前回、多数の機台を...


物の動かし方 儲かるメーカー改善の急所101項(その60)

  5、設備改善の基本 ◆ 物の動かし方  私は「からくり」のカイゼンが大好きです。センサーとモーターを使っての自動化など、もちろんカ...

  5、設備改善の基本 ◆ 物の動かし方  私は「からくり」のカイゼンが大好きです。センサーとモーターを使っての自動化など、もちろんカ...


中国企業改善指導のポイント 中国工場の品質改善(その76)

 前回のその75に続いて解説します。 【第5章】中国企業改善指導のポイント 1、取引先に動いてもらうには  (1)(2)は、その75に記載してい...

 前回のその75に続いて解説します。 【第5章】中国企業改善指導のポイント 1、取引先に動いてもらうには  (1)(2)は、その75に記載してい...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
事業承継による変革 伸びる金型メーカーの秘訣 (その3)

    今回、紹介する加工メーカーは、創立は大正15年から続く、老舗の溶接製缶メーカーのD社です。D社は、永年培った職人技術と、最新...

    今回、紹介する加工メーカーは、創立は大正15年から続く、老舗の溶接製缶メーカーのD社です。D社は、永年培った職人技術と、最新...


4M管理を知らなかった中国企業 中国企業の壁(その34)

        プレス加工でワークの位置決め方法を変更したにも関わらず、問題点の有無を検証していなかった事例を前回紹介しました。なぜ変更後による問題...

        プレス加工でワークの位置決め方法を変更したにも関わらず、問題点の有無を検証していなかった事例を前回紹介しました。なぜ変更後による問題...


品質改善、現場との関係とは

        今回は、改善活動、定着の初期段階のことです。    生産部門の品質が悪く品質部門で現場改善を行っていて、品質リスクアセスメントで...

        今回は、改善活動、定着の初期段階のことです。    生産部門の品質が悪く品質部門で現場改善を行っていて、品質リスクアセスメントで...