中国工場の実状を知る、日本人駐在員について 中国工場の品質改善(その13)

更新日

投稿日

 

中国工場

【第2章 中国工場の実状を知る】

【日本人駐在員について】

 前回のその12に続いて解説します。

(1)中国駐在員失敗率

 中国工場における人の問題では、日本人駐在員も非常に重要な要素です。日本企業もグローバル化の波に乗って、どんどん海外に進出しています。会社の売り上げや経営に占める海外の割合も以前よりも格段に大きくなってきています。ですから海外の現地法人がきちんと仕事をするかどうか、中国に進出した企業であれば、中国工場が軌道に乗るかどうかが日本にある本社の経営に大きな影響を与えます。日本本社として、中国工場の業績、そして、中国工場を任せた駐在員、特に総経理や工場長がきちんとその役割を果たしてくれるかどうかが重要課題の一つとなっています。

 重要な役割を持った駐在員ですが、それに関して興味深いデータがあるので紹介します。あるところが日本企業の中国駐在員失敗率というデータを取りました。結果は、幅がありますが、失敗率は33~80%でした。

 この数値の意味は、少ない会社でも中国に送り込んだ3人に1人は失敗、多い会社では何と5人中4人が失敗ということを表しています。それだけ中国駐在が簡単なものではないということです。

【代表的な失敗要因】

  • 自分一人ですべてをやろうとした。(一人ですべてを回すのは無理と割り切ることも大事です。このポジションの方が中国で仕事をするには片腕となる中国人を持つことが必要です)
  • 中国人スタッフと信頼関係が築けなかった。
  • 日本で経験したことのな...

 

中国工場

【第2章 中国工場の実状を知る】

【日本人駐在員について】

 前回のその12に続いて解説します。

(1)中国駐在員失敗率

 中国工場における人の問題では、日本人駐在員も非常に重要な要素です。日本企業もグローバル化の波に乗って、どんどん海外に進出しています。会社の売り上げや経営に占める海外の割合も以前よりも格段に大きくなってきています。ですから海外の現地法人がきちんと仕事をするかどうか、中国に進出した企業であれば、中国工場が軌道に乗るかどうかが日本にある本社の経営に大きな影響を与えます。日本本社として、中国工場の業績、そして、中国工場を任せた駐在員、特に総経理や工場長がきちんとその役割を果たしてくれるかどうかが重要課題の一つとなっています。

 重要な役割を持った駐在員ですが、それに関して興味深いデータがあるので紹介します。あるところが日本企業の中国駐在員失敗率というデータを取りました。結果は、幅がありますが、失敗率は33~80%でした。

 この数値の意味は、少ない会社でも中国に送り込んだ3人に1人は失敗、多い会社では何と5人中4人が失敗ということを表しています。それだけ中国駐在が簡単なものではないということです。

【代表的な失敗要因】

  • 自分一人ですべてをやろうとした。(一人ですべてを回すのは無理と割り切ることも大事です。このポジションの方が中国で仕事をするには片腕となる中国人を持つことが必要です)
  • 中国人スタッフと信頼関係が築けなかった。
  • 日本で経験したことのない業務もやることになった。

 駐在員本人の資質によるところもありますが、本社サイドからのフォローも望まれます。次回は、総経理・工場長としての駐在です。

【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行   筆者のご承諾により、抜粋を連載

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「人的資源マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
技術士第二次試験対策:解答を事前に考える(その3)

    前回の記事の中で、「『解答の主旨と解答の主旨の説明』を考える」について書きました。今回は、これを深堀した内容です。 ...

    前回の記事の中で、「『解答の主旨と解答の主旨の説明』を考える」について書きました。今回は、これを深堀した内容です。 ...


ワーク・エンゲージメントとは

◆「やる気」の数値化、グラフ化で効果を定量把握   ◆関連解説『人的資源マネジメントとは』  企画から設計、製造、販売、そして保守という広...

◆「やる気」の数値化、グラフ化で効果を定量把握   ◆関連解説『人的資源マネジメントとは』  企画から設計、製造、販売、そして保守という広...


技術企業の高収益化: 日本企業で挑戦的なテーマが進まないワケ

◆ 高収益経営者がならなければならない心理  「不退転の決意」…、A社の社長がこの言葉を発したのは、社内での会議中のことでした。今でも...

◆ 高収益経営者がならなければならない心理  「不退転の決意」…、A社の社長がこの言葉を発したのは、社内での会議中のことでした。今でも...


「人的資源マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
社員の力量を野球選手で考える

【目次】 ◆ ウチの社員はプロかアマチュアか  1、どのレベルが「プロ」か  2、「プロ」レベルの人が具体的にやっていることは  3、どうやったら「...

【目次】 ◆ ウチの社員はプロかアマチュアか  1、どのレベルが「プロ」か  2、「プロ」レベルの人が具体的にやっていることは  3、どうやったら「...


人的資源マネジメント:熟達(その1)

  1. 熟達とは    前回は、内発的動機づけ(モチベーション3.0)の3要素のひとつである「自律性」について解説しました。「...

  1. 熟達とは    前回は、内発的動機づけ(モチベーション3.0)の3要素のひとつである「自律性」について解説しました。「...


『坂の上の雲』に学ぶコミニュケーション論(その1)

  【『坂の上の雲』に学ぶコミニュケーション論の連載目次】 ・すべての関係者と課題を共有する。 ・課題の共有 ・顧客の言うことを鵜呑...

  【『坂の上の雲』に学ぶコミニュケーション論の連載目次】 ・すべての関係者と課題を共有する。 ・課題の共有 ・顧客の言うことを鵜呑...