品質管理 中国工場管理の基本事例(その14)

更新日

投稿日

中国工場

 

◆品質管理-中国工場の品質が良くないのはなぜか(その4)

 前回までは、作業者について解説してきましたが今回からは、管理者と経営層についてお話します。

1、管理者

 中国工場でいう管理者とは、現場の班長さんや科長さんのことです。まず班長(組長)さんからみていきます。

(1) 班長

 班長・組長は現場を指揮管理しているという観点から、工場の品質を左右するキーパーソンといえます。自社製品のQCDレベルは、班長・組長のレベルによって決まるといってもよいでしょう。

 多くの工場では、優秀な作業者の中から班長・組長を抜擢(ばってき)しているのが実状です。もちろん選ばれた人たちなのでそれなりに優秀で、教えたことは覚えてくれます。

 しかしそこまでなのです。どういうことかというと「教えたこと以上のことはできない、また、自分から学んでいくことは望めないし、期待してはいけない」。つまり教えたことの範囲が班長・組長のできる仕事の範囲となるということなのです。

 従って、班長・組長にしっかり仕事をして欲しいのであれば、ちゃんと教育することが必要です。放っておいて勝手に育つということはなく、育成しなければこれら人材は育たないので、育成する仕組みが必要となります。

 例えば、元々作業者でしたから作業のことはよく分かっていますし、新人に対して作業指導することもできるでしょう。しかし作業者をどのように管理するかは分かりません。管理者になったからといって、すぐにマネジメントができるかといえば、そんなことはありません。

 作業者に対して、どのような指示の仕方をしたら従うのか、作業者はなぜルールを守らないのかなど、考えたこともないでしょう。

 また作業者に教育することもその役割となります。そのためには、教育する内容に関して自分がしっかり理解していなくてはなりません。こうしたことも班長・組長に...

中国工場

 

◆品質管理-中国工場の品質が良くないのはなぜか(その4)

 前回までは、作業者について解説してきましたが今回からは、管理者と経営層についてお話します。

1、管理者

 中国工場でいう管理者とは、現場の班長さんや科長さんのことです。まず班長(組長)さんからみていきます。

(1) 班長

 班長・組長は現場を指揮管理しているという観点から、工場の品質を左右するキーパーソンといえます。自社製品のQCDレベルは、班長・組長のレベルによって決まるといってもよいでしょう。

 多くの工場では、優秀な作業者の中から班長・組長を抜擢(ばってき)しているのが実状です。もちろん選ばれた人たちなのでそれなりに優秀で、教えたことは覚えてくれます。

 しかしそこまでなのです。どういうことかというと「教えたこと以上のことはできない、また、自分から学んでいくことは望めないし、期待してはいけない」。つまり教えたことの範囲が班長・組長のできる仕事の範囲となるということなのです。

 従って、班長・組長にしっかり仕事をして欲しいのであれば、ちゃんと教育することが必要です。放っておいて勝手に育つということはなく、育成しなければこれら人材は育たないので、育成する仕組みが必要となります。

 例えば、元々作業者でしたから作業のことはよく分かっていますし、新人に対して作業指導することもできるでしょう。しかし作業者をどのように管理するかは分かりません。管理者になったからといって、すぐにマネジメントができるかといえば、そんなことはありません。

 作業者に対して、どのような指示の仕方をしたら従うのか、作業者はなぜルールを守らないのかなど、考えたこともないでしょう。

 また作業者に教育することもその役割となります。そのためには、教育する内容に関して自分がしっかり理解していなくてはなりません。こうしたことも班長・組長に教えていくことが必要です。

 加えて仕事や品質に対する意識を高く持って、作業者に対して模範となってもらうことも大事なことです。そうした意識付けもやはり意図して教育していくことが必要です。

・・・・・・・・・・・・・・

 きちんと教育された管理者(班長・組長)を持つことが、中国工場のレベルアップにとって必要不可欠な要素と認識していただきたいと思います。

 次回は、(2)科長について解説します。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「人的資源マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
教育システムの設計:多能工・技能工人材の育成(その7)

【教育システムの設計:多能工・技能工人材の育成 連載目次】 1. 教育の目的・対象 2. 信賞必罰でメリハリをつけるための信賞必罰制度を運用する仕...

【教育システムの設計:多能工・技能工人材の育成 連載目次】 1. 教育の目的・対象 2. 信賞必罰でメリハリをつけるための信賞必罰制度を運用する仕...


レジリエンスを高める技術(その1)

【レジリエンスとは 連載へのリンク】 1、6つのレジリエンス・コアコンピテンシー ← 今回の解説記事 2、自己認識(Self-awarene...

【レジリエンスとは 連載へのリンク】 1、6つのレジリエンス・コアコンピテンシー ← 今回の解説記事 2、自己認識(Self-awarene...


レジリエンスを高める技術(その5)

【レジリエンスとは 連載へのリンク】 1、6つのレジリエンス・コアコンピテンシー 2、自己認識(Self-awareness) 3、セルフコントロー...

【レジリエンスとは 連載へのリンク】 1、6つのレジリエンス・コアコンピテンシー 2、自己認識(Self-awareness) 3、セルフコントロー...


「人的資源マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
‐能力開発を阻害する発想の形態‐ 製品・技術開発力強化策の事例(その39)

 前回の事例その38に続いて解説します。発想が後ろ向きの企業では、伸びる可能性のある能力が潜在していても、その能力を伸ばしていく作用を自らの発想で阻害して...

 前回の事例その38に続いて解説します。発想が後ろ向きの企業では、伸びる可能性のある能力が潜在していても、その能力を伸ばしていく作用を自らの発想で阻害して...


人的資源マネジメント:今の仕事を再認識してやる気を起こす

 今回は、自分の仕事を見直してみるための手法である「ジョブ・クラフティング (Job Crafting)」を紹介します。    仕事に関する...

 今回は、自分の仕事を見直してみるための手法である「ジョブ・クラフティング (Job Crafting)」を紹介します。    仕事に関する...


人的資源マネジメント:プロジェクト・ビジョンとは(その2)

3. 未来指向と現在指向    未来指向と現在指向に分けることができるというのを裏付ける理論があるので紹介しておきましょう。  ...

3. 未来指向と現在指向    未来指向と現在指向に分けることができるというのを裏付ける理論があるので紹介しておきましょう。  ...