中国工場の実状を知る 中国工場の品質改善(その49)

 

 前回のその48に続いて解説します。

【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方

【3.14 中国工場での従業員教育の進め方】

 教育の重要性・必要性は誰しもが理解していますが、中国の流動性の高さから教育しても辞めていくので「ざるで水をすくうようだ」と言っていた日本人駐在員がいました。まさに言い得て妙だと思います。

 しかしながら製造業の歴史が浅くものづくりに対する意識が醸成されていない中国では、例え辞める率が高くても教育を通して少しでも意識や知識を学んでもらわなくてはなりません。

 教育することで、品質に対する意識や知識がある従業員の割合を少しでも高めます。もちろん理想は従業員全員がそうなることですが、現実問題としては、そうした従業員を一人でも二人でも増やすことを目指します。それが自社工場の品質レベルを上げることにつながります。

◆ 教育の仕組み

 では「ざるで水をすくうような」従業員教育をどのように進めたらよいのでしょうか。次のフロー図の内容を繰り返して下さい。

 

(1)中国人が中国人に教える仕組みを作る

 従業員教育で目指すのは、日系工場であっても中国人が中国人に教える仕組みを作ることです。

 教えることのできる中国人がいない場合は、まず教えることが出来る中国人を育成することが必要になります。つまり初期段階では日本人が中国人を教育・育成し、先生役の中国人を育てなければなりません。先生役中国人を育成するのは、工数も掛かり簡単なことではありません。

 もし、駐在員だけで対応できないのであれば、日本本社に応援を頼むとか、外部の力を借りるなどをしてでも対応しなくてはなりません。これを避けていては、次のステップに進むことができないからです。

(2)教育する項目を決める

 部門ごとや工程ごとに教育する項目を決めます。その中には工場としての共通項目ほか、部門や工程ごとに必要な知識や項目があるはずですので、それをベースに教育する項目を決めます。

 例えば、工場としての共通項目としては次の3点があります。

どのように使われるのか
  • 自社製品が最終的にどのような形で世の中に出ていくのか
  •  (これは、前述した定着の話のところで述べていますが、自分たちが作っている製品がどのように世の中で役に立っているかを認識させるためです)

     次回は、(3) その教育項目を切り返し教育する。から解説を続けます。 

     【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行、筆者のご承諾により抜粋を連載 

     

    ◆関連解説『生産マネジメントとは』

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