作業者の意識に頼った作業とは 中国企業の壁(その37)

投稿日

 
 生産マネジメント 
 
 ある日系の中国工場では、機械加工工程と組立工程を持っています。機械加工工程で加工した部品を組立工程で組み立てて出荷をしています。機械加工工程には、切断機、プレス、タップ加工機があり、プレスでは主に穴あけ加工を行っていました。
 
 工程では、作業者の2時間ごとの自主検査に加え、巡回検査員を配置し定期的に加工した品物を検査するようにしていました。その巡回検査員の検査記録を見せてもらうと、プレス穴あけの穴位置寸法にNGがあることに気が付きました。
 
 金型に異常があったか、摩耗によるNGかと思いました。これが不良発生の原因ならば、その後の生産品もNGになるはずですが、そうではありませんでした。NGになったのは、巡回検査員が検査したものだけだったのです。
 
 つまり原因は別にあったのです。プレス作業をよく見てみると、作業者はワークを金型にセットするときに奥のピンに突き当てるように置いていました。ワークをピンに突き当てることで、位置を決めていたのです。
 
 この工法だと作業者がワークをきちんとピンに突き当てるかどうかで穴位置寸法が左右されてしまいます。作業者もしっかり突き当てるように指導されているので、ほとんどのものはピンに当たった状態でプレスされています。
 
 しかし、何かの拍子でピンに当たらない、正しい位置にセットされないこともあり得ます。例えば、異物が挟まっていたとか、ピンに突き当てた勢いで跳ねかえり隙間ができとかも起きるでしょう。また、作業者が当たっているものと思い込んでいたが、ちゃんとセットされていなかったなどです。
 
 この穴位置ずれ不良が厄介なのは、ランダムに発生するという点です。抜取りで検査しても、その前後の品物がOKである保証はないのです。かといって全数検査することはできませ...
 
 生産マネジメント 
 
 ある日系の中国工場では、機械加工工程と組立工程を持っています。機械加工工程で加工した部品を組立工程で組み立てて出荷をしています。機械加工工程には、切断機、プレス、タップ加工機があり、プレスでは主に穴あけ加工を行っていました。
 
 工程では、作業者の2時間ごとの自主検査に加え、巡回検査員を配置し定期的に加工した品物を検査するようにしていました。その巡回検査員の検査記録を見せてもらうと、プレス穴あけの穴位置寸法にNGがあることに気が付きました。
 
 金型に異常があったか、摩耗によるNGかと思いました。これが不良発生の原因ならば、その後の生産品もNGになるはずですが、そうではありませんでした。NGになったのは、巡回検査員が検査したものだけだったのです。
 
 つまり原因は別にあったのです。プレス作業をよく見てみると、作業者はワークを金型にセットするときに奥のピンに突き当てるように置いていました。ワークをピンに突き当てることで、位置を決めていたのです。
 
 この工法だと作業者がワークをきちんとピンに突き当てるかどうかで穴位置寸法が左右されてしまいます。作業者もしっかり突き当てるように指導されているので、ほとんどのものはピンに当たった状態でプレスされています。
 
 しかし、何かの拍子でピンに当たらない、正しい位置にセットされないこともあり得ます。例えば、異物が挟まっていたとか、ピンに突き当てた勢いで跳ねかえり隙間ができとかも起きるでしょう。また、作業者が当たっているものと思い込んでいたが、ちゃんとセットされていなかったなどです。
 
 この穴位置ずれ不良が厄介なのは、ランダムに発生するという点です。抜取りで検査しても、その前後の品物がOKである保証はないのです。かといって全数検査することはできません。中国人作業者は意識が低いと日本人駐在員は言います。それがわかっているのに、この工場のように工程の作業や工法が作業者の意識に頼っているものになっているのを見かけます。
 
 あなたの工場は、作業者の意識に依存した工程になっていませんか。作業者の意識に頼らない工法にすることが重要です。特に中国工場では金型を工夫して、正しい位置にしかワークをセットできないような構造にしなくてはなりません。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
「C型PDPC」とは(5) 【快年童子の豆鉄砲】(その87)

  3.「C型PDPC」の使い方 3)各ステップの進め方:【快年童子の豆鉄砲】(その86)からのつづき   【この連載の前...

  3.「C型PDPC」の使い方 3)各ステップの進め方:【快年童子の豆鉄砲】(その86)からのつづき   【この連載の前...


在庫を利用して購入コストを下げるには(その4)

1.在庫品と受注品を組み合わせて操業度を高める(自動車方式)    ブルウィップ効果の激しい受注生産品と安定的な在庫生産品の生産を組み合わせ...

1.在庫品と受注品を組み合わせて操業度を高める(自動車方式)    ブルウィップ効果の激しい受注生産品と安定的な在庫生産品の生産を組み合わせ...


必要なモノの揃え方 儲かるメーカー改善の急所101項(その78)

  6、強いモノづくり ◆ 必要なモノは必要な時に  どのような業界でも、モノづくりではたくさんの種類の材料や部品を用意して、工程ごと...

  6、強いモノづくり ◆ 必要なモノは必要な時に  どのような業界でも、モノづくりではたくさんの種類の材料や部品を用意して、工程ごと...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
柔軟なものづくり技術 伸びる金型メーカーの秘訣 (その23)

 今回、紹介する加工メーカーは、A鉄工所です。同社は、永年培った職人技術と、最新のレーザー切断やレーザー溶接などを駆使し、二百を超える多くの顧客の要望に応...

 今回、紹介する加工メーカーは、A鉄工所です。同社は、永年培った職人技術と、最新のレーザー切断やレーザー溶接などを駆使し、二百を超える多くの顧客の要望に応...


改善活動、金型メーカーとしてどのように活動を行うべきか 伸びる金型メーカーの秘訣 (その38)

        今回、紹介する金型メーカーは、株式会社 K工作所です。同社は、鍛造金型の設計・製造を行う金型...

        今回、紹介する金型メーカーは、株式会社 K工作所です。同社は、鍛造金型の設計・製造を行う金型...


経営者は積極的に現場へ

 今回は、経営者は積極的に現場へ、と言う論点で、現場診断での事例から解説します。   1. 現場診断事例  私の現場診断での事例を紹介します。あ...

 今回は、経営者は積極的に現場へ、と言う論点で、現場診断での事例から解説します。   1. 現場診断事例  私の現場診断での事例を紹介します。あ...