SQHKライン戦略とは(1) 【快年童子の豆鉄砲】(その75)

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1.設備管理がやりおおせない

今回から、表2-1の「喫緊の課題」の4番目「設備管理がやりおおせない」についてのご説明に入ります。

表2-1 中小企業が抱える喫緊の課題12と課題発生要因17に対する解決策の概要と記載場所

事業戦略

 


この「設備管理がやりおおせない」には、表2-1にありますように、2つの要因、即ち、「保全体制が実情に合っていない」(⑤)と、「生産性向上を狙った新設備の問題が多い」(⑥)が存在しており、前者(⑤)に対する解決手段「MPM」の説明は終わっていますので、ここからは、後者(⑥)に対する解決手段「SQHKライン」について、少し長くなりますが、結論に至るプロセスを含めてご説明いたしますので、参考にして頂ければと思います。

 

【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その74)へのリンク】

【連載記事】・新QC七つ道具 連関図法の使い方

【連載記事】・新QC七つ道具 親和図法の使い方

 

2.SQHKラインとは

1)SQHKとは

“SQHK”とは、生産設備の設計は、「SQ(安全・品質)のH(本質)をK(極め)れば、生産性は、自ずとハイレベルで付いてくる」と言う考え方を示す筆者の造語です。これは、筆者担当のブレーキシュー接着ラインが、工場移転を契機に、技術課が新設した生産性3倍のラインに関するものです。

 

確かに、必要圧力の発生を、旧ラインはターンバックルをスパナで回していたのが、新ラインは、リンクをハンマーでの一叩きでスプリングをたわませる方式で、生産性は3倍以上になったのですが、生産を続けていくうちに、赤チン災害が多発し、時に休業災害発生、品質も、不良率20%(手直し可能15%、廃棄5%)である上、作業者が女性でしたので、1㎏のハンマーを一日1000回打ち下ろすのが大変な上、職場環境が熱くて汚れが酷く、職場懇談会を開くたび、35項目の改善依頼が出る状態だったのです。

 

技術課が改善策を色々実施するのですが、10年経ってもさっぱり改善されないことから、現場係長であった筆者が一念発起、根本的改善構想を詳細なレポートで上司に直訴し、技術課を通さず、紹介された設備メーカーとの協業で画期的改善を実現させた経験をベースにした考え方です。

 

このラインは、災害ゼロ、不良率0%、作業者23人が8人になっただけでなく、職場懇談会で改善依頼のあった職場環境改善依頼35項目すべてをクリアすることが出来たのです。

 

実に大変でしたが、SQHKの考えに徹し、一切の妥協を排したことにより、現場担当の一係長であった筆者が具現できたことを思えば、中小企業でも可能と思われますので、これ以降の説明を参考にして頂き、画期的成果を手にして頂きたいと思います。

 

2)対象職場「ブレーキシューアッシー接着工程」の説明

今は、ディスクブレーキが主流ですが、小型車両の後輪には結構使われているドラムブレーキの、車輪と回転しているドラムに押し付けられた時発生する摩擦力で車を停めるのが「ブレーキシューアッシー(SA)」なのですが、そのSA製造ラインのメーン工程である「接着工程」の話です。先ず、SAは、...

仕事

 

1.設備管理がやりおおせない

今回から、表2-1の「喫緊の課題」の4番目「設備管理がやりおおせない」についてのご説明に入ります。

表2-1 中小企業が抱える喫緊の課題12と課題発生要因17に対する解決策の概要と記載場所

事業戦略

 


この「設備管理がやりおおせない」には、表2-1にありますように、2つの要因、即ち、「保全体制が実情に合っていない」(⑤)と、「生産性向上を狙った新設備の問題が多い」(⑥)が存在しており、前者(⑤)に対する解決手段「MPM」の説明は終わっていますので、ここからは、後者(⑥)に対する解決手段「SQHKライン」について、少し長くなりますが、結論に至るプロセスを含めてご説明いたしますので、参考にして頂ければと思います。

 

【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その74)へのリンク】

【連載記事】・新QC七つ道具 連関図法の使い方

【連載記事】・新QC七つ道具 親和図法の使い方

 

2.SQHKラインとは

1)SQHKとは

“SQHK”とは、生産設備の設計は、「SQ(安全・品質)のH(本質)をK(極め)れば、生産性は、自ずとハイレベルで付いてくる」と言う考え方を示す筆者の造語です。これは、筆者担当のブレーキシュー接着ラインが、工場移転を契機に、技術課が新設した生産性3倍のラインに関するものです。

 

確かに、必要圧力の発生を、旧ラインはターンバックルをスパナで回していたのが、新ラインは、リンクをハンマーでの一叩きでスプリングをたわませる方式で、生産性は3倍以上になったのですが、生産を続けていくうちに、赤チン災害が多発し、時に休業災害発生、品質も、不良率20%(手直し可能15%、廃棄5%)である上、作業者が女性でしたので、1㎏のハンマーを一日1000回打ち下ろすのが大変な上、職場環境が熱くて汚れが酷く、職場懇談会を開くたび、35項目の改善依頼が出る状態だったのです。

 

技術課が改善策を色々実施するのですが、10年経ってもさっぱり改善されないことから、現場係長であった筆者が一念発起、根本的改善構想を詳細なレポートで上司に直訴し、技術課を通さず、紹介された設備メーカーとの協業で画期的改善を実現させた経験をベースにした考え方です。

 

このラインは、災害ゼロ、不良率0%、作業者23人が8人になっただけでなく、職場懇談会で改善依頼のあった職場環境改善依頼35項目すべてをクリアすることが出来たのです。

 

実に大変でしたが、SQHKの考えに徹し、一切の妥協を排したことにより、現場担当の一係長であった筆者が具現できたことを思えば、中小企業でも可能と思われますので、これ以降の説明を参考にして頂き、画期的成果を手にして頂きたいと思います。

 

2)対象職場「ブレーキシューアッシー接着工程」の説明

今は、ディスクブレーキが主流ですが、小型車両の後輪には結構使われているドラムブレーキの、車輪と回転しているドラムに押し付けられた時発生する摩擦力で車を停めるのが「ブレーキシューアッシー(SA)」なのですが、そのSA製造ラインのメーン工程である「接着工程」の話です。先ず、SAは、図57-1のような形をしていて、リムとウエブをプロジェクション溶接したブレーキシューにブレーキライニング(BL)を接着したものです。

 

鉄で出来たブレーキシューに摩擦材(フェノール樹脂)であるブレーキライニング(BL)を接着するには、接着剤(フェノール系)を塗布して乾燥させたBLをブレーキシューに圧力をかけた状態で、200℃以上の温度で30分間加熱する必要があります。高温の中で30分間、どのようにしてBLをブレーキシューに加圧するのかについては、次回に続きます。

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この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。


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