【快年童子の豆鉄砲】(その115)QCサークル活動スパイラルアップ戦略(2)

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  【快年童子の豆鉄砲】(その115)QCサークル活動スパイラルアップ戦略(2)

 

前回の【快年童子の豆鉄砲】(その114)QCサークル活動スパイラルアップ戦略(1)からの続きです。

 

2. 何故QCサークル活動が必要なのか

QCサークル活動が非常に重要と、トップマネジメントの観点からの2項目は、前回に記載しました。

 

3)ミドルマネジメントの観点から

現在のミドルマネジメント(MM)にとっての最大の悩みは、トラブルや部下の業務分担欠落への対応に追われ、本来業務に割く時間が取れず、結果として、担当組織の機能不全に見舞われている点です。なぜそのような状態になっているのか、そして、その解決に、QCサークル活動がどのように役立つのかをご説明したいと思います。

 

① 機能するシステム運営とは

機能するシステム運営とは、3つのステップ(稼働、修正、改善)と3つのサイクル(Plan、Do、See)を掛け合わせてできる9つの分担業務がきちんと行われて初めて成り立ちます。そのように計画されたシステム運営マトリックス図が図97-1です。

 

② システム運営の現状

ところが、実際の分担状況は、図97-2のようになっており、作業者に分担の欠落が生じ、そのために発生するトラブル処理のために発生する現場責任者の欠落部分を、スタッフ・管理者が埋めようとするが埋めきれず、分担欠落部が生じ、結果としてシステムが機能しないのが現状なのではないでしょうか。

【快年童子の豆鉄砲】(その115)QCサークル活動スパイラルアップ戦略(2)

何故このようなことが起こるのかを考えてみますと、作業設計は、“D”と“稼働”を掛け合わせた四角内が作業者の分担になっているのですが、作業には、作業者ならではの気付きによる修正必要箇所が存在しますので、そのままだとそれが原因の問題が発生し、結果として、作業者の分担をやり果せないことになるのです。そして、発生した問題解決のために、スタッフや管理者が時間を取られた分、本来業務に欠落が生じると言うのが、長年の経験から来る結論です。

 

③ QCサークル活動がこの現状を救ってくれる 

QCサークル活動がこの現状を救ってくれるとはどういうことかといいますと、作業者ならではの気付きによる修正必要箇所に対する対処を、作業者が主体のQCサークル活動に担当してもらうということです。そうすれば、図97-3のような、機能する分担が可能になり、分担欠落部分がなくなり、ミドルマネジメントは自分の仕事に集中でき、結果として、職場の問題解決がなされ職場の改善、発展につながるのです。

【快年童子の豆鉄砲】(その115)QCサークル活動スパイラルアップ戦略(2)

④ そのようなQCサークル活動にするためには

カギを握るのが、QCサークル活動の「テーマの選定」と「自主性の活かし方」です。先ず「テーマの選定」ですが、一般的なサークルの自主性に任せるのではなく、上述のような、QCサークルならではの着眼点のもので、しかも、解決した暁には、職場の成長に繋がるようなものになるよう、サークルリーダーを通じて誘導することです。そして「自主性の活かし方」は、テーマ解決活動の中で存分に発揮してもらうことです。このような活動であれば、職制のサポートも十分受けることが出来ますので活動も順調に進み、成果も職場全体で享受することができ、次のテーマに弾みがつくという具合です。

 

要するに、職制と一体となった活動が決め手で、QCサークル綱領のトップにある“自主性”を尊重するあまり、テーマ選定を含めた全活動をサークルに任せる事例を耳にしますが、往々にして、活動のための活動になりがちで、成果なく、活動の停滞を招きがちですので要注意です。...

 
  【快年童子の豆鉄砲】(その115)QCサークル活動スパイラルアップ戦略(2)

 

前回の【快年童子の豆鉄砲】(その114)QCサークル活動スパイラルアップ戦略(1)からの続きです。

 

2. 何故QCサークル活動が必要なのか

QCサークル活動が非常に重要と、トップマネジメントの観点からの2項目は、前回に記載しました。

 

3)ミドルマネジメントの観点から

現在のミドルマネジメント(MM)にとっての最大の悩みは、トラブルや部下の業務分担欠落への対応に追われ、本来業務に割く時間が取れず、結果として、担当組織の機能不全に見舞われている点です。なぜそのような状態になっているのか、そして、その解決に、QCサークル活動がどのように役立つのかをご説明したいと思います。

 

① 機能するシステム運営とは

機能するシステム運営とは、3つのステップ(稼働、修正、改善)と3つのサイクル(Plan、Do、See)を掛け合わせてできる9つの分担業務がきちんと行われて初めて成り立ちます。そのように計画されたシステム運営マトリックス図が図97-1です。

 

② システム運営の現状

ところが、実際の分担状況は、図97-2のようになっており、作業者に分担の欠落が生じ、そのために発生するトラブル処理のために発生する現場責任者の欠落部分を、スタッフ・管理者が埋めようとするが埋めきれず、分担欠落部が生じ、結果としてシステムが機能しないのが現状なのではないでしょうか。

【快年童子の豆鉄砲】(その115)QCサークル活動スパイラルアップ戦略(2)

何故このようなことが起こるのかを考えてみますと、作業設計は、“D”と“稼働”を掛け合わせた四角内が作業者の分担になっているのですが、作業には、作業者ならではの気付きによる修正必要箇所が存在しますので、そのままだとそれが原因の問題が発生し、結果として、作業者の分担をやり果せないことになるのです。そして、発生した問題解決のために、スタッフや管理者が時間を取られた分、本来業務に欠落が生じると言うのが、長年の経験から来る結論です。

 

③ QCサークル活動がこの現状を救ってくれる 

QCサークル活動がこの現状を救ってくれるとはどういうことかといいますと、作業者ならではの気付きによる修正必要箇所に対する対処を、作業者が主体のQCサークル活動に担当してもらうということです。そうすれば、図97-3のような、機能する分担が可能になり、分担欠落部分がなくなり、ミドルマネジメントは自分の仕事に集中でき、結果として、職場の問題解決がなされ職場の改善、発展につながるのです。

【快年童子の豆鉄砲】(その115)QCサークル活動スパイラルアップ戦略(2)

④ そのようなQCサークル活動にするためには

カギを握るのが、QCサークル活動の「テーマの選定」と「自主性の活かし方」です。先ず「テーマの選定」ですが、一般的なサークルの自主性に任せるのではなく、上述のような、QCサークルならではの着眼点のもので、しかも、解決した暁には、職場の成長に繋がるようなものになるよう、サークルリーダーを通じて誘導することです。そして「自主性の活かし方」は、テーマ解決活動の中で存分に発揮してもらうことです。このような活動であれば、職制のサポートも十分受けることが出来ますので活動も順調に進み、成果も職場全体で享受することができ、次のテーマに弾みがつくという具合です。

 

要するに、職制と一体となった活動が決め手で、QCサークル綱領のトップにある“自主性”を尊重するあまり、テーマ選定を含めた全活動をサークルに任せる事例を耳にしますが、往々にして、活動のための活動になりがちで、成果なく、活動の停滞を招きがちですので要注意です。

 

⑤ QCサークル活動の進め方

ただ、実際にやろうとしますと、QCサークルの能力・メンバーとも千差万別、職場の事情も色々ですので、上述のようなわけにはいかないケースが多いのです。だからと言って諦めるわけにはいきませんので、QCサークルのあらゆるケースを受け入れて、最終的に目指すところに導く「QCサークル活動の進め方」が本項目のテーマで、次回以降で詳しくご説明しますので参考にして頂きたいと思います。社員の観点からは次回でご説明します。

 

 

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この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。


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