MD解析法による適材適所配属(7) 【快年童子の豆鉄砲】(その99)

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3. 事例2にみる「適材適所配属」のためのMD解析法の使い方

1)はじめに

事例1は、40年以上前のものですので、数値的な面も含めて全貌をご紹介することが出来ましたが、この事例2は、現在進行中のもので、本来開示は難しいのですが、色々な意味で示唆に富む事例ですので、お許しを得た範囲内でご紹介しますので、参考にして頂ければと思います。

 

2)事例の背景

この事例は、品質経営のお手伝いの一環として、N7(新QC七つ道具)のプレゼンをする中で、前回の事例1をご紹介したところ、人事担当の方から「職業適性検査ではないが、20数年前から入社者に対して実施している16項目の性格テストデータが200人分くらいあるので、MD解析にかけてみたい」とのお話がありスタートしたものです。

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3)MD解析の目的

担当者の方は、事例1の紹介を通じてMD解析法を十分理解され、導入目的を下表のように明確にされておられる点は、参考にして頂けるのではないかと思います。

 

表81-1 MD解析の目的

MD

 

4)マトリックス・データ(MD)の検討

MD解析法が対象とする事象は、複雑で掴みどころがないため、少しでも理解できればと、気になる点についてのデータを取り、結構なMDが手に入るのですが、その解釈をめぐって折り合いがつかず、しかるべき人の解釈を採用せざるを得なくなるのですが、結果的にその結論に納得できない人には、その結論をベースにした計画には積極的な協力を得られず、総じて、成果が今一つと言ったことになりがちなのです。

 

その点、MD解析法の結論は、メンバーの総意として全員に納得して受け入れられ易いのですが、問題は、少々の違和感があっても、数字で示される結論に納得させられ、モヤモヤが残ってしまう危険性の存在です。

 

そうなるのは、解析した既存のMDの情報が不十分な場合が殆どで、十分さの判定基準は、Step8で求めた寄与率の累計が、第1・第2主成分までで60~80%であることが一般的で、解析が終わった時点で、上記要件を満たしているかの検討が必要です。

 

ところがこの事例は、その基準を満たしておらず、約1年かけてMDに対する検討を重ねたのですが、その内容は、示唆に富むものですので、下図に取りまとめましたので参考にして頂ければと思います。

 

MD

図81-1 既存マトリックス・データの検討PDCA-TC (注) %は第一・第二主成分の累積寄与率

(注)上図の「PDCA-TC」は、N7の内、唯一数値データを扱う「MD解析法」の代わりに、筆者オリジナルの「PDCA-TC法」を入れて「言語データ解析七つ道具」としたいわくつきの手法で、PDCA-Tracing Chartの略です。上図を見て頂ければ一目瞭然でご理解願え、色々ご活用願えるのではないかと思います。手法として陽の目を見ることになったのは、N7研究会で、PDPC法で進めた危機管理の結果が、中々うまく説明できないというお話があり、PDPC法のフォロー手法として紹介したところ大変好評で、N7入門セミナーテキストに、N7の周辺手法として紹介されるまでになったというもの...

PDCA

 

3. 事例2にみる「適材適所配属」のためのMD解析法の使い方

1)はじめに

事例1は、40年以上前のものですので、数値的な面も含めて全貌をご紹介することが出来ましたが、この事例2は、現在進行中のもので、本来開示は難しいのですが、色々な意味で示唆に富む事例ですので、お許しを得た範囲内でご紹介しますので、参考にして頂ければと思います。

 

2)事例の背景

この事例は、品質経営のお手伝いの一環として、N7(新QC七つ道具)のプレゼンをする中で、前回の事例1をご紹介したところ、人事担当の方から「職業適性検査ではないが、20数年前から入社者に対して実施している16項目の性格テストデータが200人分くらいあるので、MD解析にかけてみたい」とのお話がありスタートしたものです。

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3)MD解析の目的

担当者の方は、事例1の紹介を通じてMD解析法を十分理解され、導入目的を下表のように明確にされておられる点は、参考にして頂けるのではないかと思います。

 

表81-1 MD解析の目的

MD

 

4)マトリックス・データ(MD)の検討

MD解析法が対象とする事象は、複雑で掴みどころがないため、少しでも理解できればと、気になる点についてのデータを取り、結構なMDが手に入るのですが、その解釈をめぐって折り合いがつかず、しかるべき人の解釈を採用せざるを得なくなるのですが、結果的にその結論に納得できない人には、その結論をベースにした計画には積極的な協力を得られず、総じて、成果が今一つと言ったことになりがちなのです。

 

その点、MD解析法の結論は、メンバーの総意として全員に納得して受け入れられ易いのですが、問題は、少々の違和感があっても、数字で示される結論に納得させられ、モヤモヤが残ってしまう危険性の存在です。

 

そうなるのは、解析した既存のMDの情報が不十分な場合が殆どで、十分さの判定基準は、Step8で求めた寄与率の累計が、第1・第2主成分までで60~80%であることが一般的で、解析が終わった時点で、上記要件を満たしているかの検討が必要です。

 

ところがこの事例は、その基準を満たしておらず、約1年かけてMDに対する検討を重ねたのですが、その内容は、示唆に富むものですので、下図に取りまとめましたので参考にして頂ければと思います。

 

MD

図81-1 既存マトリックス・データの検討PDCA-TC (注) %は第一・第二主成分の累積寄与率

(注)上図の「PDCA-TC」は、N7の内、唯一数値データを扱う「MD解析法」の代わりに、筆者オリジナルの「PDCA-TC法」を入れて「言語データ解析七つ道具」としたいわくつきの手法で、PDCA-Tracing Chartの略です。上図を見て頂ければ一目瞭然でご理解願え、色々ご活用願えるのではないかと思います。手法として陽の目を見ることになったのは、N7研究会で、PDPC法で進めた危機管理の結果が、中々うまく説明できないというお話があり、PDPC法のフォロー手法として紹介したところ大変好評で、N7入門セミナーテキストに、N7の周辺手法として紹介されるまでになったというものです。

 

このデータ検討には、上図では省略した紆余曲折も含めて1年以上かけたのに、結果は、元の16項目の採用となっていますので、無駄足を踏んだと言う印象を持たれるかもしれませんが、この間の数知れない仮説検証のステップを踏む中で手にしたMD解析法に対する深い理解だけでなく、社員の総合力把握とは何かに対する深い追及から得たものは、今後の活動の支えになるものと思っているのですが、その一端なりともご理解願えることを願っての上図のご紹介ですので、参考にして頂ければと思います。

 

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この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。


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