プロシューマー・アンケート法(6) 【快年童子の豆鉄砲】(その47)

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事業戦略

 

◆プロシューマー・アンケート法(6)

1.「プロシューマー・アンケート(PA)」で採取した情報の親和図法解析手順

1)はじめに

解析に使う手法は、親和図法なのですが、通常の身近なテーマに対する思いを集めて言語データ化して解析する使い方とは違い、今回の場合は、テーマが「市場創造型商品コンセプト」と言った茫漠とした内容的に理解し難いものですので、テーマに対する“思い”を表現できる人が、ある程度レベルの高い人に限られてしまい、十分な情報入手が難しいところが問題です。その点に対する対策として、データ採取の問いかけの対象を、“思い”直接ではなく、その“思い”の延長線上に存在する“ニーズ”を、“夢ニーズ”、“期待ニーズ”、“改善ニーズ”という形で問い掛けることにしました。

 

要するに、ご本人の“思い”を直接聞く場合は、ご本人の“思い”をご自分の中で具体化する必要があるのですが、欲しいのは“思い”のこもった“ニーズ”ですので、 一歩踏み込んで、その“ニーズ”を3つのレベルにかみ砕いて問うことにより、欲しい情報を手に入れ易くしようというわけです。

 

ただ、この場合、“思い”に対しては間接的な採取になるのですが、言語データの解析により、その思い、時にはそれ以上の思いをくみ取ることが出来ますので、解析に当たってはその点を留意する必要があります。

 

 

【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その46)へのリンク】

2)解析手順

①データの採取

採取したデータを、“夢ニーズ”、“期待ニーズ”、“改善ニーズ”に分けて一覧表とし、それぞれのナンバーにY、K,k、を付してどのニーズか分かるようにする。

 

②データのカード化

データをカード化する際、メンバー全員が見やすいように壁に貼った状態で解析できるようポストイット(15mm×50mm)に記入するのがお勧めです。その際、使うポストイットカードの色を、“夢ニーズ”は赤、“期待ニーズ”は緑、“改善ニーズ”は黄色、と言った具合に変えておくと後々便利です。

 

③データの親和性解析

壁に全データを貼り、全員でデータの親和性をチェックし、親和性ありと判断できる組み合わせが見つかったら、全員に説明し、合意を得たら、思いを汲み取った“一次表札”を作るのですが、思いの表現が結構長い文章になることがありますので、大きめのポストイット(25mm×75mmや50mm×75mm)を使うといいです。そして、作った1次表札の裏に、データカードを貼っておきます。この作業を、2次、3次、4次と続け、ポストイットのサイズも必要に応じて大きいものを使い、色も、青、緑、濃紺、ピンクなど、色を見れば何次の表札か分かるようにしておくと便利です。

 

④グルーピング

親和性追及が、3次、4次になってくると、新たな表札を作るほどの親和性はないが、グループと言えるくらいの近しさのあるものが出てきますので、そういったものをグルーピングして、グループの名前を付けて一括りにしておきます。

 

⑤カードを解束して親和図の作成

グルーピングが終わり、全貌が把握できたところで、束ねたカード(データ)をほどいて、1次、2次、3次、4次ごとにその表札の色の線で括った親和図を完成させる。

 

⑥グループの優先順位の検討

上記親和図を全員で検討し、目的としている「市場創造型商品コンセプト入手」と言う観点からみたグループの優先順位を検討し、ランク付けする。

 

⑦的を絞ったテーマのプロシューマー・アンケートの実施

出来上がった親和図の全貌をチェックしてみると、思いを汲み取り切っている感じのグループと、汲み取り切れていない感じのグループが存在します。後者のグループに対しては、そのグループにふさわしいテーマに絞ったプロシューマー・アンケートを実施することにより、思いをくみ取り切って親和図を完成させる。

 

⑧グループ別に「A型図解」「B型文章化」の作成

優先順位の高いグループの親和図を清書して「A型図解」を完成させ、それを見て、思いを汲み取り「B型文章化」を作成する中で、求めるコンセプトの方向、範囲などに言及する。

 

⑨議論を重ねて最終的に採用する商品コンセプトを決定する

優先順位の高いグループから、市場ニーズ、シーズ、実現性、実現にかかる費用、などについて議論し、必要に応じて調査した上で、採用するコンセプトを決める。この場合、当初予測した優先順位が入れ替わることを厭わない柔軟な姿勢が大切です。と言うのは、折角の貴重なコンセプトを、先入観で潰してしまう危険を避けるためです。

 

3)まとめ

【快年童子の豆鉄砲】(その5)なぜ、「言語データ解析」なのか (1)からご説明してきたのは、表2-1の喫緊の課題の11番目「将来を支える商品開発ができない」の背景「市場創造型商品開発能力不足」に対する解決手段、即ち「市場創造型商品コンセプトの開発手段」としての「夢商品開発七つ道具(Y7)」の最初「プロシューマ―・アンケート法」についてです。

表2-1 中小企業が抱える喫緊の課題12と課題発生要因17に対する解決策の概要と記載場所

事業戦略

 

 

以上のご説明に加えて事例をご紹介できればいいのですが、内容的に開示が難しいので、このプロシューマ―・アンケート法に賛同して採用して頂いた中小企業で、活動を主導された幹部の方の総括を下表でご紹介しますので、活動採用のご参考にして頂ければと思います。

 

表120-1 プロシューマー・アンケート法の活動を主導された幹部の感想

親和図法

 

ところで、このY7は、名前の通り、7つの手法群なのですが「市場創造型商品コンセプトの開発手段」として機能するのは、この「プロシューマ―・アンケート(PA)法」だけですので、6弾を使ってご説明しました。

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事業戦略

 

◆プロシューマー・アンケート法(6)

1.「プロシューマー・アンケート(PA)」で採取した情報の親和図法解析手順

1)はじめに

解析に使う手法は、親和図法なのですが、通常の身近なテーマに対する思いを集めて言語データ化して解析する使い方とは違い、今回の場合は、テーマが「市場創造型商品コンセプト」と言った茫漠とした内容的に理解し難いものですので、テーマに対する“思い”を表現できる人が、ある程度レベルの高い人に限られてしまい、十分な情報入手が難しいところが問題です。その点に対する対策として、データ採取の問いかけの対象を、“思い”直接ではなく、その“思い”の延長線上に存在する“ニーズ”を、“夢ニーズ”、“期待ニーズ”、“改善ニーズ”という形で問い掛けることにしました。

 

要するに、ご本人の“思い”を直接聞く場合は、ご本人の“思い”をご自分の中で具体化する必要があるのですが、欲しいのは“思い”のこもった“ニーズ”ですので、 一歩踏み込んで、その“ニーズ”を3つのレベルにかみ砕いて問うことにより、欲しい情報を手に入れ易くしようというわけです。

 

ただ、この場合、“思い”に対しては間接的な採取になるのですが、言語データの解析により、その思い、時にはそれ以上の思いをくみ取ることが出来ますので、解析に当たってはその点を留意する必要があります。

 

 

【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その46)へのリンク】

2)解析手順

①データの採取

採取したデータを、“夢ニーズ”、“期待ニーズ”、“改善ニーズ”に分けて一覧表とし、それぞれのナンバーにY、K,k、を付してどのニーズか分かるようにする。

 

②データのカード化

データをカード化する際、メンバー全員が見やすいように壁に貼った状態で解析できるようポストイット(15mm×50mm)に記入するのがお勧めです。その際、使うポストイットカードの色を、“夢ニーズ”は赤、“期待ニーズ”は緑、“改善ニーズ”は黄色、と言った具合に変えておくと後々便利です。

 

③データの親和性解析

壁に全データを貼り、全員でデータの親和性をチェックし、親和性ありと判断できる組み合わせが見つかったら、全員に説明し、合意を得たら、思いを汲み取った“一次表札”を作るのですが、思いの表現が結構長い文章になることがありますので、大きめのポストイット(25mm×75mmや50mm×75mm)を使うといいです。そして、作った1次表札の裏に、データカードを貼っておきます。この作業を、2次、3次、4次と続け、ポストイットのサイズも必要に応じて大きいものを使い、色も、青、緑、濃紺、ピンクなど、色を見れば何次の表札か分かるようにしておくと便利です。

 

④グルーピング

親和性追及が、3次、4次になってくると、新たな表札を作るほどの親和性はないが、グループと言えるくらいの近しさのあるものが出てきますので、そういったものをグルーピングして、グループの名前を付けて一括りにしておきます。

 

⑤カードを解束して親和図の作成

グルーピングが終わり、全貌が把握できたところで、束ねたカード(データ)をほどいて、1次、2次、3次、4次ごとにその表札の色の線で括った親和図を完成させる。

 

⑥グループの優先順位の検討

上記親和図を全員で検討し、目的としている「市場創造型商品コンセプト入手」と言う観点からみたグループの優先順位を検討し、ランク付けする。

 

⑦的を絞ったテーマのプロシューマー・アンケートの実施

出来上がった親和図の全貌をチェックしてみると、思いを汲み取り切っている感じのグループと、汲み取り切れていない感じのグループが存在します。後者のグループに対しては、そのグループにふさわしいテーマに絞ったプロシューマー・アンケートを実施することにより、思いをくみ取り切って親和図を完成させる。

 

⑧グループ別に「A型図解」「B型文章化」の作成

優先順位の高いグループの親和図を清書して「A型図解」を完成させ、それを見て、思いを汲み取り「B型文章化」を作成する中で、求めるコンセプトの方向、範囲などに言及する。

 

⑨議論を重ねて最終的に採用する商品コンセプトを決定する

優先順位の高いグループから、市場ニーズ、シーズ、実現性、実現にかかる費用、などについて議論し、必要に応じて調査した上で、採用するコンセプトを決める。この場合、当初予測した優先順位が入れ替わることを厭わない柔軟な姿勢が大切です。と言うのは、折角の貴重なコンセプトを、先入観で潰してしまう危険を避けるためです。

 

3)まとめ

【快年童子の豆鉄砲】(その5)なぜ、「言語データ解析」なのか (1)からご説明してきたのは、表2-1の喫緊の課題の11番目「将来を支える商品開発ができない」の背景「市場創造型商品開発能力不足」に対する解決手段、即ち「市場創造型商品コンセプトの開発手段」としての「夢商品開発七つ道具(Y7)」の最初「プロシューマ―・アンケート法」についてです。

表2-1 中小企業が抱える喫緊の課題12と課題発生要因17に対する解決策の概要と記載場所

事業戦略

 

 

以上のご説明に加えて事例をご紹介できればいいのですが、内容的に開示が難しいので、このプロシューマ―・アンケート法に賛同して採用して頂いた中小企業で、活動を主導された幹部の方の総括を下表でご紹介しますので、活動採用のご参考にして頂ければと思います。

 

表120-1 プロシューマー・アンケート法の活動を主導された幹部の感想

親和図法

 

ところで、このY7は、名前の通り、7つの手法群なのですが「市場創造型商品コンセプトの開発手段」として機能するのは、この「プロシューマ―・アンケート(PA)法」だけですので、6弾を使ってご説明しました。

 

後の6つは、このPA法で手に入れたコンセプトを効率よく確実に商品化するための手法群で、それぞれしかるべき内容があり、本格的な説明には大変なページ数を要しますが、本題と外れますので、次弾以降で、各手法について、その必要性とそれに対する手法のポイントを、1手法1弾を使ってご説明致しますので、Y7のご理解の一助にして頂ければと思います。

 

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この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。


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