【快年童子の豆鉄砲】(その127)タグチメソッドとは(3)

投稿日

【快年童子の豆鉄砲】(その127)タグチメソッドとは(3)

 

3. 伊奈製陶(現INAX)におけるタイル製造の焼付工程の改善事例

1)はじめに

前回の【快年童子の豆鉄砲】(その126)タグチメソッドとは(2)「3-2)タグチメソッドの原点」で言及した事例について、田口氏ご自身が、品質工学Vol 12 No.4に詳しく説明しておられますので、その内容のポイントをご紹介しています。次の見出し番号は、今回の連載解説、通し番号になります。

 

8) 最適条件と推定不良率

前回の表108-4(下記)から最適条件は「A1B2C2D1E2F1G2」となり、工程平均の予測は、データがデシベルの和ですので、下記のようになります。

【快年童子の豆鉄砲】(その126)タグチメソッドとは(2)

          

 

9) 実施結果とまとめ

製造での実績は2%だったのですが、その結果を受けて、この論説では、この実験結果に対し下記のようにまとめられています。

 

『この実験は次の点で品質工学の方法へと発展させた重要な例である。(1)小実験(研究室では2kgのポットミルで調合)で500倍の大きさあの実工程の最適条件を求めることが出来た。(2)主効果のみを割り付ける直行表の実験が下流への再現性の予測に大切である。(3)特性値を合理化して、制御因子の効果が加法性を持つようにすることが大切である。』

 

以上ですが、(3)は、因子の交互作用効果をなくすために実施したオメガ変換のことを言っています。

 

4.まとめ

以上は、タグチメソッドの原点ともいえる、条件変化に強い製品を設計するロバスト設計の説明ですが、その後の事例研究を経て、解析対象の機能変動の数値化指標としての“S/N比”、入力に対する出力の大きさで効率を示す“感度”と言った概念が生まれ、最終的に、MT法(Maharanobis-Taguchi System:多変量解析に品質工学の理論を融合させた手法群の総称)として総括され、幅広い分野で活用されつつ発展を続けています。

 

とてもここでは説明しきれませんので、【快年童子の豆鉄砲】(その125)タグチメソッドとは(1)でご紹介した「タグチメソッド入門」を起点として勉強され、具体的なテーマが見つかった時点で、しかるべき経験者の指導を受け...

【快年童子の豆鉄砲】(その127)タグチメソッドとは(3)

 

3. 伊奈製陶(現INAX)におけるタイル製造の焼付工程の改善事例

1)はじめに

前回の【快年童子の豆鉄砲】(その126)タグチメソッドとは(2)「3-2)タグチメソッドの原点」で言及した事例について、田口氏ご自身が、品質工学Vol 12 No.4に詳しく説明しておられますので、その内容のポイントをご紹介しています。次の見出し番号は、今回の連載解説、通し番号になります。

 

8) 最適条件と推定不良率

前回の表108-4(下記)から最適条件は「A1B2C2D1E2F1G2」となり、工程平均の予測は、データがデシベルの和ですので、下記のようになります。

【快年童子の豆鉄砲】(その126)タグチメソッドとは(2)

          

 

9) 実施結果とまとめ

製造での実績は2%だったのですが、その結果を受けて、この論説では、この実験結果に対し下記のようにまとめられています。

 

『この実験は次の点で品質工学の方法へと発展させた重要な例である。(1)小実験(研究室では2kgのポットミルで調合)で500倍の大きさあの実工程の最適条件を求めることが出来た。(2)主効果のみを割り付ける直行表の実験が下流への再現性の予測に大切である。(3)特性値を合理化して、制御因子の効果が加法性を持つようにすることが大切である。』

 

以上ですが、(3)は、因子の交互作用効果をなくすために実施したオメガ変換のことを言っています。

 

4.まとめ

以上は、タグチメソッドの原点ともいえる、条件変化に強い製品を設計するロバスト設計の説明ですが、その後の事例研究を経て、解析対象の機能変動の数値化指標としての“S/N比”、入力に対する出力の大きさで効率を示す“感度”と言った概念が生まれ、最終的に、MT法(Maharanobis-Taguchi System:多変量解析に品質工学の理論を融合させた手法群の総称)として総括され、幅広い分野で活用されつつ発展を続けています。

 

とてもここでは説明しきれませんので、【快年童子の豆鉄砲】(その125)タグチメソッドとは(1)でご紹介した「タグチメソッド入門」を起点として勉強され、具体的なテーマが見つかった時点で、しかるべき経験者の指導を受けつつ活用し、成果につなげていかれればと思います。

 

◆関連解説記事:超実践 品質工学 【連載記事紹介】

 

【ものづくり セミナーサーチ】 セミナー紹介:国内最大級のセミナー掲載数 〈ものづくりセミナーサーチ〉 はこちら!

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。


「品質工学(タグチメソッド)総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
エネルギー比型SN比の利点と活用成果 【連載記事紹介】

       エネルギー比型SN比の利点と活用成果の連載記事が、無料でお読みいただけます!   ...

       エネルギー比型SN比の利点と活用成果の連載記事が、無料でお読みいただけます!   ...


QCDの同時達成、品質工学の役割とは

 経済成長は入力エネルギーの効率的な活用で、出力エネルギーを高めることが大切です。すなわち、無駄なエネルギーを排除して成果を出すことが必要です。今までは、...

 経済成長は入力エネルギーの効率的な活用で、出力エネルギーを高めることが大切です。すなわち、無駄なエネルギーを排除して成果を出すことが必要です。今までは、...


ほんまもんの技術者とは (その1)

1.はじめに  今回は、ものづくりCOMでの初めての発言です。皆さまからのご意見を頂ければ幸いです。  私が品質工学の道にはいって約20数年になります...

1.はじめに  今回は、ものづくりCOMでの初めての発言です。皆さまからのご意見を頂ければ幸いです。  私が品質工学の道にはいって約20数年になります...


「品質工学(タグチメソッド)総合」の活用事例

もっと見る
CAPDサイクルがとても大きなリスクとは? CAPDからPDCA そしてPDSAへ

  ◆ ロバストパラメータ設計からCS-T法へのステップアップは、PDCAからPDSAへのステップアップに相当 KANOモデルやQFDを...

  ◆ ロバストパラメータ設計からCS-T法へのステップアップは、PDCAからPDSAへのステップアップに相当 KANOモデルやQFDを...


TRIZを含む科学的アプローチの推進 ~全社的な開発力向上と事業貢献を目指した取り組み

♦開発期間短縮、課題解決力向上などに成果  今回は2019年に創立100周年を迎え、グローバルカンパニーとして世界シェア70%の消化器内視鏡...

♦開発期間短縮、課題解決力向上などに成果  今回は2019年に創立100周年を迎え、グローバルカンパニーとして世界シェア70%の消化器内視鏡...


品質問題を未然防止するタグチメソッドの適用事例 

  1.  タグチメソッド ~ 仕組み以前にコンセプトが理解しにくい  以前3回にわたって「考え方」「機能性評価」「直交表」につい...

  1.  タグチメソッド ~ 仕組み以前にコンセプトが理解しにくい  以前3回にわたって「考え方」「機能性評価」「直交表」につい...