なぜ、「言語データ解析」なのか (1) 【快年童子の豆鉄砲】(その5)

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仕事

 

【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その4)職人気質へのリンク】

 

1.言語データ解析と言う概念

表2-1に挙げた中小企業の喫緊の課題17のうち、かなり重要な6つの解決策は「言語データ解析」が重要な位置づけを占めるものです。ところが、この「言語データ解析」と言う概念は、あまり一般的ではありませんので、ご理解を得ておく必要があるだろうと考えて本題に入る前に取り上げました。これを契機として、言語データ解析に対するご理解を得て、幅広く活用していただき、成果につながることを期待したいと思います。

表2-1 中小企業が抱える喫緊の課題12と課題発生要因17に対する解決策の概要と記載場所

事業戦略

 

2.言語をデータと言えるのか?

“言語データ”と言う言葉を最初に使ったのは、筆者の知る限りでは、新QC七つ道具(略称:N7)提唱の書「管理者・スタッフの 新QC七つ道具」だと思うのですが、“データ=数値データ”と言う認識だった筆者にとってはかなりの違和感がありました。

 

そこで、改めて「データ」を広辞苑で引いてみたところ「立論・計算の基礎となる、既知のあるいは認容された事実・数値。資料。与件。」とあり、なるほどと納得しましたので、皆さんの中にも同じ疑問をお持ちの方もおられるのではと思い、最初に確認のためにこの項を設けました。

 

3.言語データって解析できるものなのか?

N7提唱の書では、N7を“言語データを整理する手法”としており、今の一般的な使い方から言えば相応しい表現ではないかと思います。

 

しかし、スタッフワークに使って成果を得るような使い方をしてきた実感からしますと、“整理”ではとても説明がつかず“解析”と言う認識が必要で、「言語データ解析」という表現を使っています。こちらも違和感を持たれる方がおられると思うのですが、広辞苑で“解析”を引いてみると「物事を細かく解き開き、理論に基づいて研究すること」とあり、まさしく筆者の実感と一致しておりホッとしています。

 

4.経営者にとっての言語データ解析の必要性

言語データの解析そのものは、スタッフワークですが、解析対象は、表2-1でお分かり頂けるように、経営課題そのものと言えるのですが、何故そう言えるのかを演繹的視点からご説明致しますので、ご活用の際の参考にして頂ければと思います。

 

1)パラダイムシフトが生む経営に対する“ニーズシフト”への対応に欠かせない

① パラダイムシフトが生む経営に対する“ニーズシフト”の全貌と対応策と言語データ解析

20世紀末期から21世紀にかけて起こったパラダイムシフトが生んだ、企業経営に対する劇的なニーズシフトの全貌を図解したのが下記の図6-1です。

 

事業戦略

図6-1 パラダイムシフト(PS)が生むニーズシフト(NS)への対応の在り方

 

図6-1は、筆者が現役時代に肌で感じた“パラダイムシフト(PS)”が生み出す“ニーズシフト(NS)”を受けて、経営戦略のキーポイントはどのようにシフトし、それに対してどのような対応が必要なのかを極限まで簡潔にまとめたものです。

 

これをまとめてみて強く思ったのは、数値データを駆使して過去のパラダイム(理性の世界)で頂点を極めた日本の産業界が、数値データの機能しない新しいパラダイム(感性の世界)への転換ができなかったからの現在に至る長期低迷ではないかと言うことです。

 

新しいパラダイムが製品に求める“高魅力度”、活動対象として重要度が増す“文化社会”、パラダイム・シフト後のニーズ・シフトへの市場対応で求められる“市場予測”、その予測結果を基に創造する市場における競争力の核とするべき自社の“コア・コンピタンスの把握”これらは、“数値データ解析”では埒が明かず、“言語データ解析”の世界だということです。

 

以上は極めて概念的で、具体性に掛けますので...

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【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その4)職人気質へのリンク】

 

1.言語データ解析と言う概念

表2-1に挙げた中小企業の喫緊の課題17のうち、かなり重要な6つの解決策は「言語データ解析」が重要な位置づけを占めるものです。ところが、この「言語データ解析」と言う概念は、あまり一般的ではありませんので、ご理解を得ておく必要があるだろうと考えて本題に入る前に取り上げました。これを契機として、言語データ解析に対するご理解を得て、幅広く活用していただき、成果につながることを期待したいと思います。

表2-1 中小企業が抱える喫緊の課題12と課題発生要因17に対する解決策の概要と記載場所

事業戦略

 

2.言語をデータと言えるのか?

“言語データ”と言う言葉を最初に使ったのは、筆者の知る限りでは、新QC七つ道具(略称:N7)提唱の書「管理者・スタッフの 新QC七つ道具」だと思うのですが、“データ=数値データ”と言う認識だった筆者にとってはかなりの違和感がありました。

 

そこで、改めて「データ」を広辞苑で引いてみたところ「立論・計算の基礎となる、既知のあるいは認容された事実・数値。資料。与件。」とあり、なるほどと納得しましたので、皆さんの中にも同じ疑問をお持ちの方もおられるのではと思い、最初に確認のためにこの項を設けました。

 

3.言語データって解析できるものなのか?

N7提唱の書では、N7を“言語データを整理する手法”としており、今の一般的な使い方から言えば相応しい表現ではないかと思います。

 

しかし、スタッフワークに使って成果を得るような使い方をしてきた実感からしますと、“整理”ではとても説明がつかず“解析”と言う認識が必要で、「言語データ解析」という表現を使っています。こちらも違和感を持たれる方がおられると思うのですが、広辞苑で“解析”を引いてみると「物事を細かく解き開き、理論に基づいて研究すること」とあり、まさしく筆者の実感と一致しておりホッとしています。

 

4.経営者にとっての言語データ解析の必要性

言語データの解析そのものは、スタッフワークですが、解析対象は、表2-1でお分かり頂けるように、経営課題そのものと言えるのですが、何故そう言えるのかを演繹的視点からご説明致しますので、ご活用の際の参考にして頂ければと思います。

 

1)パラダイムシフトが生む経営に対する“ニーズシフト”への対応に欠かせない

① パラダイムシフトが生む経営に対する“ニーズシフト”の全貌と対応策と言語データ解析

20世紀末期から21世紀にかけて起こったパラダイムシフトが生んだ、企業経営に対する劇的なニーズシフトの全貌を図解したのが下記の図6-1です。

 

事業戦略

図6-1 パラダイムシフト(PS)が生むニーズシフト(NS)への対応の在り方

 

図6-1は、筆者が現役時代に肌で感じた“パラダイムシフト(PS)”が生み出す“ニーズシフト(NS)”を受けて、経営戦略のキーポイントはどのようにシフトし、それに対してどのような対応が必要なのかを極限まで簡潔にまとめたものです。

 

これをまとめてみて強く思ったのは、数値データを駆使して過去のパラダイム(理性の世界)で頂点を極めた日本の産業界が、数値データの機能しない新しいパラダイム(感性の世界)への転換ができなかったからの現在に至る長期低迷ではないかと言うことです。

 

新しいパラダイムが製品に求める“高魅力度”、活動対象として重要度が増す“文化社会”、パラダイム・シフト後のニーズ・シフトへの市場対応で求められる“市場予測”、その予測結果を基に創造する市場における競争力の核とするべき自社の“コア・コンピタンスの把握”これらは、“数値データ解析”では埒が明かず、“言語データ解析”の世界だということです。

 

以上は極めて概念的で、具体性に掛けますので、新しいパラダイムが求める経営戦略の在り方、そして、その遂行における問題点解決の在り方を明確にし、そのそれぞれにおける言語データ解析の位置づけを次弾以降でご説明いたします。

 

次回に続きます。

 

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この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。


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