OJCCとは(4)知識の育成 【快年童子の豆鉄砲】(その104)

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人的資源マネジメント

 

1. 一般社員育成の視点

前回の【快年童子の豆鉄砲】(その103)では、「企業が社員に求める能力10項目」(表84-1)の1番目「総合力」について、一般管理職育成の視点で育成ステップをご説明しましたが、2番目以降は、一般社員育成の視点でご説明します。その最初の項目「仕事に関する知識(B)」について、表86-1に示す育成ステップ例をもとにご説明します。

 

表84-1 企業が社員に求める能力10項目

人的資源マネジメント

 

2.「仕事に関する知識(B)」の育成ステップ

育成ステップ内容に、作業標準、セルフチェック標準、終・始業点検標準が出てきますので、現場作業員が対象と思われるかもしれませんが、タイトルにありますように、“仕事”が対象ですから、当然事務作業も含まれます。ステップ内容は見て頂ければ分かると思いますが、よりよく理解して頂くために備考欄にある言葉の内容についてご説明したいと思います。

 

1)自立段階(技能者から技術者へ

先ず、自立段階の後のカッコ内にある技能者と技術者についてです。技能と技術の違いについては、色々な仕事について色々な説明がなされていますが、此処では、対象とする仕事について、“手段”と“目的”と言う側面から把握しようとしています。

 

と言いますのは、仕事は、ある目的達成のための“手段”として設計されているのですが、手段設計段階では、“目的”達成に必要な要因を検討し、技術的な背景を理解した上で、最も効率よく達成できる手段としての“仕事”を設計しているのです。

 

“仕事”をこのように理解した上で“技能者”と“技術者”を説明しますと、仕事に対する取り組みが、“手段”である仕事そのものを“目的”と理解して追求するのが“技能者”で、仕事を設計する時の“目的”達成要因の技術的背景を含めて理解して追及するのが“技術者”と言うことになり、技術者段階になって初めて仕事に対して自立できるという捉え方です。

 

2)伝授者

仕事を上記のようにマスターしますと、それを伝えて引き継ぐ立場になります。一般的には“教育”と言いますが、此処では“伝授”と言う言葉を使います。と言いますのは、仕事は、“教育”では、表面的なものしか伝わらず、肝心なところは、師が弟子に奥義を“伝授”する姿勢でないと伝わらないという理解です。

 

具体的には、一方的に“教える”のではなく、伝えたい内容によって、相手の立場に降り立ったり、自分の立場に引き上げたりしつつ、長年の経験で身に着けたものを“伝える”と言う姿勢です。そのためには、技術的背景のベースにある基礎理論にまで遡って理解する必要があります。

 

3)設計者

与えられた目的達成のために仕事を設計できる立場です。そうなるためには、その仕事だけでなく、関連する仕事の品質の面でも理解しておく必要があります。

 

表86-1 「仕事に関する知識(B)」の育成ステップ例

    

(注1)要するに、自主チェック意識、自主チェック機能が不十分と言うことです。
(注2)技能者として認められる段階 
(注3)ここまで来ると技術者として認められ、自立した姿勢で仕事に携わることが出来る段階
(注4)ステップ6との違いは、相手の立場に立てる包容力の有無になります。
(注5)伝授に際して相手に合わせざるを得ないケースが出てきますので、その際、この理論的な理解が必須と言うことです。
(注6)“同種”と言うのは、仕事の対象が品種や顧客が違うだけ、仕事のプロセスは同じと言う意味です。
(注7)ステップ8迄で、①②③の設計ノウハウを作成段階まで理解しているということです。
(注8)“QC工程表”と言うのは、製造品質は1つの工程だけで作り上げることはできず、一連の工程を経て初めて作りこめることを前提に設計されているもので、事務作業の場合、このような名前を使いませんが、その趣旨に合ったものを念頭に育成してもらうことになります。

 

3. 仕事の捉え方の基本を適宜追加

この項目は、育成対象者に対し、仕事に関する知識の育成を通じて、仕事の捉え方の基本を体得させることが重要ですので、上記説明は、普遍的な視点でなされていますが、仕事内容に合わせて、上記ステップに「...

人的資源マネジメント

 

1. 一般社員育成の視点

前回の【快年童子の豆鉄砲】(その103)では、「企業が社員に求める能力10項目」(表84-1)の1番目「総合力」について、一般管理職育成の視点で育成ステップをご説明しましたが、2番目以降は、一般社員育成の視点でご説明します。その最初の項目「仕事に関する知識(B)」について、表86-1に示す育成ステップ例をもとにご説明します。

 

表84-1 企業が社員に求める能力10項目

人的資源マネジメント

 

2.「仕事に関する知識(B)」の育成ステップ

育成ステップ内容に、作業標準、セルフチェック標準、終・始業点検標準が出てきますので、現場作業員が対象と思われるかもしれませんが、タイトルにありますように、“仕事”が対象ですから、当然事務作業も含まれます。ステップ内容は見て頂ければ分かると思いますが、よりよく理解して頂くために備考欄にある言葉の内容についてご説明したいと思います。

 

1)自立段階(技能者から技術者へ

先ず、自立段階の後のカッコ内にある技能者と技術者についてです。技能と技術の違いについては、色々な仕事について色々な説明がなされていますが、此処では、対象とする仕事について、“手段”と“目的”と言う側面から把握しようとしています。

 

と言いますのは、仕事は、ある目的達成のための“手段”として設計されているのですが、手段設計段階では、“目的”達成に必要な要因を検討し、技術的な背景を理解した上で、最も効率よく達成できる手段としての“仕事”を設計しているのです。

 

“仕事”をこのように理解した上で“技能者”と“技術者”を説明しますと、仕事に対する取り組みが、“手段”である仕事そのものを“目的”と理解して追求するのが“技能者”で、仕事を設計する時の“目的”達成要因の技術的背景を含めて理解して追及するのが“技術者”と言うことになり、技術者段階になって初めて仕事に対して自立できるという捉え方です。

 

2)伝授者

仕事を上記のようにマスターしますと、それを伝えて引き継ぐ立場になります。一般的には“教育”と言いますが、此処では“伝授”と言う言葉を使います。と言いますのは、仕事は、“教育”では、表面的なものしか伝わらず、肝心なところは、師が弟子に奥義を“伝授”する姿勢でないと伝わらないという理解です。

 

具体的には、一方的に“教える”のではなく、伝えたい内容によって、相手の立場に降り立ったり、自分の立場に引き上げたりしつつ、長年の経験で身に着けたものを“伝える”と言う姿勢です。そのためには、技術的背景のベースにある基礎理論にまで遡って理解する必要があります。

 

3)設計者

与えられた目的達成のために仕事を設計できる立場です。そうなるためには、その仕事だけでなく、関連する仕事の品質の面でも理解しておく必要があります。

 

表86-1 「仕事に関する知識(B)」の育成ステップ例

    

(注1)要するに、自主チェック意識、自主チェック機能が不十分と言うことです。
(注2)技能者として認められる段階 
(注3)ここまで来ると技術者として認められ、自立した姿勢で仕事に携わることが出来る段階
(注4)ステップ6との違いは、相手の立場に立てる包容力の有無になります。
(注5)伝授に際して相手に合わせざるを得ないケースが出てきますので、その際、この理論的な理解が必須と言うことです。
(注6)“同種”と言うのは、仕事の対象が品種や顧客が違うだけ、仕事のプロセスは同じと言う意味です。
(注7)ステップ8迄で、①②③の設計ノウハウを作成段階まで理解しているということです。
(注8)“QC工程表”と言うのは、製造品質は1つの工程だけで作り上げることはできず、一連の工程を経て初めて作りこめることを前提に設計されているもので、事務作業の場合、このような名前を使いませんが、その趣旨に合ったものを念頭に育成してもらうことになります。

 

3. 仕事の捉え方の基本を適宜追加

この項目は、育成対象者に対し、仕事に関する知識の育成を通じて、仕事の捉え方の基本を体得させることが重要ですので、上記説明は、普遍的な視点でなされていますが、仕事内容に合わせて、上記ステップに「仕事の捉え方の基本」を適宜追加して活用されるとよいと思います。

 

次回に続きます。

 

 

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この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。


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