技術系リーダーとして身に付けておくべきスキルとは

更新日

投稿日

 
  技術マネジメント
 
 企業の成長のためには、従来の事業の延長線上に留まることなく、積極的に新製品や新規事業の創出、また新市場へ進出することが求められます。そのためには、特に技術系リーダーの役割は重要であり、裾野の広い技術系以外の分野も含め、系統づけて学んでいくことが必要です。
 
 そこで技術系リーダーとして身に付けておくべきスキルを以下の4つと考え、その内容について解説します。
 
  1. システム思考
  2. 技術マネジメント能力
  3. プロジェクトマネジメント能力
  4. 技術経営力(MOT)
 

1. システム思考とは

 
 システムとは、ある目的を達成するために、関係づけられ、組み合わされた機能要素の集合であり、組み合わされることによって、単なる要素の和としてではなく、それ以上の特性を発揮するものと定義されます。
 
 システムを設計する場合、様々な技術要素のしくみを一つ一つ解明し、要素同士を組み合わせた時に生じる技術的課題を解決し、市場の要求に応えられる新しいシステム(製品・サービス)を生み出す能力が必要となります。
 
 そのためには、科学的・論理的な分析力、仮説設定と検証能力、想像力など総合的な能力を磨く必要があります。
 

2. 技術マネジメント能力とは

 
 システム化した製品を設計しただけでは売り上げ、利益を生み出さず、世の中にも受け入れられません。製品として、世の中に受け入れてもらうためには、製品企画段階での市場調査、ターゲットの設定、機能・価格設定、そして設計段階における具体的な商品設計、試作評価、運用テストなどの一連の商品化プロセスについて、誰が、いつ、どのような技術的手段を用いて実現するのかを計画し、実行するネジメント能力が必要となります。
 

3. プロジェクトマネジメント能力とは

 
 商品化プロセスを実行する段階において、人や組織、あるいは協力企業をコントロールし、品質・コスト・スケジュールの課題、問題を一つ一つ解決しながら開発を進めます。プロジェクトマネージャーとしては、リーダシップ、調整能力、課題解決能力、リーダーとして前向きで、信頼される強靭な精神力などが求められます。
 

4. 技術経営(MOT:Management of Technology)とは

 
 MOTとは、企業が持つ独自技術を経営の立場から管理・推進するための能力を指す経営用語を指します。
 
 現在のような企業が置かれた厳しい市場環境においては、「技...
 
  技術マネジメント
 
 企業の成長のためには、従来の事業の延長線上に留まることなく、積極的に新製品や新規事業の創出、また新市場へ進出することが求められます。そのためには、特に技術系リーダーの役割は重要であり、裾野の広い技術系以外の分野も含め、系統づけて学んでいくことが必要です。
 
 そこで技術系リーダーとして身に付けておくべきスキルを以下の4つと考え、その内容について解説します。
 
  1. システム思考
  2. 技術マネジメント能力
  3. プロジェクトマネジメント能力
  4. 技術経営力(MOT)
 

1. システム思考とは

 
 システムとは、ある目的を達成するために、関係づけられ、組み合わされた機能要素の集合であり、組み合わされることによって、単なる要素の和としてではなく、それ以上の特性を発揮するものと定義されます。
 
 システムを設計する場合、様々な技術要素のしくみを一つ一つ解明し、要素同士を組み合わせた時に生じる技術的課題を解決し、市場の要求に応えられる新しいシステム(製品・サービス)を生み出す能力が必要となります。
 
 そのためには、科学的・論理的な分析力、仮説設定と検証能力、想像力など総合的な能力を磨く必要があります。
 

2. 技術マネジメント能力とは

 
 システム化した製品を設計しただけでは売り上げ、利益を生み出さず、世の中にも受け入れられません。製品として、世の中に受け入れてもらうためには、製品企画段階での市場調査、ターゲットの設定、機能・価格設定、そして設計段階における具体的な商品設計、試作評価、運用テストなどの一連の商品化プロセスについて、誰が、いつ、どのような技術的手段を用いて実現するのかを計画し、実行するネジメント能力が必要となります。
 

3. プロジェクトマネジメント能力とは

 
 商品化プロセスを実行する段階において、人や組織、あるいは協力企業をコントロールし、品質・コスト・スケジュールの課題、問題を一つ一つ解決しながら開発を進めます。プロジェクトマネージャーとしては、リーダシップ、調整能力、課題解決能力、リーダーとして前向きで、信頼される強靭な精神力などが求められます。
 

4. 技術経営(MOT:Management of Technology)とは

 
 MOTとは、企業が持つ独自技術を経営の立場から管理・推進するための能力を指す経営用語を指します。
 
 現在のような企業が置かれた厳しい市場環境においては、「技術経営力」の優劣がその企業の盛衰を分ける重要な鍵になると言われています。優れた技術力を持っていたとしても、製品化・事業化し、経済的価値を創出していかなければ、意味がありません。そのため、自社が持つ独自の技術を経営資源として活用し、利益につなげることができる「技術経営力」を備えた人材としてのスキルを磨く必要があります。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

濱田 金男

製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に取り組んでいます。

製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に...


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
企業においてオープン・イノベーションを実現するには  研究テーマの多様な情報源(その26)

1.『価値づくり』経営と表裏一体の関係にある「オープン・イノベーション」    前回のその25に続いて解説します。オープン・イノベーションは...

1.『価値づくり』経営と表裏一体の関係にある「オープン・イノベーション」    前回のその25に続いて解説します。オープン・イノベーションは...


開発初期の戦略には言語化することが大切 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その5)

         「 新規事業・新商品を開発するにあたって、絶対に『戦略』が必要です 」とお話しす...

         「 新規事業・新商品を開発するにあたって、絶対に『戦略』が必要です 」とお話しす...


経験を知識に転換する工夫 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その58)

   現在KETICモデルの2つ目、Experience(経験)の解説をしています。しかし、いくら経験を重ねても経験(暗黙知)のままでは、...

   現在KETICモデルの2つ目、Experience(経験)の解説をしています。しかし、いくら経験を重ねても経験(暗黙知)のままでは、...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
プロジェクトの問題を見極める1 プロジェクト管理の仕組み (その23)

 進捗管理のための基本メトリクスセットのひとつである開発工数メトリクスについて解説していますが、前回は、プロジェクト構造(WBS)軸とアクティビティ軸のそ...

 進捗管理のための基本メトリクスセットのひとつである開発工数メトリクスについて解説していますが、前回は、プロジェクト構造(WBS)軸とアクティビティ軸のそ...


製品開発部へのカンバン導入記(その1)

        最近ビジネスの世界では、カンバンを使ってプロジェクトを管理しようとする動きがとても強いようで...

        最近ビジネスの世界では、カンバンを使ってプロジェクトを管理しようとする動きがとても強いようで...


開発生産性とは プロジェクト管理の仕組み (その17)

 前回のその16に続いて解説します。作業成果物メトリクスは、作業成果物を測定することにより作業量から見た進捗を把握するためのものですが、その活用方法につい...

 前回のその16に続いて解説します。作業成果物メトリクスは、作業成果物を測定することにより作業量から見た進捗を把握するためのものですが、その活用方法につい...