基本的ステップ 新QC七つ道具:親和図法の使い方(その12)

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【目次】
序論   
第4章  親和図法の使い方 (今回)
第5章  マトリックス・データ(MD)解析法の使い方
第6章  マトリックス図法の使い方
第7章  系統図法の使い方
第8章  アロー・ダイヤグラム法の使い方
第9章  PDPC法の使い方
第10章 PDCA-TC法の使い方
 

新QC七つ道具:第4章 親和図法の使い方

4.2 混沌解明のための親和図法の基本的ステップ

4.2.4 具体策実施の優先順位に関する考察

 
 全ステップが完了したら、親和図法から得た結論をベースに、具体的な施策を取り上げて、実施計画を立案することになります。ここで問題となるのがどの施策から実施するかの優先順序であり、次の3つが一般的です。
 
  1.  A型図解の連関分析結果による
  2. チームの合議結果による
  3. リーダーの決断による
 
 ここで、リーダーが決断を迫られたときのよりどころについて、あくまで筆者の体験によるものですが、ここに紹介します。
 

【先行実施事項選定指標】

 
 「業容拡大のために開発部門はどうあるべきか」をテーマに、筆者がリーダーで親和図法を適用した事例です。オリジナルカードの枚数は104で、最終グループ数が8となりました。最終グループの表札は、実施事項の大区分に当たるため、どの区分から具体的な施策への展開を開始するかの問題です。
 
 最初の会議では、議論がかみ合わず、後日の再開を期して解散した後、リーダーとしての方針を模索するうちに、次のようなグラフに行き着いたのです。すなわち、難しい具体策の実施を支えるのは、メンバーの関心が高いことと、重要度が高いことであると考え、“関心度”は“グループ内のデータ数の全体に対する比率”、“重要度”は“グループ内のリーダーである筆者のデータの比率”をそれぞれのパラメーターとしてグラフにプロットしたのが図4-4です。
 
 議論の末、最初に取り組むことになったのは、図に示すように、両パラメーターが最もバランスを保った3つであり、かなり大変でしたが、皆が頑張って実施できました。このことから、このパラメーターは、具体策実施の優先順位選定時の参考にすることができるものと思われます。
 
  KJ法
図4-4 カード枚数比率を使った“関心度”と“意識のズレ”
 
 もっとも、このようなことを必要とするのは、テーマが部門間にまたがるような大きなものであり、スタッフの責任範囲のテーマの場合は、比較的分かりやすい“連関図(B型図解)”にまとまっているので、結構スムーズに決定することができるのが通常です。
 

4.2.5 親和図法のより高度な活用へ

 
 文章による説明には限界があります。かといって、事例を先行させると、系統だった詳細説明ができません。これは連関図法のときと同じです。ただ、親和図法の場合は、オリジナルが有名な“KJ法 ”なので、分かりにくい作図的な面についても、大略はご理解願えたのではないかと思いますが、本節で説明不十分な点は、次節の事例説明で詳述するので、双方合わせてワンセット、ということでご理解下さい。
 
 特に、筆者独自のノウハウといえるStep 6における「一度途方に暮れる」、Step 11における「島単位で独立したカードの解束」、Step 13における「B型図解」についてはご理解を得にくかったのではないかと思いますが、次節の具体例をもとにした説明によりご理解を得られるものと思います。これらは、筆者の実務への活用における悪戦苦闘を通じて手に入れたノウハウなので、おそらく同じ思いをご経験されたであろう読者の方々にとり、それなりの示唆を得ていただけるものと確信しています。...
 
【目次】
序論   
第4章  親和図法の使い方 (今回)
第5章  マトリックス・データ(MD)解析法の使い方
第6章  マトリックス図法の使い方
第7章  系統図法の使い方
第8章  アロー・ダイヤグラム法の使い方
第9章  PDPC法の使い方
第10章 PDCA-TC法の使い方
 

新QC七つ道具:第4章 親和図法の使い方

4.2 混沌解明のための親和図法の基本的ステップ

4.2.4 具体策実施の優先順位に関する考察

 
 全ステップが完了したら、親和図法から得た結論をベースに、具体的な施策を取り上げて、実施計画を立案することになります。ここで問題となるのがどの施策から実施するかの優先順序であり、次の3つが一般的です。
 
  1.  A型図解の連関分析結果による
  2. チームの合議結果による
  3. リーダーの決断による
 
 ここで、リーダーが決断を迫られたときのよりどころについて、あくまで筆者の体験によるものですが、ここに紹介します。
 

【先行実施事項選定指標】

 
 「業容拡大のために開発部門はどうあるべきか」をテーマに、筆者がリーダーで親和図法を適用した事例です。オリジナルカードの枚数は104で、最終グループ数が8となりました。最終グループの表札は、実施事項の大区分に当たるため、どの区分から具体的な施策への展開を開始するかの問題です。
 
 最初の会議では、議論がかみ合わず、後日の再開を期して解散した後、リーダーとしての方針を模索するうちに、次のようなグラフに行き着いたのです。すなわち、難しい具体策の実施を支えるのは、メンバーの関心が高いことと、重要度が高いことであると考え、“関心度”は“グループ内のデータ数の全体に対する比率”、“重要度”は“グループ内のリーダーである筆者のデータの比率”をそれぞれのパラメーターとしてグラフにプロットしたのが図4-4です。
 
 議論の末、最初に取り組むことになったのは、図に示すように、両パラメーターが最もバランスを保った3つであり、かなり大変でしたが、皆が頑張って実施できました。このことから、このパラメーターは、具体策実施の優先順位選定時の参考にすることができるものと思われます。
 
  KJ法
図4-4 カード枚数比率を使った“関心度”と“意識のズレ”
 
 もっとも、このようなことを必要とするのは、テーマが部門間にまたがるような大きなものであり、スタッフの責任範囲のテーマの場合は、比較的分かりやすい“連関図(B型図解)”にまとまっているので、結構スムーズに決定することができるのが通常です。
 

4.2.5 親和図法のより高度な活用へ

 
 文章による説明には限界があります。かといって、事例を先行させると、系統だった詳細説明ができません。これは連関図法のときと同じです。ただ、親和図法の場合は、オリジナルが有名な“KJ法 ”なので、分かりにくい作図的な面についても、大略はご理解願えたのではないかと思いますが、本節で説明不十分な点は、次節の事例説明で詳述するので、双方合わせてワンセット、ということでご理解下さい。
 
 特に、筆者独自のノウハウといえるStep 6における「一度途方に暮れる」、Step 11における「島単位で独立したカードの解束」、Step 13における「B型図解」についてはご理解を得にくかったのではないかと思いますが、次節の具体例をもとにした説明によりご理解を得られるものと思います。これらは、筆者の実務への活用における悪戦苦闘を通じて手に入れたノウハウなので、おそらく同じ思いをご経験されたであろう読者の方々にとり、それなりの示唆を得ていただけるものと確信しています。
 
 最後に、各ステップの説明に、文献からの引用を多く採り入れましたが、これらは筆者の経験上共感を覚えたものや検証を終えたものに限られるので、その参照個所を起点にした参考文献通読の中で、読者ご自身による新たな発見があり、親和図法のより高度なご活用につながることを切に願うところです。
 
 次回は、4.3 事例に見る親和図法による混沌解明のノウハウから解説を続けます。
 

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この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。


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