犠牲陽極法とは:金属材料基礎講座(その81)

更新日

投稿日

金属

 

◆ 犠牲陽極法:電気防食の原理とその目的

 電気防食とは腐食反応時に発生する腐食電流(ガルバニック電流)に対抗する防食電流を流すことです。

 電気防食にはカソード防食とアノード防食があります。電位-pH図においてカソード防食とは、電位を卑にして安定域にすることであり、アノード防食とは電位を貴にして不動態域にすることです。

 しかしアノード防食はあまり使用されないので、電気防食といえばカソード防食を示すことが多いです。カソード防食は主に犠牲陽極法と外部電源法があります。

 犠牲陽極法とは、対象となる材料よりも卑な金属を接触させることによって卑な金属が腐食され、対象となる貴な金属を腐食から保護することです。

 例えば炭素鋼を犠牲陽極法で防食する場合、鉄よりも卑な金属である亜鉛やアルミニウムなどを陽極として使用します。その様子を図1に示します。

金属

図1.犠牲陽極法

 鉄にとってこの電流は防食電流となりますが、亜鉛などの陽極に...

金属

 

◆ 犠牲陽極法:電気防食の原理とその目的

 電気防食とは腐食反応時に発生する腐食電流(ガルバニック電流)に対抗する防食電流を流すことです。

 電気防食にはカソード防食とアノード防食があります。電位-pH図においてカソード防食とは、電位を卑にして安定域にすることであり、アノード防食とは電位を貴にして不動態域にすることです。

 しかしアノード防食はあまり使用されないので、電気防食といえばカソード防食を示すことが多いです。カソード防食は主に犠牲陽極法と外部電源法があります。

 犠牲陽極法とは、対象となる材料よりも卑な金属を接触させることによって卑な金属が腐食され、対象となる貴な金属を腐食から保護することです。

 例えば炭素鋼を犠牲陽極法で防食する場合、鉄よりも卑な金属である亜鉛やアルミニウムなどを陽極として使用します。その様子を図1に示します。

金属

図1.犠牲陽極法

 鉄にとってこの電流は防食電流となりますが、亜鉛などの陽極にとっては腐食電流となります。また亜鉛メッキ鋼板は皮膜防食であるとともに、犠牲陽極法によって鉄を防食しているともいえます。

 

 次回に続きます。

 

◆【関連解説:金属・無機材料技術】

   続きを読むには・・・


この記事の著者

福﨑 昌宏

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。


「金属・無機材料技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
表面処理、プレコートとポストコートの考察

 表面処理を行なう場合に、現在2つの流れがあります。一つはプレコート、もう一つはポストコートです。要するに、表面処理を機械加工の前に行なうのをプレコート、...

 表面処理を行なう場合に、現在2つの流れがあります。一つはプレコート、もう一つはポストコートです。要するに、表面処理を機械加工の前に行なうのをプレコート、...


JIS G3101 一般構造用圧延鋼材:金属材料基礎講座(その101)

  1. JIS G3101 一般構造用圧延鋼材 SS〇〇〇のように表記されます。SSはSteel Structure、数字は引張強さ(...

  1. JIS G3101 一般構造用圧延鋼材 SS〇〇〇のように表記されます。SSはSteel Structure、数字は引張強さ(...


応力集中  金属材料基礎講座(その37)

 材料力学では材料の形状や断面積を一定として計算することが多いですが、実際に機械部品には平行な断面積ばかりではありません。それに小さいキズや加工の凹凸など...

 材料力学では材料の形状や断面積を一定として計算することが多いですが、実際に機械部品には平行な断面積ばかりではありません。それに小さいキズや加工の凹凸など...


「金属・無機材料技術」の活用事例

もっと見る
ゾルゲル法による反射防止コートの開発と生産

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...


金代替めっき接点の開発事例 (コネクター用貴金属めっき)

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...