金属材料基礎講座(その19) ミクロ偏析

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 合金では一つの製品の中で濃度差が出てきます。それを偏析と言います。

 偏析は大きく分けてミクロ偏析とマクロ偏析があります。ミクロ偏析とは例えば結晶粒の中心と外側で濃度差があることです。マクロ偏析とは例えば丸棒や板の表面と中心で濃度差があることです。下図はミクロ偏析を表したものです。ここでこの赤い線のA-B合金組成の材料を考えてみます。

金属材料

 図.状態図とミクロ偏析

 上の赤い線が凝固開始の液相線で、下の青い線が凝固完了の固相線です。その間は液相と固相の共存領域です。溶湯から温度が下がり1の温度になります。

 そうすると凝固して結晶粒が生まれます。大事なのはこの時の組成です。組成は横線を元に決まります。液相の組成は右側、固相の組成は左側になります。

 そのため固相の結晶粒の方が濃度が薄いのです。そこから温度が下がり2の温度になります。その間も結晶粒の周りに凝固は進みますが、2の温度の時には組成も先程と変わります。

 つまり凝固過程において結晶粒は中心から外に向けて濃度が濃くなります。濃度の薄い固相が先に出来るため、液相濃度が濃くなります。これが進んで3の時に凝固が完了します。最後に凝固したところが最も合金濃度が高くなります。そしてミクロ偏析は、この液相線と固相線の差が大きくなるほど偏析の程度も大きくなります。

 ミクロ偏析の代表的な組織としてデンドライト組織があります。先に凝固した濃度の薄い部分がちょうど木の幹や枝のように見えて、後から凝固した濃度の濃い部分がそのすき間を埋めます。


この記事の著者

福﨑 昌宏

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。

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