標準電極電位 金属材料基礎講座(その59)

更新日

投稿日

 

 

◆ 各種金属の標準電極電位

 ギブスの自由エネルギー⊿Gと標準電位E0の間には(1)式が成りたちます。これをE0について表すと(2)式になります。

金属

 

 ここで金属のアノード反応と水素のカソード反応の電池と熱力学データによって金属の標準電位を求めることができます。この時の反応は式(3)~(5)のように表します。

金属

 

 この(3)式は電池反応の表現になります。(4)、(5)式がそれぞれの電極の反応になります。標準状態では水素イオンの活量aH+=1、水素ガス分圧pH2=1、電位0Vのため、鉄の熱力学データ⊿Gと(2)式から標準電極電位を求めることができます。このようにして他の金属の標準電極電位を求めることができます。それを一覧表にまとめたのが表1になります。

表1.金属ごとの標準電極電位

金属

 

 標準電極電位はあくまで熱力学データの計算によって導き出された値です。電位の卑な金属は腐食されやすく、貴な金属は腐食されにくいのですが、実際の...

 

 

◆ 各種金属の標準電極電位

 ギブスの自由エネルギー⊿Gと標準電位E0の間には(1)式が成りたちます。これをE0について表すと(2)式になります。

金属

 

 ここで金属のアノード反応と水素のカソード反応の電池と熱力学データによって金属の標準電位を求めることができます。この時の反応は式(3)~(5)のように表します。

金属

 

 この(3)式は電池反応の表現になります。(4)、(5)式がそれぞれの電極の反応になります。標準状態では水素イオンの活量aH+=1、水素ガス分圧pH2=1、電位0Vのため、鉄の熱力学データ⊿Gと(2)式から標準電極電位を求めることができます。このようにして他の金属の標準電極電位を求めることができます。それを一覧表にまとめたのが表1になります。

表1.金属ごとの標準電極電位

金属

 

 標準電極電位はあくまで熱力学データの計算によって導き出された値です。電位の卑な金属は腐食されやすく、貴な金属は腐食されにくいのですが、実際の腐食環境では温度、溶存酸素、塩化物イオン、pH、流速などによって腐食挙動は変化します。

 

 次回に続きます。

 

◆【関連解説:金属・無機材料技術】

   続きを読むには・・・


この記事の著者

福﨑 昌宏

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。


「金属・無機材料技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
溶解度線の析出量:金属材料基礎講座(その162) わかりやすく解説

  ◆ 溶解度線の析出量 多くの状態図では固溶体が見られます。そして、固溶体の溶解度は温度とともに低下する傾向があります。その結果、固溶...

  ◆ 溶解度線の析出量 多くの状態図では固溶体が見られます。そして、固溶体の溶解度は温度とともに低下する傾向があります。その結果、固溶...


焼結とは

  自動車産業などに燒結金属やセラミックスの利用拡大がなされていますが、セラミックスや金属の製造方法として、焼結は利用されています。セラミ...

  自動車産業などに燒結金属やセラミックスの利用拡大がなされていますが、セラミックスや金属の製造方法として、焼結は利用されています。セラミ...


金製錬とは:金属材料基礎講座(その93)

  ◆ 金製錬:アマルガム法と灰吹法  金製錬の原料としては、金鉱石の他にも銅製錬や鉛精錬の副産物としてアノードスライム[1]などがあり...

  ◆ 金製錬:アマルガム法と灰吹法  金製錬の原料としては、金鉱石の他にも銅製錬や鉛精錬の副産物としてアノードスライム[1]などがあり...


「金属・無機材料技術」の活用事例

もっと見る
金代替めっき接点の開発事例 (コネクター用貴金属めっき)

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...


ゾルゲル法による反射防止コートの開発と生産

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...