金属材料基礎講座(その27) 鋳造材と展伸材

金属材料

 金属製品を扱う時に、材料を製造工程の違いから鋳造材と展伸材(圧延材など)に分ける時があります。鋳造材は溶けた金属を鋳型に流して成型するので、複雑な形状の製品を一体物として製造できます。展伸材は圧延、鍛造などを行い、長い板や棒などを製造できます。また、押出加工や引抜加工をすることで同じ断面形状の物を長く製造することもできます。両者の違いは製品によって最適な加工方法があることを示しています。そして、その違いは元材にも影響します。

 鋳造材の元材はインゴットと呼ばれ、製品の成分を調整した材料を四角い金型などに鋳造して固めたものを指します。そのため、凝固組織などは考慮されていません。なぜなら、鋳造材はインゴットを溶解して鋳造するからです。元材の組織はほとんど関係ないのです。

 それに対して展伸材の元材はスラブやビュレットと呼ばれます。スラブやビュレットは連続鋳造などで製造されることが多いです。連続鋳造とは溶解した金属を溶解炉の下から出して冷却させていきます。

 冷却は水冷鋳型などで行い、その後は水平方向に曲げて板や棒状に成型していきます。凝固は表面から中心に向けて起こり、絶えず溶湯が供給されるので、偏析や欠陥の少ない均一な材料が得られます。展伸材はスラブやビュレットをそのまま圧延加工などを行います。こちらは組織や偏析、欠陥などがあると最終製品まで影響するので、出来る限り均一な組織で欠陥のない状態が要求されます。

 鉄は炭素量によって呼び名が変化します。

 鉄炭素系状態図においてオーステナイトの最大炭素固溶量約2.0%以下の鉄を鉄鋼と呼び、それ以上の共晶反応を示す炭素量2.0~4.3%程度の鉄を鋳鉄と呼びます。鉄鋼は基本的に展伸材として使用されています。そして鋳鉄は鋳造用の鉄として使用されています(中には鉄鋼の炭素量の鉄を鋳造することもあります:鋳鋼)。

 鉄の場合、鋳造材と展伸材で主に炭素量(成分)が変わっています。一方、アルミニウム合金でも鋳造材と展伸材の区別があります。アルミニウム合金の場合、合金添加元素がCu、Mg、Mn、Si、Znなど多岐にわたるので、鉄よりも複雑になります。ただ傾向としてアルミニウム合金の鋳造性を向上させるため鋳造材にはSiが含まれていることが多いのです。

 次回は、接合の分類について解説します。


この記事の著者

福﨑 昌宏

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。

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