応力集中 金属材料基礎講座(その37)

更新日

投稿日

 材料力学では材料の形状や断面積を一定として計算することが多いですが、実際に機械部品には平行な断面積ばかりではありません。それに小さいキズや加工の凹凸などにより微小の断面積の変化があります。

 このように製品にかかる応力が一様ではない時に応力集中と呼ばれる現象が起こります。その例を下図に示します。

金属技術

図.応力集中

 いま一枚の板に引張応力を負荷した時の状況を考えます。材料が均一であればその時の材料内部の応力の方向やその量は均一になります。この線を力線と呼びます。丁度水の流れのようなイメージです。

 次にき裂がある場合を考えてみます。き裂部分に応力はかかりませんから、残りの断面積で応力を受けることになります。

 き裂から離れたところはあまり関係ありませんが、き裂付近ではその周りを力線が避けるような流れになります。これが応力集中です。

 そして、この応力集中はき裂が鋭利になるほど応力集中の度合いが増します。応力集中により材料全体にか...

 材料力学では材料の形状や断面積を一定として計算することが多いですが、実際に機械部品には平行な断面積ばかりではありません。それに小さいキズや加工の凹凸などにより微小の断面積の変化があります。

 このように製品にかかる応力が一様ではない時に応力集中と呼ばれる現象が起こります。その例を下図に示します。

金属技術

図.応力集中

 いま一枚の板に引張応力を負荷した時の状況を考えます。材料が均一であればその時の材料内部の応力の方向やその量は均一になります。この線を力線と呼びます。丁度水の流れのようなイメージです。

 次にき裂がある場合を考えてみます。き裂部分に応力はかかりませんから、残りの断面積で応力を受けることになります。

 き裂から離れたところはあまり関係ありませんが、き裂付近ではその周りを力線が避けるような流れになります。これが応力集中です。

 そして、この応力集中はき裂が鋭利になるほど応力集中の度合いが増します。応力集中により材料全体にかかる応力が例え降伏応力以下の応力であったとしても、き裂付近では降伏応力を超えてしまい、変形が始まってしまうのです。疲労破壊ではこのようなき裂から割れが進行します。

 次回に続きます。

◆【関連解説:金属・無機材料技術】

   続きを読むには・・・


この記事の著者

福﨑 昌宏

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。


「金属・無機材料技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
構造因子 面心立方格子:金属材料基礎講座(その134)

  ◆ 構造因子 面心立方格子 面心立方格子の構造因子を見てみます。面心立方格子の場合、立方格子の頂点の000と各面の中心1/2,1/2...

  ◆ 構造因子 面心立方格子 面心立方格子の構造因子を見てみます。面心立方格子の場合、立方格子の頂点の000と各面の中心1/2,1/2...


焼結とは

  自動車産業などに燒結金属やセラミックスの利用拡大がなされていますが、セラミックスや金属の製造方法として、焼結は利用されています。セラミ...

  自動車産業などに燒結金属やセラミックスの利用拡大がなされていますが、セラミックスや金属の製造方法として、焼結は利用されています。セラミ...


溶接の種類とは

   今回は、溶接の種類について解説します。溶接には色々な種類がありますが、鋼板は主に、抵抗溶接やアーク溶接、レーザー溶接などが使われます...

   今回は、溶接の種類について解説します。溶接には色々な種類がありますが、鋼板は主に、抵抗溶接やアーク溶接、レーザー溶接などが使われます...


「金属・無機材料技術」の活用事例

もっと見る
ゾルゲル法による反射防止コートの開発と生産

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...


金代替めっき接点の開発事例 (コネクター用貴金属めっき)

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...