レーザー溶接、FSW 金属材料基礎講座(その30)

更新日

投稿日

 

 レーザー溶接は熱源にアーク放電ではなく、CO2レーザーやYAGレーザーなどを使用しています。

 レーザーは単一波長で位相差のない光のため、集光レンズなどでエネルギーを集中して集められるため、MAG溶接などのアーク溶接に比較して溶け込み深さが深いこと、熱影響部が狭いこと、溶接変形が少ないことなどが特徴です。レーザー溶接の模式図を図1に示します。溶融部の酸化防止にアルゴンなどのシールドガスを使用しています。溶接材料として鉄鋼、ステンレス、アルミニウムなどに適用されます。

金属材料

図1.レーザー溶接の模式図

 FSW(Friction Stir Welding)は摩擦撹拌接合とも呼ばれます。1991年にイギリスの英国溶接研究所で開発された新しい手法です。その模式図を図2に示します。

金属材料

図2.FSWの模式図

 FSWはツールと呼ばれる溶接材よりも硬質、高融点の材料を使用します。

 このツールの先端には突起(プローブ)がついていて、ツールを回転させながら溶接面(突合せ面)にプローブ部のみを押込みます。そして、板またはツールを移動させることによって、溶接材に融点以下の摩擦熱を発生させ、材料を軟化させ、ツールの回転によ...

 

 レーザー溶接は熱源にアーク放電ではなく、CO2レーザーやYAGレーザーなどを使用しています。

 レーザーは単一波長で位相差のない光のため、集光レンズなどでエネルギーを集中して集められるため、MAG溶接などのアーク溶接に比較して溶け込み深さが深いこと、熱影響部が狭いこと、溶接変形が少ないことなどが特徴です。レーザー溶接の模式図を図1に示します。溶融部の酸化防止にアルゴンなどのシールドガスを使用しています。溶接材料として鉄鋼、ステンレス、アルミニウムなどに適用されます。

金属材料

図1.レーザー溶接の模式図

 FSW(Friction Stir Welding)は摩擦撹拌接合とも呼ばれます。1991年にイギリスの英国溶接研究所で開発された新しい手法です。その模式図を図2に示します。

金属材料

図2.FSWの模式図

 FSWはツールと呼ばれる溶接材よりも硬質、高融点の材料を使用します。

 このツールの先端には突起(プローブ)がついていて、ツールを回転させながら溶接面(突合せ面)にプローブ部のみを押込みます。そして、板またはツールを移動させることによって、溶接材に融点以下の摩擦熱を発生させ、材料を軟化させ、ツールの回転による塑性流動によって練り混ぜて接合をします。FSWは材料を溶かさずに固相のまま接合するので溶融溶接で問題となるブローホールはほとんど問題になりません。またシールドガスも不要です。自動車、鉄道、航空機などに適用されています。

◆【関連解説:金属・無機材料技術】

   続きを読むには・・・


この記事の著者

福﨑 昌宏

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。


「金属・無機材料技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ボルタ電池 金属材料基礎講座(その54)

  ◆ ボルタ電池の仕組み  2枚の材質の異なる電極を希硫酸などの電解質に浸すと電流が流れます。これは酸による腐食の簡単なモデルです(図...

  ◆ ボルタ電池の仕組み  2枚の材質の異なる電極を希硫酸などの電解質に浸すと電流が流れます。これは酸による腐食の簡単なモデルです(図...


耐食材料と環境制御:金属材料基礎講座(その83)

  1.耐食材料:腐食環境に適した材料を選ぶ  耐食材料とは炭素鋼よりも、耐食性のよいステンレス鋼などを使用することです。ステンレス鋼は...

  1.耐食材料:腐食環境に適した材料を選ぶ  耐食材料とは炭素鋼よりも、耐食性のよいステンレス鋼などを使用することです。ステンレス鋼は...


オイラーの公式、構造因子 体心立方格子:金属材料基礎講座(その133)

【目次】 1. オイラーの公式 構造因子の中のeπiは元々オイラーの公式として三角関数と虚数iの形で式(1)のように表されま...

【目次】 1. オイラーの公式 構造因子の中のeπiは元々オイラーの公式として三角関数と虚数iの形で式(1)のように表されま...


「金属・無機材料技術」の活用事例

もっと見る
ゾルゲル法による反射防止コートの開発と生産

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...


金代替めっき接点の開発事例 (コネクター用貴金属めっき)

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...