真応力ー真ひずみ 金属材料基礎講座(その35)

更新日

投稿日

 

 今回は、真応力ー真歪みについてです。アルミニウム合金などを引張試験した時の応力-歪み線図を下図に示します。

 鉄鋼材料のように明確な降伏応力が見られなくなります。こういう時は最終的な伸びの値の0.2%の歪みの時の応力を0.2%耐力(単に耐力)と呼びます。そして塑性変形が始まる応力として、降伏応力と同じような扱いをします。

金属

 図.アルミニウム合金の応力-歪み線図

 引張試験における応力や歪みはそれぞれ試験前の断面積と評点間距離を元に(1)、(2)式で現します。

 【応力】

 σ=P/A0・・・・・(1)

 【歪み】 

 ε=(l-l0)/l0・・・・(2)

  P  :荷重
  A0:断面積
  l    :試験後の長さ
  l0  :元の長さ

 厳密には断面積や評点間距離は試験中に刻々と変化するため、これら応力や歪みを公称応力、公称歪みと呼びます。それに対して、試験中に変化する断面積や評点間距離を考慮した応力、歪みをそれぞれ真応力σt、真歪みεtと呼び次式で現します。これを(3)、(4)式で表します。

 【真応力】 

 σt=P/A=σ(1+ε)・・・(4)

 【真歪み】 

 εt=lnl/l0=ln(1+ε)・・・(5)

 真応力、真歪みは材料の強度を厳密に扱う場合に用いられますが、単に応力、歪みと...

 

 今回は、真応力ー真歪みについてです。アルミニウム合金などを引張試験した時の応力-歪み線図を下図に示します。

 鉄鋼材料のように明確な降伏応力が見られなくなります。こういう時は最終的な伸びの値の0.2%の歪みの時の応力を0.2%耐力(単に耐力)と呼びます。そして塑性変形が始まる応力として、降伏応力と同じような扱いをします。

金属

 図.アルミニウム合金の応力-歪み線図

 引張試験における応力や歪みはそれぞれ試験前の断面積と評点間距離を元に(1)、(2)式で現します。

 【応力】

 σ=P/A0・・・・・(1)

 【歪み】 

 ε=(l-l0)/l0・・・・(2)

  P  :荷重
  A0:断面積
  l    :試験後の長さ
  l0  :元の長さ

 厳密には断面積や評点間距離は試験中に刻々と変化するため、これら応力や歪みを公称応力、公称歪みと呼びます。それに対して、試験中に変化する断面積や評点間距離を考慮した応力、歪みをそれぞれ真応力σt、真歪みεtと呼び次式で現します。これを(3)、(4)式で表します。

 【真応力】 

 σt=P/A=σ(1+ε)・・・(4)

 【真歪み】 

 εt=lnl/l0=ln(1+ε)・・・(5)

 真応力、真歪みは材料の強度を厳密に扱う場合に用いられますが、単に応力、歪みという時は、公称応力、公称歪みを扱います。

 次回に続きます。

◆【関連解説:金属・無機材料技術】

   続きを読むには・・・


この記事の著者

福﨑 昌宏

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。


「金属・無機材料技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
転位とすべり運動 金属材料基礎講座(その6)

  ◆ 転位とすべり運動  金属材料の塑性変形はすべり面上をその上の金属原子面がすべり方向に動くことによって起こります。  しかし、現実的...

  ◆ 転位とすべり運動  金属材料の塑性変形はすべり面上をその上の金属原子面がすべり方向に動くことによって起こります。  しかし、現実的...


構造 金属材料基礎講座(その1)

  1.金属結合  金属を構成する物質の最小単位は原子です。例えば鉄原子やアルミニウム原子などです。原子の結合には主に金属結合、イオン結合、...

  1.金属結合  金属を構成する物質の最小単位は原子です。例えば鉄原子やアルミニウム原子などです。原子の結合には主に金属結合、イオン結合、...


電子銃:金属材料基礎講座(その120)各種電子銃の模式図

  ◆ 電子銃 SEMのフィラメントは電子銃とも呼ばれ、電子銃から電子が放出されます。電子銃の種類は熱電子銃や電界放出型(Field E...

  ◆ 電子銃 SEMのフィラメントは電子銃とも呼ばれ、電子銃から電子が放出されます。電子銃の種類は熱電子銃や電界放出型(Field E...


「金属・無機材料技術」の活用事例

もっと見る
ゾルゲル法による反射防止コートの開発と生産

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...


金代替めっき接点の開発事例 (コネクター用貴金属めっき)

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...