高炉による鉄鋼製錬:金属材料基礎講座(その85)

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◆ 銑鋼一貫プロセス ~ 鉄鉱石・石炭から鋼を製造

 鉄は鉄鉱石から作られますが、高炉と転炉によって鉄鋼を生産する過程を銑鋼(せんてつ)一貫プロセスと呼びます。

 銑鋼一貫プロセスは主に原料の前処理、高炉、溶銑予備処理、転炉、連続鋳造(ちゅうぞう)などに分類できます。

 鉄鉱石の種類として赤鉄鉱(ヘマタイト)Fe2O3、磁鉄鉱(マグネタイト)Fe3O4などがあります。原料となる鉄鉱石は粉末です。これをそのまま高炉に投入すると、ガスの流れができないので、鉄鉱石をある程度の塊(かたまり)に焼結します。高炉には鉄鉱石とコークスを交互に高炉の上から投入します。そして高炉下側の羽口から熱風を吹き込むことで、コークスが酸素と反応してCOガスになります。この時の温度は2200℃程度になります。このCOガスが還元剤となり、鉄鉱石を還元していきます。その反応式を次に示します。

金属

式.鉄鉱石の還元過程

 高炉は下に行くほど温度が高くなり、鉄鉱石が還元されていきます。最終的には鉄ができますが、高炉内はCOガス雰囲気のため、炭素量の多い鉄ができます。これを銑鉄と呼びます。銑鉄の炭素量は約4%程度です。銑鉄には炭素の他にシリコン、マ...

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◆ 銑鋼一貫プロセス ~ 鉄鉱石・石炭から鋼を製造

 鉄は鉄鉱石から作られますが、高炉と転炉によって鉄鋼を生産する過程を銑鋼(せんてつ)一貫プロセスと呼びます。

 銑鋼一貫プロセスは主に原料の前処理、高炉、溶銑予備処理、転炉、連続鋳造(ちゅうぞう)などに分類できます。

 鉄鉱石の種類として赤鉄鉱(ヘマタイト)Fe2O3、磁鉄鉱(マグネタイト)Fe3O4などがあります。原料となる鉄鉱石は粉末です。これをそのまま高炉に投入すると、ガスの流れができないので、鉄鉱石をある程度の塊(かたまり)に焼結します。高炉には鉄鉱石とコークスを交互に高炉の上から投入します。そして高炉下側の羽口から熱風を吹き込むことで、コークスが酸素と反応してCOガスになります。この時の温度は2200℃程度になります。このCOガスが還元剤となり、鉄鉱石を還元していきます。その反応式を次に示します。

金属

式.鉄鉱石の還元過程

 高炉は下に行くほど温度が高くなり、鉄鉱石が還元されていきます。最終的には鉄ができますが、高炉内はCOガス雰囲気のため、炭素量の多い鉄ができます。これを銑鉄と呼びます。銑鉄の炭素量は約4%程度です。銑鉄には炭素の他にシリコン、マンガン、リン、硫黄などの元素も含まれます。また石灰石などはスラグとなります。スラグは鉄よりも比重が軽く、銑鉄の上に浮くため分離できます。銑鉄は高炉の下から取り出され次の工程に進みます。

 

 次回に続きます。

◆【関連解説:金属・無機材料技術】

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この記事の著者

福﨑 昌宏

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。

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