ボルタ電池 金属材料基礎講座(その54)

更新日

投稿日

電池

 

◆ ボルタ電池の仕組み

 2枚の材質の異なる電極を希硫酸などの電解質に浸すと電流が流れます。これは酸による腐食の簡単なモデルです(図1参照)。

金属

図1. ボルタ電池

 

 そして銅と亜鉛を希硫酸に浸したボルタ電池がよく用いられます。銅と亜鉛では銅の方が電位が高く、亜鉛の方が電位が低いのです。そのため電子は亜鉛から銅に移動します。

 亜鉛側が腐食(酸化)されるアノードとなり、銅側が還元されるカソードとなります。

 アノードでは亜鉛から電子が2個移動するので亜鉛イオンが希硫酸に溶出します。亜鉛から移動した電子は導線を通って銅に到達します。カソードでは電子は希硫酸の水素イオンに渡され、水素イオンが水素分子(水素ガス)になります。アノードから溶出した亜鉛イオンは希硫酸の硫酸イオンと結合して硫酸亜鉛となります...

電池

 

◆ ボルタ電池の仕組み

 2枚の材質の異なる電極を希硫酸などの電解質に浸すと電流が流れます。これは酸による腐食の簡単なモデルです(図1参照)。

金属

図1. ボルタ電池

 

 そして銅と亜鉛を希硫酸に浸したボルタ電池がよく用いられます。銅と亜鉛では銅の方が電位が高く、亜鉛の方が電位が低いのです。そのため電子は亜鉛から銅に移動します。

 亜鉛側が腐食(酸化)されるアノードとなり、銅側が還元されるカソードとなります。

 アノードでは亜鉛から電子が2個移動するので亜鉛イオンが希硫酸に溶出します。亜鉛から移動した電子は導線を通って銅に到達します。カソードでは電子は希硫酸の水素イオンに渡され、水素イオンが水素分子(水素ガス)になります。アノードから溶出した亜鉛イオンは希硫酸の硫酸イオンと結合して硫酸亜鉛となります。硫酸亜鉛が腐食生成物となります。ボルタ電池では水素が酸化剤となるので水素発生型腐食といえます。

 

 次回に続きます。

◆【関連解説:金属・無機材料技術】

   続きを読むには・・・


この記事の著者

福﨑 昌宏

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。


「金属・無機材料技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
めっきや塗装の前処理:金属材料基礎講座(その79)

  ◆ めっきや塗料の密着性を高めるには  めっき(メッキ)や塗料の密着性は、下地金属の表面状態や洗浄が非常に重要です。めっきや塗装がど...

  ◆ めっきや塗料の密着性を高めるには  めっき(メッキ)や塗料の密着性は、下地金属の表面状態や洗浄が非常に重要です。めっきや塗装がど...


三元共晶反応:金属材料基礎講座(その180) わかりやすく解説

◆ 三元共晶反応 ABC3種類の元素が各組合せで共晶反応となる時の三元系状態図について見てみます。   単純にするため固溶限のない共晶...

◆ 三元共晶反応 ABC3種類の元素が各組合せで共晶反応となる時の三元系状態図について見てみます。   単純にするため固溶限のない共晶...


JIS G4053 機械構造用合金鋼鋼材 SMn SMnC:金属材料基礎講座(その107)

    炭素鋼にクロムなどの合金元素を添加した鋼材です。マンガン鋼SMn△〇〇、マンガンクロム鋼SMnC△〇〇、クロム鋼SCr△〇...

    炭素鋼にクロムなどの合金元素を添加した鋼材です。マンガン鋼SMn△〇〇、マンガンクロム鋼SMnC△〇〇、クロム鋼SCr△〇...


「金属・無機材料技術」の活用事例

もっと見る
ゾルゲル法による反射防止コートの開発と生産

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...


金代替めっき接点の開発事例 (コネクター用貴金属めっき)

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...