外観検査-検査員が判断しない検査方法とは 中国企業の壁(その31)

投稿日

 
  生産マネジメント
 
 弊社では定期的に外観目視検査セミナーを開催していますが、今回はそのセミナーの中で話をする内容のひとつを参加者からの質問という形で紹介したいと思います。
 
 質問者の方の中国工場で生産している製品は、外観がとても重要な品質要素になっています。しかし、外観不良が流出して顧客クレームとなっている状況とのことでした。
 
 中国工場に状況をフィードバックして対応を求めても、工場の検査では示された基準に従って検査をしているので、それでクレームになるとすれば、それは基準の問題であって工場側には問題はないと回答をしてくるとのことです。
 
 もうひとつは、製品の特性上非常に微妙な判断をすることが必要な場合がある。そのためには熟練の検査員が必要なのですが、人の入れ替わりもあり中々検査員が育たず、判断のバラツキが生じて困っているとの内容でした。
 
 今回は、この2つの内容のうち後者の内容についてどのようにしたらよいかを考えてみたいと思います。この問題は多くの中国工場で同様の悩みを抱えているのではないでしょうか。
 
 先ずやらなくてはいけないのは、1人でよいので日本側が要求している基準を理解して、それに基づいて良否の判断ができる中国人検査員を作ることです。信頼できる検査員を育成するのです。最初は1人で構いません。
 
 しかし、この時点で信頼できる熟練検査員は1人だけで、他の一般検査員はまだ微妙なものを判断できるレベルではありません。この1人の熟練検査員だけで外観検査をやるのは不可能なので、次に記す検査方法がポイントになります。
 
...
 
  生産マネジメント
 
 弊社では定期的に外観目視検査セミナーを開催していますが、今回はそのセミナーの中で話をする内容のひとつを参加者からの質問という形で紹介したいと思います。
 
 質問者の方の中国工場で生産している製品は、外観がとても重要な品質要素になっています。しかし、外観不良が流出して顧客クレームとなっている状況とのことでした。
 
 中国工場に状況をフィードバックして対応を求めても、工場の検査では示された基準に従って検査をしているので、それでクレームになるとすれば、それは基準の問題であって工場側には問題はないと回答をしてくるとのことです。
 
 もうひとつは、製品の特性上非常に微妙な判断をすることが必要な場合がある。そのためには熟練の検査員が必要なのですが、人の入れ替わりもあり中々検査員が育たず、判断のバラツキが生じて困っているとの内容でした。
 
 今回は、この2つの内容のうち後者の内容についてどのようにしたらよいかを考えてみたいと思います。この問題は多くの中国工場で同様の悩みを抱えているのではないでしょうか。
 
 先ずやらなくてはいけないのは、1人でよいので日本側が要求している基準を理解して、それに基づいて良否の判断ができる中国人検査員を作ることです。信頼できる検査員を育成するのです。最初は1人で構いません。
 
 しかし、この時点で信頼できる熟練検査員は1人だけで、他の一般検査員はまだ微妙なものを判断できるレベルではありません。この1人の熟練検査員だけで外観検査をやるのは不可能なので、次に記す検査方法がポイントになります。
 
 「一般検査員に微妙なものは判断させない」のです。容易な判断だけを行うようにします。微妙なものについては、信頼できる1人の検査員に任せるという方法です。こうすることによって、微妙なものの判断は特定の検査員が行うのでバラツキが生じません。
 
 この検査方法は万能ではありませんが、微妙なものの流出に対しては効果があります。試してみる価値ありです。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
システム導入に対する考え方 儲かるメーカー改善の急所101項(その57)

5、設備改善の基本 ◆ システム導入に対する考え方  システムを万能のように考えて、導入すれば生産性は飛躍的に高まると思いこんでいる会社は多いもの...

5、設備改善の基本 ◆ システム導入に対する考え方  システムを万能のように考えて、導入すれば生産性は飛躍的に高まると思いこんでいる会社は多いもの...


新規開拓のどこを見ればよいか 中国工場の品質改善(その71)

 前回のその70に続いて解説します。 【第4章】中国新規取引先選定のポイント 【仕様書記述方法の注意点】 (1)図・写真を駆使する  図や写真...

 前回のその70に続いて解説します。 【第4章】中国新規取引先選定のポイント 【仕様書記述方法の注意点】 (1)図・写真を駆使する  図や写真...


現場から人を抜く:現場改善のヒント(その3)

【改善のヒント連載目次】 1. 儲かる現場づくりとは 2. チームとして改善を進める 3. 現場から人を抜く 4. からくり改善とは 5...

【改善のヒント連載目次】 1. 儲かる現場づくりとは 2. チームとして改善を進める 3. 現場から人を抜く 4. からくり改善とは 5...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
検証記録が残せていない事例

  ◆ 位置決め方法を再改善するもまだ足りないものが  この中国企業ではプレスで鉄製支柱の穴あけ加工をやっていた。重要寸法である穴位置は...

  ◆ 位置決め方法を再改善するもまだ足りないものが  この中国企業ではプレスで鉄製支柱の穴あけ加工をやっていた。重要寸法である穴位置は...


生産性向上は生産平準化でめざせ

 前回の『業務効率化による生産性革命の危険性』で解説した生産性を高めるにはどうすれば良いかですが、前回も書きましたようにこの「生産性」は、いかにたくさんの...

 前回の『業務効率化による生産性革命の危険性』で解説した生産性を高めるにはどうすれば良いかですが、前回も書きましたようにこの「生産性」は、いかにたくさんの...


金型・部品加工:分業体制による工具の寿命判定の難しさについて

 今回のテーマは、CAMとマシニングセンターの作業オペレーターが分業体制になったことで、多くの加工メーカーや金型メーカーで聞かれる、ドリルやエンドミル...

 今回のテーマは、CAMとマシニングセンターの作業オペレーターが分業体制になったことで、多くの加工メーカーや金型メーカーで聞かれる、ドリルやエンドミル...