中国式ショット数管理・会社規定との乖離 中国企業の壁(その25)

投稿日

  
  生産マネジメント
 
 前回ある中国工場(中国企業)での金型のショット数管理が中国式管理になっていたと書きました。日本で行われている金型のショット数管理とは、金型の使用ショット数があらかじめ設定した数に達したら、自動的に金型のメンテナンスを実施します。
 
 これに対して、中国式ショット数管理とは、設定したショット数に達したら、その金型を検査して問題あればメンテナンスを行う。しかし、問題がないと判断したらそのまま生産を継続する。次回の確認ショット数を設定し、それに達したらまた金型を検査して同じ判断をするというやり方です。
 
 本来のショット数管理に出来栄え管理の要素を加えた方法です。
 
 実際の運用状況はどうなっていたか、金型のメンテナンス記録を見ると、生産中に製品にバリが発生している、製品に傷が入っているのを作業者の自主検査または品管部の巡回検査で見つけたことで金型のメンテナンスを行っていた実態がわかりました。
 
 実質的には、出来栄え管理だけだったのです。設備に故障が起きれば修理対応するが、故障していないときに手を打つことはしないのと同じことが金型でも起きていたのです。中国工場は予防保全が苦手なのです。
 
 さらに問題だったのは会社規定と実際の管理が乖離していたことです。会社規定ではショット数管理は、設定したショット数に達したら自動的にメンテナンスすることになっていたのです。
 
 生産の責任者との打合せで、この中国式ショット数管理を「おもしろい管理方法をやっていますね」と話をしたら、責任者はそんなことはない、日本とやり方と同じショット数管理のやり方をすることになっていると言ってきました。
 
 わたしがいくら実態を確認したと言っても取り合ってくれなかったの...
  
  生産マネジメント
 
 前回ある中国工場(中国企業)での金型のショット数管理が中国式管理になっていたと書きました。日本で行われている金型のショット数管理とは、金型の使用ショット数があらかじめ設定した数に達したら、自動的に金型のメンテナンスを実施します。
 
 これに対して、中国式ショット数管理とは、設定したショット数に達したら、その金型を検査して問題あればメンテナンスを行う。しかし、問題がないと判断したらそのまま生産を継続する。次回の確認ショット数を設定し、それに達したらまた金型を検査して同じ判断をするというやり方です。
 
 本来のショット数管理に出来栄え管理の要素を加えた方法です。
 
 実際の運用状況はどうなっていたか、金型のメンテナンス記録を見ると、生産中に製品にバリが発生している、製品に傷が入っているのを作業者の自主検査または品管部の巡回検査で見つけたことで金型のメンテナンスを行っていた実態がわかりました。
 
 実質的には、出来栄え管理だけだったのです。設備に故障が起きれば修理対応するが、故障していないときに手を打つことはしないのと同じことが金型でも起きていたのです。中国工場は予防保全が苦手なのです。
 
 さらに問題だったのは会社規定と実際の管理が乖離していたことです。会社規定ではショット数管理は、設定したショット数に達したら自動的にメンテナンスすることになっていたのです。
 
 生産の責任者との打合せで、この中国式ショット数管理を「おもしろい管理方法をやっていますね」と話をしたら、責任者はそんなことはない、日本とやり方と同じショット数管理のやり方をすることになっていると言ってきました。
 
 わたしがいくら実態を確認したと言っても取り合ってくれなかったので、直接担当者に聞いてくれと言って確認してもらってやっと規定とは違う方法で管理が行われていたことを認識してくれました。
 
 会社の規定はあるものの、担当者が勝手にその管理方法を変えていたのです。会社の上層部は決まりがあるのだから、その通りに管理しているはずだと勝手に思い込み、確認することを怠っていました。中国人がルールを守らないことは自分たちが一番わかっているはずなのに。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ものづくり工場の日常管理のしくみ(その6)

◆見える管理を進めたいが、どうすればいいか    「見える化」を進めるには、まず目的を明確にします。目的に応じて「見える化」の内容、進め方は...

◆見える管理を進めたいが、どうすればいいか    「見える化」を進めるには、まず目的を明確にします。目的に応じて「見える化」の内容、進め方は...


金型とは、金型産業を深く知る(その1)

      造形の要である金型は「製品の産みの親」ともいわれています。工法はプレス、鍛造、鋳造、射出工程などがあり、素...

      造形の要である金型は「製品の産みの親」ともいわれています。工法はプレス、鍛造、鋳造、射出工程などがあり、素...


ポカヨケと不良 品質を考える(その6)

  ◆ ポカヨケを導入しても不良は減りません 1.品質を考える:ポカミスを防止するのがポカヨケです  人は誰でも間違いを犯すものであり...

  ◆ ポカヨケを導入しても不良は減りません 1.品質を考える:ポカミスを防止するのがポカヨケです  人は誰でも間違いを犯すものであり...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
管理の見える化 伸びる金型メーカーの秘訣 (その10)

 単工程としての機械加工業の中でも、比較的大きなロットサイズの旋盤加工を事業の中心とするメーカーが今回の事例企業です。こういった旋盤加工事業は、一見同じよ...

 単工程としての機械加工業の中でも、比較的大きなロットサイズの旋盤加工を事業の中心とするメーカーが今回の事例企業です。こういった旋盤加工事業は、一見同じよ...


赴任者のために 中国工場管理の基本事例(その8)

1、赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その6)  前回の赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その5)に続いて解説します。 ◆...

1、赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その6)  前回の赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その5)に続いて解説します。 ◆...


中国工場、出来高制給与の問題点とは

   以前開催したセミナーで講師の先生から自身が関わった2つの中国工場を比較した結果、中国では従業員の給料は、日給月給制よりも出来高制の方...

   以前開催したセミナーで講師の先生から自身が関わった2つの中国工場を比較した結果、中国では従業員の給料は、日給月給制よりも出来高制の方...