自部門の問題点抽出が無理な中国企業 中国企業の壁(その49)

投稿日

 
  IE
 
 日本品質を目指している中国企業A社では、全社の品質レベルを高めることが狙いで、社長の号令の元、各部門の品質に関わる役割の再認識と問題点を洗い出しが行われました。
 
 しかし、問題点の洗い出しで社長が期待した内容は出てきませんでした。自分たちの業務に問題はないとか、十分出来ていない業務を取り上げても出来ない理由を延々と説明する内容になっていました。今回は、A社の倉庫部門の品質に関わる役割について、解説します。A社では、倉庫部門の品質に関わる役割を次のように定義していました。
 

◆在庫品の品質

 保管環境のコントロール、決められた位置に置く、混入防止、先入れ先出し、入出庫数量の正確性(定期棚卸)、保管場所の確保
 

◆輸送品質

  • 出荷時のトラック積み作業での不具合防止
  • 港までの輸送による不具合防止
 

◆出庫品質

 製品及び部材出庫の正確性(間違った部材を現場に渡さない)
 
 A社では出荷時のトラック積みは外で行っていたので、雨の日に出荷があれば濡れることになります。品質に影響があると考えるべきです。このことを倉庫責任者に聞くと、雨の日は作業しないようにしていると答えました。
 
 中国人のその場しのぎの典型的な回答です。納期の関係でどうしてもその日に出荷しなければならない、その時に雨が降っていてもトラック積み作業はやるでしょう。
 
 倉庫が品質に関わる業務の問題点として、外でトラック積みをしていること、つまり雨に濡れないでトラック積みができないことがあると認識しなくてはいけなのですが、そうした考えは持っていませんでした。
 
 また、在庫品の品質劣化はどう考えているのかと聞くと、半年ごとに在庫品を検査して品質を確認してい...
 
  IE
 
 日本品質を目指している中国企業A社では、全社の品質レベルを高めることが狙いで、社長の号令の元、各部門の品質に関わる役割の再認識と問題点を洗い出しが行われました。
 
 しかし、問題点の洗い出しで社長が期待した内容は出てきませんでした。自分たちの業務に問題はないとか、十分出来ていない業務を取り上げても出来ない理由を延々と説明する内容になっていました。今回は、A社の倉庫部門の品質に関わる役割について、解説します。A社では、倉庫部門の品質に関わる役割を次のように定義していました。
 

◆在庫品の品質

 保管環境のコントロール、決められた位置に置く、混入防止、先入れ先出し、入出庫数量の正確性(定期棚卸)、保管場所の確保
 

◆輸送品質

  • 出荷時のトラック積み作業での不具合防止
  • 港までの輸送による不具合防止
 

◆出庫品質

 製品及び部材出庫の正確性(間違った部材を現場に渡さない)
 
 A社では出荷時のトラック積みは外で行っていたので、雨の日に出荷があれば濡れることになります。品質に影響があると考えるべきです。このことを倉庫責任者に聞くと、雨の日は作業しないようにしていると答えました。
 
 中国人のその場しのぎの典型的な回答です。納期の関係でどうしてもその日に出荷しなければならない、その時に雨が降っていてもトラック積み作業はやるでしょう。
 
 倉庫が品質に関わる業務の問題点として、外でトラック積みをしていること、つまり雨に濡れないでトラック積みができないことがあると認識しなくてはいけなのですが、そうした考えは持っていませんでした。
 
 また、在庫品の品質劣化はどう考えているのかと聞くと、半年ごとに在庫品を検査して品質を確認しているので問題ないとのことでした。長期在庫品を出庫する前に品質確認をしているのはよいですが、倉庫として考えるべきことは、品質劣化させないための保管にはどうしたらよいかです。
 
 中国人に自分たちの問題点を取り上げさせるのは、とても難しいですね。トップである社長が、その意図を十分に理解させ、今まで出来ていないことではなく、今後の改善の取り組みを評価すると明言することも必要でしょう。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「品質マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
KI法(ケイアイ法)、結果が悪いのは工程が悪い・作業が悪い!

 品質問題の解決について以前説明した“ポカヨケと源流検査”は品質不良を起している原因(問題作業)が分っている場合に効果的ですが、新...

 品質問題の解決について以前説明した“ポカヨケと源流検査”は品質不良を起している原因(問題作業)が分っている場合に効果的ですが、新...


製造業の品質対策:真の原因とは

 品質対策を行う場合、原因はどこまで追求するのか?という疑問が沸いてきます。それは、間違ったなぜなぜ分析を念頭に原因追及を行った結果、いつまでも原因にたど...

 品質対策を行う場合、原因はどこまで追求するのか?という疑問が沸いてきます。それは、間違ったなぜなぜ分析を念頭に原因追及を行った結果、いつまでも原因にたど...


電子デバイスの故障解析とは

  1. 故障解析に求められる知見    故障解析を実施する場合、故障モードに適した「試験装置、試験条件」の選定、さらに物理...

  1. 故障解析に求められる知見    故障解析を実施する場合、故障モードに適した「試験装置、試験条件」の選定、さらに物理...


「品質マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
特定の人の力によって進む業務 中国企業の壁(その36)

        前回は品管部の果たすべき役割についてでした。今回は、別の中国企業での品管部の話です。    その企業の品管部・孟経理は、以前日本...

        前回は品管部の果たすべき役割についてでした。今回は、別の中国企業での品管部の話です。    その企業の品管部・孟経理は、以前日本...


QCサークル活動 生産現場の悩みとは

 「忙しいから」「人がいないから」これは、どこの企業も条件は同じです。工夫して時間を捻出している企業が勝ち組となります。つまり、生産性を上げる &rArr...

 「忙しいから」「人がいないから」これは、どこの企業も条件は同じです。工夫して時間を捻出している企業が勝ち組となります。つまり、生産性を上げる &rArr...


事故原因を絞り込む危険?原因となる可能性のある対象を拡大することが、本当の再発防止

     ◆ 事故の要因はうっすら分布している 先日あるラジオ番組に産業技術総合研究所で安全工学の研究をされている中田...

     ◆ 事故の要因はうっすら分布している 先日あるラジオ番組に産業技術総合研究所で安全工学の研究をされている中田...