安定生産と特注品が混在の多品種少量生産工場、改革案とは

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  生産マネジメント
 
 今回は、次のような課題を抱えた多品種少量生産の工場について、改革案を解説します。
 
 多品種少量生産での (1) 管理工数大 (2) 生産ロットサイズ少→単価大 (3) コストダウン方法(原価低減)について、結論は小さな物や小さなことにも着眼し、改善の積み重ね、つまり、無駄取りと改善の繰り返しが最善策と考えています。
 

1. 多品種少量生産は、流動製品の切り替えが頻繁

 この場合切替え、段取ロスを如何に少なくするかもポイントです。対策として考えられるのが、次のような事項です。
 
(1) 切り替え、段取り作業の標準化。効率良い切り換え方法を標準化し、誰でも同じように、しかも速く切り替えが出来るようにする。また更に良い方法は無いかの改善の繰り返し。
 
 ①方法は良いか 効率的か 切り替え時間は最短か 安全か
 ②作業動作に無駄が無いか 無理な動作はないか
 ③切替治具、工具は近くにあるか、幾つもの細かな作業はまとめられないか(切替えのワンタッチ化)
 
 段取作業をする場合、内段取りか外段取りか、内段取りは切替え時、ライン停止し切替え作業をする為停止時間が長い。生産ロス。外段取りは、ラインを稼働しながら、次製品流動の段取りをラインの外でやるため、切替え時間が短縮でき生産ロスは少ない。
 
(2) 生産計画の範囲で可能な限り同機種を纏めて流動出来ないか。
 
 ①切替え回数の削減
  慣れた作業の繰り返しで作業能率の低下防止、作業能率の確認
 
 ②同作業でも機種により作業時間に差が出ていないか
  各工程の作業スピードの改善、各工程の作業量を山積み、山ならしして平準化する。工程間の手空き、溜まりの最小化
 
 ③受注の状況から先の生産計画が見込める場合、同製品の部品を機会損失(過剰在庫)にならない程度に纏め買い出来ないか。(購入単価ダウン)
 

2. 工程間、ライン間の運搬方法に無駄は無いか。自動化出来ないか

 作業、工程間の接続間を可能な限り短くする。活性分析は可能な限り移動、運搬し易い状態にするかと言うことです。小さな着眼点ですが、改善の余地があります。又、重量物を持ち上げる時、腰を傷める等の労働災害の未然防止にも役立ちます。
 

3.やり直し、手直しは無いか。製品流動に支障が出ていないか。

 

4.作業の引き継ぎ等に問題はないか。確認や見直し等のロス防止。効率的な引き継ぎ

 

5.工程設計全般見直し、無駄は無いか。小さな無駄も拾う。

 

6.製品設計、共通化出来る部品、原材料は無いか。作業性維持、原価低減。

 

7.納入部品、原材料は良いか。

 ライン投入前に洗浄、手直ししていないか。隠れたコストの見える化。
 

8.省エネ面のチェック

 クリーンルーム内での作業なら局所クリーン化出来ないか、ノンクリーンルーム化出来ないか。
 
 クリーンルームは、エネルギー費用の割合が高い。風量を落とす、局所化する等でコストの見直しをする。クリーンルーム化を過剰品質と判断、上記取り組み企業も多い。
 
 照明も適切に間引く。PCも節電モードに(画面の表示、明るさ)
 
 不要物排除。未使用のものに電源が入っている等。不要物を排除することで、空きスペースが発生したり、安全の向上にも繋がる。雑然としていると作業ミスの誘発。事故、災害や作業ミスもコストに効いてきます。
 
 高熱の設備には熱飛散防止の工夫を。設備や空調の冷却コストが減る。逆に品質に影響ない場合、室温を高め設定し冷却コスト低減に貢献。
 

9.原価の分析はきちんとしているか。(管理、経理、設計、品質、技術、現場)

 減らせることは無いか。作業員の意識は高いか。小集団活動等を活用、テーマの共有、問題の提起してもらう。TOPダウンとボトムアップの関係が良ければ、作業員の会社を良くしようと言う雰囲気や参画意識が醸成され、小さな問題点への気づき、改善に繋げて貰える。良く特性要因図の作成時、現場で実際を見ながらが効果的と言います。作業者はやり難いこと、標準には無いがやり易い方法等に気が付いていることが多い。それを拾いたい。管理や技術、品質部門が机上で考えるものとまた違った見方が出来ます。
 

10.製品品質の見直し。歩留まりを極限まで追い込む。目標は高い方が良い。

 付加価値を付け過ぎていないか。削れるものは無いか。逆に高付加価値をPR し売値を上げられないか。
 

11.作業の見直し。作業そのものに着眼し無駄を見つけ、排除できないか。

 作業観察し、作業分解して無駄を見つける。動作が効率的か(動作経済の原則)、製品の流れに戻りは...
 
  生産マネジメント
 
 今回は、次のような課題を抱えた多品種少量生産の工場について、改革案を解説します。
 
 多品種少量生産での (1) 管理工数大 (2) 生産ロットサイズ少→単価大 (3) コストダウン方法(原価低減)について、結論は小さな物や小さなことにも着眼し、改善の積み重ね、つまり、無駄取りと改善の繰り返しが最善策と考えています。
 

1. 多品種少量生産は、流動製品の切り替えが頻繁

 この場合切替え、段取ロスを如何に少なくするかもポイントです。対策として考えられるのが、次のような事項です。
 
(1) 切り替え、段取り作業の標準化。効率良い切り換え方法を標準化し、誰でも同じように、しかも速く切り替えが出来るようにする。また更に良い方法は無いかの改善の繰り返し。
 
 ①方法は良いか 効率的か 切り替え時間は最短か 安全か
 ②作業動作に無駄が無いか 無理な動作はないか
 ③切替治具、工具は近くにあるか、幾つもの細かな作業はまとめられないか(切替えのワンタッチ化)
 
 段取作業をする場合、内段取りか外段取りか、内段取りは切替え時、ライン停止し切替え作業をする為停止時間が長い。生産ロス。外段取りは、ラインを稼働しながら、次製品流動の段取りをラインの外でやるため、切替え時間が短縮でき生産ロスは少ない。
 
(2) 生産計画の範囲で可能な限り同機種を纏めて流動出来ないか。
 
 ①切替え回数の削減
  慣れた作業の繰り返しで作業能率の低下防止、作業能率の確認
 
 ②同作業でも機種により作業時間に差が出ていないか
  各工程の作業スピードの改善、各工程の作業量を山積み、山ならしして平準化する。工程間の手空き、溜まりの最小化
 
 ③受注の状況から先の生産計画が見込める場合、同製品の部品を機会損失(過剰在庫)にならない程度に纏め買い出来ないか。(購入単価ダウン)
 

2. 工程間、ライン間の運搬方法に無駄は無いか。自動化出来ないか

 作業、工程間の接続間を可能な限り短くする。活性分析は可能な限り移動、運搬し易い状態にするかと言うことです。小さな着眼点ですが、改善の余地があります。又、重量物を持ち上げる時、腰を傷める等の労働災害の未然防止にも役立ちます。
 

3.やり直し、手直しは無いか。製品流動に支障が出ていないか。

 

4.作業の引き継ぎ等に問題はないか。確認や見直し等のロス防止。効率的な引き継ぎ

 

5.工程設計全般見直し、無駄は無いか。小さな無駄も拾う。

 

6.製品設計、共通化出来る部品、原材料は無いか。作業性維持、原価低減。

 

7.納入部品、原材料は良いか。

 ライン投入前に洗浄、手直ししていないか。隠れたコストの見える化。
 

8.省エネ面のチェック

 クリーンルーム内での作業なら局所クリーン化出来ないか、ノンクリーンルーム化出来ないか。
 
 クリーンルームは、エネルギー費用の割合が高い。風量を落とす、局所化する等でコストの見直しをする。クリーンルーム化を過剰品質と判断、上記取り組み企業も多い。
 
 照明も適切に間引く。PCも節電モードに(画面の表示、明るさ)
 
 不要物排除。未使用のものに電源が入っている等。不要物を排除することで、空きスペースが発生したり、安全の向上にも繋がる。雑然としていると作業ミスの誘発。事故、災害や作業ミスもコストに効いてきます。
 
 高熱の設備には熱飛散防止の工夫を。設備や空調の冷却コストが減る。逆に品質に影響ない場合、室温を高め設定し冷却コスト低減に貢献。
 

9.原価の分析はきちんとしているか。(管理、経理、設計、品質、技術、現場)

 減らせることは無いか。作業員の意識は高いか。小集団活動等を活用、テーマの共有、問題の提起してもらう。TOPダウンとボトムアップの関係が良ければ、作業員の会社を良くしようと言う雰囲気や参画意識が醸成され、小さな問題点への気づき、改善に繋げて貰える。良く特性要因図の作成時、現場で実際を見ながらが効果的と言います。作業者はやり難いこと、標準には無いがやり易い方法等に気が付いていることが多い。それを拾いたい。管理や技術、品質部門が机上で考えるものとまた違った見方が出来ます。
 

10.製品品質の見直し。歩留まりを極限まで追い込む。目標は高い方が良い。

 付加価値を付け過ぎていないか。削れるものは無いか。逆に高付加価値をPR し売値を上げられないか。
 

11.作業の見直し。作業そのものに着眼し無駄を見つけ、排除できないか。

 作業観察し、作業分解して無駄を見つける。動作が効率的か(動作経済の原則)、製品の流れに戻りはないか(製品流動や人の動きの流れ矢線化)、手直しやり直しは無いか。戻り作業は製品流動の流れを阻害し、後工程が手空きになる。納期確保の為の残業や休日出勤対応で間に合わせ、結果コストアップに繋がることの防止。
 
 細かな事だが、作業標準等の書類が手元に無く、必要になった都度遠くまで(管理職の周囲)見に行く、取りに行く動作が発生していたり、見に行くのが面倒で思い込みで作業をし、不良品を作ってしまったと言う事例もある。管理職は、作業標準は頻繁に見ないのに手元に置きたがる。
 
 作業者の熟練度を上げる。兎角作業の遅い人ばかりに注目してしまうが速い人にも注目する。右肩上がりの習熟度が横這いになると、その人の能力は最大に到達したとか、熟練者とみなされノーマークになる。この状態をプラトー(高原)と言うが、何かのきっかけで現状打破し、再び技能、能力が右肩上がりに転換することもある。
 
 小さなことでもいかに着眼し拾い出すか、積み上げるか。究極を目指すと言うことです。周囲の力を集め、より多面的に着眼と改善、その繰り返し、継続だと思います。このこのことは手綱を緩めてはいけません。日々前進です。
 

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この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

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