人財育成(その5) クリーン化について(その100)

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クリーン化

 

クリーン化について、人財育成に触れています。今回のその5、前回に引き続き、人を育てるにはです。

【この連載の前回:クリーン化について(その99)人財育成(その4)へのリンク】

1.褒めることの大切さ~褒める順番がある

部下の管理、育成の中で褒めることは、重要なキーワードです。

 

日本人は褒めることが苦手です。どうしても先に叱ってしまう。そのあとに褒めても効果はない。褒めるには順番があるのだ。過去の経験から、“褒めると叱る”、の順番やタイミングを損ねてはいけないと心を戒めている。営業マンの言葉を紹介する。

 

私が20代前半に札幌に赴任、時計店向け講習会をやっていた時のことです。営業から帰ってきて、「君の講習会は評判がいいよ。おかげで営業もやりやすいよ」 というのです。当時北海道では、2つの時計商組合があった。片方に所属するお店もあれば、両方の組合に所属するところもあった。そこで講習会のことが話題になるそうだ。両方に話が出るのだから、その評判を聞いて受講者も増えた。少しして、他の時計メーカーの講習会も始まったが、君の話は理路整然としているというのだ。

 

この話を聞くと、自分がやっていることが間違っていないということであり、評価でもあると感じた。それを忘れずに伝えてくれる営業の方の誉め言葉でもある。それは私の励みになり、気持ちが高揚し、また頑張ろうという気になる。一言かも知れないが、その言葉に育てられてきたようにも感じる。意識的に、意図的に大げさに褒めることよりも心に響くのかも知れない。褒める価値を高めることを考えたい。

 

2.怒ると叱るについて

怒るというのは、単に感情をあらわにし、それを相手にぶつける。これに対し、叱るとは相手に良くなって欲しいという気持ちを込めた行動の表れである。怒鳴る、怒るという場を目にすることがあるが、その時点で、相互の会話は終わる。叱るのは、相手に成長してもらいたいという教育、育成の機会であることを意識したい。

 

3.OFF-JTとOJT

会社の教育の多くは集合教育(OFF-JT)であり、一律に人を育てる場合が多い。これは、ある意味その会社の色に染めるということでもある。新入社員の場合は、余り疑問を持たないだろうが、転職、中途採用者の場合は、前の会社とのギャップを感じる場合がある。比較する対象があるからだ。自分のいた会社とは常識が違う。会社の色が違うというのです。

 

そのような該当者の教育を担当した時、意見、感想を聞くと良くわかる。このOFF‐JTに対し、現場で仕事を通じた指導はOJTである。人を育てるにはどちらも必要だ。

 

自動車教習所では、まずテキストで教育(OFF‐JT)し、そのあと、所内のコースで教官が指導(OJT)、路上へと進む。このOFF‐JTとOJTをセットにすることが、早く育てるコツでもある。これは、知識教育と体験学習、理論と実際という言葉にも言い換えられる。知識教育の裏付けが体験学習である。やった人にしかわからないのだ。

 

4.話すこと、聞くこと

話をする時は相手の目を見ることが大切だと思う。“目は口ほどにものを言う”ともいわれる。目の力は凄いのだが、それは使い方にもよる。小さな子供と話をする時は、たいてい腰を屈めるか、膝をついて話しかける。相手と目線を合わせる、対等になるということです。

 

顔を見なければ反応はわからない。聞いてやろうという姿勢や思いやり、そしてなだめる。この過程を略してはいけないのです。相互に対等になった時、話しやすくなるのだ。上から言うと威圧的な雰囲気になる。子供の素直な気持ちは出てこない。

 

仕事の教え方も、最初に、やりたい気持ちにさせるという部分があるが、これと同じだ。

 

親という字は木の上に立って見ると書くように、もっと広く物事をみて、子供にアドバイスしていくことも重要だ。この字のようになりたいものだ。私は、相槌を打つ動作も言葉の一つのように感じることがある。

 

例えば、セミナーや講演会など大勢を前にして話をする時は...

クリーン化

 

クリーン化について、人財育成に触れています。今回のその5、前回に引き続き、人を育てるにはです。

【この連載の前回:クリーン化について(その99)人財育成(その4)へのリンク】

1.褒めることの大切さ~褒める順番がある

部下の管理、育成の中で褒めることは、重要なキーワードです。

 

日本人は褒めることが苦手です。どうしても先に叱ってしまう。そのあとに褒めても効果はない。褒めるには順番があるのだ。過去の経験から、“褒めると叱る”、の順番やタイミングを損ねてはいけないと心を戒めている。営業マンの言葉を紹介する。

 

私が20代前半に札幌に赴任、時計店向け講習会をやっていた時のことです。営業から帰ってきて、「君の講習会は評判がいいよ。おかげで営業もやりやすいよ」 というのです。当時北海道では、2つの時計商組合があった。片方に所属するお店もあれば、両方の組合に所属するところもあった。そこで講習会のことが話題になるそうだ。両方に話が出るのだから、その評判を聞いて受講者も増えた。少しして、他の時計メーカーの講習会も始まったが、君の話は理路整然としているというのだ。

 

この話を聞くと、自分がやっていることが間違っていないということであり、評価でもあると感じた。それを忘れずに伝えてくれる営業の方の誉め言葉でもある。それは私の励みになり、気持ちが高揚し、また頑張ろうという気になる。一言かも知れないが、その言葉に育てられてきたようにも感じる。意識的に、意図的に大げさに褒めることよりも心に響くのかも知れない。褒める価値を高めることを考えたい。

 

2.怒ると叱るについて

怒るというのは、単に感情をあらわにし、それを相手にぶつける。これに対し、叱るとは相手に良くなって欲しいという気持ちを込めた行動の表れである。怒鳴る、怒るという場を目にすることがあるが、その時点で、相互の会話は終わる。叱るのは、相手に成長してもらいたいという教育、育成の機会であることを意識したい。

 

3.OFF-JTとOJT

会社の教育の多くは集合教育(OFF-JT)であり、一律に人を育てる場合が多い。これは、ある意味その会社の色に染めるということでもある。新入社員の場合は、余り疑問を持たないだろうが、転職、中途採用者の場合は、前の会社とのギャップを感じる場合がある。比較する対象があるからだ。自分のいた会社とは常識が違う。会社の色が違うというのです。

 

そのような該当者の教育を担当した時、意見、感想を聞くと良くわかる。このOFF‐JTに対し、現場で仕事を通じた指導はOJTである。人を育てるにはどちらも必要だ。

 

自動車教習所では、まずテキストで教育(OFF‐JT)し、そのあと、所内のコースで教官が指導(OJT)、路上へと進む。このOFF‐JTとOJTをセットにすることが、早く育てるコツでもある。これは、知識教育と体験学習、理論と実際という言葉にも言い換えられる。知識教育の裏付けが体験学習である。やった人にしかわからないのだ。

 

4.話すこと、聞くこと

話をする時は相手の目を見ることが大切だと思う。“目は口ほどにものを言う”ともいわれる。目の力は凄いのだが、それは使い方にもよる。小さな子供と話をする時は、たいてい腰を屈めるか、膝をついて話しかける。相手と目線を合わせる、対等になるということです。

 

顔を見なければ反応はわからない。聞いてやろうという姿勢や思いやり、そしてなだめる。この過程を略してはいけないのです。相互に対等になった時、話しやすくなるのだ。上から言うと威圧的な雰囲気になる。子供の素直な気持ちは出てこない。

 

仕事の教え方も、最初に、やりたい気持ちにさせるという部分があるが、これと同じだ。

 

親という字は木の上に立って見ると書くように、もっと広く物事をみて、子供にアドバイスしていくことも重要だ。この字のようになりたいものだ。私は、相槌を打つ動作も言葉の一つのように感じることがある。

 

例えば、セミナーや講演会など大勢を前にして話をする時は、最初から最後まで立って進める。そして全員を見渡す。相槌を打ってくれる人が多ければ、自分の話や思いが伝わった。理解してくれた。そして次に進んでも良いという判断ができる。そんな言葉だ。

 

コロナ禍では、授業もリモートで行われることが多かった。この場合、話し手の感情、情熱などが伝わり難く、記憶にも残り難いので、授業の効果は薄いと言われている。また新人の営業マンも、電話やパソコンを通じた会話ばかりで、お客様に直接会うことがない。お客様に会う機会があると、逆にその場が怖いという人も出て来た。コロナの副産物だ。

 

次回に続きます。

 

◆【特集】 連載記事紹介連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!!

 

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この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

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