付帯設備の診断-6 クリーン化について(その76)

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クリーンルーム

 

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今回は、エアシャワー周囲の確認について解説します。

 

“エアシャワーについて”の中で、最後の項ですが、本当は清掃に着手する前にやっておきたいことです。

 

具体的には、エアシャワー周囲の汚れを観察し、どんなゴミがあるのか見ておきます。金属粉であれば、金属の擦れ、黒い汚れならグリス、またはグリスの乾いた粉、繊維状のゴミなら持ち込みという風に簡単に見ておくことはできるでしょう。

 

また、エアシャワー前後にクリーンマットが設置してあれば、その汚れを見ておきます。

 

上記のゴミの他に、足跡をみて、防塵靴の汚れ、あるいは靴跡の向きなども見ておきたい。クリーンマットは、床に直に貼る場合もあるが、台紙と呼ばれるゴム状の専用シートがあり、その上にクリーンマットを設置する場合もある。この台紙を用いた場合、1センチほどは高くなる。これがドア開閉の時の障害になる場合がある。

 

ドアを開けようとして、その段差にぶつかり、開閉ができないとか、いつものつもりで、ドアノブに触れながら体もドア側に動き始めていた。しかしドアが開かなかった。そしてドアにぶつかるということも起きる。

 

いつもは床に直接貼っていたのに、突然台紙を設けたという場合に起きる。これはヒヤリ、ハットであり、微小な事故、災害になるかも知れない。もし、ドアの窓にぶつかれば、ガラスが割れ、それでケガをするという事故になるかも知れない。労働災害である。

 

災害はいつ、どこで起きるかわからない。その芽を小さいうちに摘んでおきたい。これは品質管理で言う4M変更(変動)にも似ている。新しい設置方法に変更したのだから、ドアの開閉も確認をしておきたかった。また、そのことを周知しておかなかったというミスだが、事故が起きるまでは予想がつかないことでもある。

 

ドアが開かないことで、強引に開けることもある。かろうじて開く場合も、ドアの下部と台紙が擦れるので、台紙が削れたゴミが発生する。

 

小さなことと思っても、その変更によってどんなことが起きるかを想像したい。難しいことだが、気づかいとか、先を考えるということです。その周囲の環境を確認することは、ある意味、環境影響評価(=環境アセスメント)のミニ版と捉えても良いかも知れない。

 

さて、その周囲のゴミを観察し、どこから発生したものかをある程度推測しながら、清掃に入る。清掃しながら発生個所と思われる部分を観察する。

 

観察することを清掃手順の一部と考えれば、改めてそのようなことを意識しなくても、習慣になれば自然とできるようになる。そして不具合の発見に繋がる。ただし、誰でもが落ちなく、同じようにできる(清掃方法、清掃時間等)ことを考えると、清掃標準に付け加えておきたい。

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クリーンルーム

 

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今回は、エアシャワー周囲の確認について解説します。

 

“エアシャワーについて”の中で、最後の項ですが、本当は清掃に着手する前にやっておきたいことです。

 

具体的には、エアシャワー周囲の汚れを観察し、どんなゴミがあるのか見ておきます。金属粉であれば、金属の擦れ、黒い汚れならグリス、またはグリスの乾いた粉、繊維状のゴミなら持ち込みという風に簡単に見ておくことはできるでしょう。

 

また、エアシャワー前後にクリーンマットが設置してあれば、その汚れを見ておきます。

 

上記のゴミの他に、足跡をみて、防塵靴の汚れ、あるいは靴跡の向きなども見ておきたい。クリーンマットは、床に直に貼る場合もあるが、台紙と呼ばれるゴム状の専用シートがあり、その上にクリーンマットを設置する場合もある。この台紙を用いた場合、1センチほどは高くなる。これがドア開閉の時の障害になる場合がある。

 

ドアを開けようとして、その段差にぶつかり、開閉ができないとか、いつものつもりで、ドアノブに触れながら体もドア側に動き始めていた。しかしドアが開かなかった。そしてドアにぶつかるということも起きる。

 

いつもは床に直接貼っていたのに、突然台紙を設けたという場合に起きる。これはヒヤリ、ハットであり、微小な事故、災害になるかも知れない。もし、ドアの窓にぶつかれば、ガラスが割れ、それでケガをするという事故になるかも知れない。労働災害である。

 

災害はいつ、どこで起きるかわからない。その芽を小さいうちに摘んでおきたい。これは品質管理で言う4M変更(変動)にも似ている。新しい設置方法に変更したのだから、ドアの開閉も確認をしておきたかった。また、そのことを周知しておかなかったというミスだが、事故が起きるまでは予想がつかないことでもある。

 

ドアが開かないことで、強引に開けることもある。かろうじて開く場合も、ドアの下部と台紙が擦れるので、台紙が削れたゴミが発生する。

 

小さなことと思っても、その変更によってどんなことが起きるかを想像したい。難しいことだが、気づかいとか、先を考えるということです。その周囲の環境を確認することは、ある意味、環境影響評価(=環境アセスメント)のミニ版と捉えても良いかも知れない。

 

さて、その周囲のゴミを観察し、どこから発生したものかをある程度推測しながら、清掃に入る。清掃しながら発生個所と思われる部分を観察する。

 

観察することを清掃手順の一部と考えれば、改めてそのようなことを意識しなくても、習慣になれば自然とできるようになる。そして不具合の発見に繋がる。ただし、誰でもが落ちなく、同じようにできる(清掃方法、清掃時間等)ことを考えると、清掃標準に付け加えておきたい。

 

以前紹介した、ある会社の作業標準の最初に、安全を意識して、“やってはいけないこと”、“やらなければいけないこと”を記したことと、考えは同じです。清掃前に、ゴミを観察しておくこと、これも“清掃は点検なり”です。“掃除をすることだけ”を目的にしないことです。

 

次回に続きます。

 

 

◆関連解説『環境マネジメント』

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この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

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