ノンクリーンルーム化について クリーン化について(その92)

投稿日

クリーンルーム

 

【この連載の前回:クリーン化について(その91)局所クリーンルームについてへのリンク】

中小企業の場合、取引先からクリーンルーム化を要望されることがあると思います。ところが、取引の都合でクリーンルーム化しても、その管理方法などのノウハウや指導は得られないこともあります。そして、クリーンルームの中での仕事のやり方は旧態依然と言う場合もあります。今回は、ノンクリーンルーム化について解説します。

 

クリーンルームは長期連休以外は停止することなく運転します。すると、運転費用(多くは電気代)が嵩みます。そのクリーンルームをきちんと管理しないと、品質、歩留まり向上は期待できないのです。費用が嵩むのに、品質、歩留まりが向上しないのなら今までと同じだということで、クリーンルームをやめてしまおうと考えるところも多いでしょう。当然採算を考えてのことです。

 

ところが、クリーンルームの運転を停止したところ、以前の、クリーンルームではない時の品質よりも低下してしまった。慌ててクリーンルームを運転したが、今度は、最初に運転した時よりも品質、歩留まりが低下して元に戻らなかったという例もあります。

 

これは、せっかくクリーンルームにしたが、その管理方法を知らず、運転を止めたら、タガが外れるように環境が悪くなった例です。こうなると、どこが、何が悪いのか皆目見当もつかないということになってしまうでしょう。

 

一般の作業エリアでも、クリーン化の考え方を含めた作業者教育をきちんとし、急所を押え現場を奇麗にすれば、かなり良いレベルにすることができます。これまでの経験から、クリーンルームではないところでも、管理次第では、クラス100,000のクリーンルーム(Fed、Std)のレベルよりも良い環境にすることができると考えています。

 

海外の工場で、ノンクリーンルーム化をしたところがありました。

 

クリーン化教育もきちんと実施し、その上で、ひとつずつ、やめて良いか確認しながら、ノンクリーンルームにしたのです。それ以降もクリーン化教育は継続していました。クリーン化をやめたのではないのです。クリーン化の思想は残しながら、石橋を叩いたということです。もし何か不都合なことがあれば、何がいけないのかすぐに判断できるので、品質低下の影響を最小限に抑えながら元に戻すことができます。

 

クリーンルーム化を要請してくるところでは、次の理由があります。

  • クリーンルームにすれば品質、歩留まりが向上するという神話や思い込みで要請する
  • クリーンルームの管理を知らない、できな...

クリーンルーム

 

【この連載の前回:クリーン化について(その91)局所クリーンルームについてへのリンク】

中小企業の場合、取引先からクリーンルーム化を要望されることがあると思います。ところが、取引の都合でクリーンルーム化しても、その管理方法などのノウハウや指導は得られないこともあります。そして、クリーンルームの中での仕事のやり方は旧態依然と言う場合もあります。今回は、ノンクリーンルーム化について解説します。

 

クリーンルームは長期連休以外は停止することなく運転します。すると、運転費用(多くは電気代)が嵩みます。そのクリーンルームをきちんと管理しないと、品質、歩留まり向上は期待できないのです。費用が嵩むのに、品質、歩留まりが向上しないのなら今までと同じだということで、クリーンルームをやめてしまおうと考えるところも多いでしょう。当然採算を考えてのことです。

 

ところが、クリーンルームの運転を停止したところ、以前の、クリーンルームではない時の品質よりも低下してしまった。慌ててクリーンルームを運転したが、今度は、最初に運転した時よりも品質、歩留まりが低下して元に戻らなかったという例もあります。

 

これは、せっかくクリーンルームにしたが、その管理方法を知らず、運転を止めたら、タガが外れるように環境が悪くなった例です。こうなると、どこが、何が悪いのか皆目見当もつかないということになってしまうでしょう。

 

一般の作業エリアでも、クリーン化の考え方を含めた作業者教育をきちんとし、急所を押え現場を奇麗にすれば、かなり良いレベルにすることができます。これまでの経験から、クリーンルームではないところでも、管理次第では、クラス100,000のクリーンルーム(Fed、Std)のレベルよりも良い環境にすることができると考えています。

 

海外の工場で、ノンクリーンルーム化をしたところがありました。

 

クリーン化教育もきちんと実施し、その上で、ひとつずつ、やめて良いか確認しながら、ノンクリーンルームにしたのです。それ以降もクリーン化教育は継続していました。クリーン化をやめたのではないのです。クリーン化の思想は残しながら、石橋を叩いたということです。もし何か不都合なことがあれば、何がいけないのかすぐに判断できるので、品質低下の影響を最小限に抑えながら元に戻すことができます。

 

クリーンルーム化を要請してくるところでは、次の理由があります。

  • クリーンルームにすれば品質、歩留まりが向上するという神話や思い込みで要請する
  • クリーンルームの管理を知らない、できないのに要請する
  • 他社にノウハウが流出するのを防ぎたい(クリーン化のノウハウは門外不出の考え)
  • 指導したノウハウを使って、他社の製品品質が向上するのを避けたい

 

言われたとおりにやってみたら、ダメだったのではなく、導入する時から自らが主役になって情報を集め、自分たちのクリーンルーム管理のノウハウを構築しましょう。そこが費用対効果の分かれ道でもあります。

 

次回に続きます。

 

 

◆関連解説『環境マネジメント』

   続きを読むには・・・


この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め...


「クリーン化技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
気流について クリーン化について(その46)

     今回は、クリーンルーム内の気流の見方を解説します。 1. 層流方式のクリーンルーム  設計上は天井から床に向かう気流...

     今回は、クリーンルーム内の気流の見方を解説します。 1. 層流方式のクリーンルーム  設計上は天井から床に向かう気流...


クリーン化の原点とは クリーン化について(その1)

   これまでクリーン化の事例などを色々書いてきました。今回は『クリーン化とは何か』について原点に戻り解説します。  今回「クリーン化の...

   これまでクリーン化の事例などを色々書いてきました。今回は『クリーン化とは何か』について原点に戻り解説します。  今回「クリーン化の...


なぜクリーン化が必要か

 私のクリーン化教育やセミナーでは、“なぜクリーン化が必要か”について、最初にお話するようにしています。今回は、その理由をお話しま...

 私のクリーン化教育やセミナーでは、“なぜクリーン化が必要か”について、最初にお話するようにしています。今回は、その理由をお話しま...


「クリーン化技術」の活用事例

もっと見る
クリーン化:社服(ユニフォーム)について

 クリーン化というとクリーンルームの中のこと、或いはクリーンルームを持っている会社のことと思ってしまうかもしれません。しかし、クリーンルームの中を綺麗にす...

 クリーン化というとクリーンルームの中のこと、或いはクリーンルームを持っている会社のことと思ってしまうかもしれません。しかし、クリーンルームの中を綺麗にす...


経営者、管理者の現場行動事例

 国内空洞化加速に伴って、現場を見ない経営者や管理者が多くなったように感じます。国内、海外、業界等の様子が各種情報の発達により、容易に入手出来ます。そこか...

 国内空洞化加速に伴って、現場を見ない経営者や管理者が多くなったように感じます。国内、海外、業界等の様子が各種情報の発達により、容易に入手出来ます。そこか...


作業ミスとクリーン化の関係事例

 今回は、作業ミスとクリーン化の関係について、“表示消え”の事例を紹介します。   ある会社の製造ラインの最終検査工程で実際に起きた例です。交代勤務制の...

 今回は、作業ミスとクリーン化の関係について、“表示消え”の事例を紹介します。   ある会社の製造ラインの最終検査工程で実際に起きた例です。交代勤務制の...