人財育成について クリーン化について(その84)

投稿日

クリーン化

 

【この連載の前回へのリンク】

ここで、人財育成について触れます。クリーン化と人財育成、安全は密接な関係にあると考えています。クリーン化の現場診断・指導で訪問した海外の工場人財育成についていくつか紹介します。

 

【その場で指導する(シンガポールの例)】

 

お互いに連絡を取って日時を決めてあったのですが、当日工場に入ったところ、「急な会議が入ってしまった。現地のマネージャーが対応するので、予定通り巡回して欲しい」と言うことだった。他にもいくつか工場があるので、予定が狂わないようにと言う配慮だった。その時の様子を紹介します。

 

現地のマネージャーは、日本語もできるので、現場巡回には問題はなかった。現場である不具合を見つけた。それを指摘し、説明している時に異様な雰囲気を感じた。周囲の作業者が、こちらを見ているのです。

 

どうしたのかと思いながら、そのマネージャーに、「次はどこを見ますか」、と聞くと、「あの設備を見てください」と言うので、その設備のところに行って診断を始めた。

 

ところがそういうマネージャーが来ないのです。振り返ってみると、私が先ほど指摘したところに、こちらを見ていた周囲の作業者が集まっていた。その様子を見ていると、「先ほど先生が指摘したところはここです。」と言って不具合理由を説明していた。

 

この時、その場で指導していることに気が付いた。これは非常に価値があるのです。

 

良くあるのは、現場診断、指導が終了すると、「今日の現場診断は終了しました。〇〇時から報告会があるので、関係者は〇〇会議室に集まってください」と言うようなアナウンスがあり、そこで指摘内容などが公開されるというケースです。

 

その会議に出席した人で、指摘内容が気になる人は、会議終了後すぐに現場に入るでしょう。でも、時間が経過しているので、その不具合を誰かが取り除いているかも知れません。発塵粉の堆積なら、その場を通った作業者が偶然気が付いて、雑巾で拭き取ってしまうかも知れません。

 

クリーン化の最初のところで、“現場とはその場に現れる“と書きました。

 

つまり不具合を発見したその場です。でも“態は変化する“とも書きました。時間が経てば状態は変わってしまうので、後で見に行っても、証拠が消えているかも知れません。従って、現場の人に、その場を見せて指導するということは非常に価値があります。

 

勤務の時間帯によっては、全員ではないですが、その場にいた人たちだけにでも指導できるのです。あるいは、その報告会の内容を翌日の朝会で連絡しても、勤務版が変わっているかも知れない。また証拠が消えているかも知れないので、言っただけ、聞いただけになってしまいます。情報がかなり薄くなってしまいます。

 

私も、違う現場では、周囲に作業者がいれば、見てもらいましょうと、担当者に言う時もあります。もちろん直...

クリーン化

 

【この連載の前回へのリンク】

ここで、人財育成について触れます。クリーン化と人財育成、安全は密接な関係にあると考えています。クリーン化の現場診断・指導で訪問した海外の工場人財育成についていくつか紹介します。

 

【その場で指導する(シンガポールの例)】

 

お互いに連絡を取って日時を決めてあったのですが、当日工場に入ったところ、「急な会議が入ってしまった。現地のマネージャーが対応するので、予定通り巡回して欲しい」と言うことだった。他にもいくつか工場があるので、予定が狂わないようにと言う配慮だった。その時の様子を紹介します。

 

現地のマネージャーは、日本語もできるので、現場巡回には問題はなかった。現場である不具合を見つけた。それを指摘し、説明している時に異様な雰囲気を感じた。周囲の作業者が、こちらを見ているのです。

 

どうしたのかと思いながら、そのマネージャーに、「次はどこを見ますか」、と聞くと、「あの設備を見てください」と言うので、その設備のところに行って診断を始めた。

 

ところがそういうマネージャーが来ないのです。振り返ってみると、私が先ほど指摘したところに、こちらを見ていた周囲の作業者が集まっていた。その様子を見ていると、「先ほど先生が指摘したところはここです。」と言って不具合理由を説明していた。

 

この時、その場で指導していることに気が付いた。これは非常に価値があるのです。

 

良くあるのは、現場診断、指導が終了すると、「今日の現場診断は終了しました。〇〇時から報告会があるので、関係者は〇〇会議室に集まってください」と言うようなアナウンスがあり、そこで指摘内容などが公開されるというケースです。

 

その会議に出席した人で、指摘内容が気になる人は、会議終了後すぐに現場に入るでしょう。でも、時間が経過しているので、その不具合を誰かが取り除いているかも知れません。発塵粉の堆積なら、その場を通った作業者が偶然気が付いて、雑巾で拭き取ってしまうかも知れません。

 

クリーン化の最初のところで、“現場とはその場に現れる“と書きました。

 

つまり不具合を発見したその場です。でも“態は変化する“とも書きました。時間が経てば状態は変わってしまうので、後で見に行っても、証拠が消えているかも知れません。従って、現場の人に、その場を見せて指導するということは非常に価値があります。

 

勤務の時間帯によっては、全員ではないですが、その場にいた人たちだけにでも指導できるのです。あるいは、その報告会の内容を翌日の朝会で連絡しても、勤務版が変わっているかも知れない。また証拠が消えているかも知れないので、言っただけ、聞いただけになってしまいます。情報がかなり薄くなってしまいます。

 

私も、違う現場では、周囲に作業者がいれば、見てもらいましょうと、担当者に言う時もあります。もちろん直接話しかけると、作業が中断したり、作業ミスが起きるかも知れないので、必ず現場の責任者を通しますが、やはり百聞は一見にしかず。その場を見ること、そしてなぜいけないのかを知ることの効果は大きいです。このような教育、指導を誰がしたのか、小さなことかも知れませんが、重要なことです。このようなことはと軽く考え、評価には値しないという人もいますが、クリーン化では、このような積み重ねが重要だと考えています。

 

次回に続きます。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め...


「クリーン化技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
クリーン化活動の進め方 クリーン化について(その54)

    今回は、図2のステップ3、標準化、定着化について解説します。   図1.クリーン化活動のステップ展開 ...

    今回は、図2のステップ3、標準化、定着化について解説します。   図1.クリーン化活動のステップ展開 ...


安全について クリーン化について(その87)

  【この連載の前回へのリンク】 クリーン化は、安全とも密接な関係があります。これまでの連載記事で説明して来ましたが、今回、まとめてみま...

  【この連載の前回へのリンク】 クリーン化は、安全とも密接な関係があります。これまでの連載記事で説明して来ましたが、今回、まとめてみま...


現場診断・指導について(その2) クリーン化について(その62)

  前回の現場診断・指導について(その1)に続いて、解説します。現場診断・指導についてを解説します。現場診断は、以下のパターンが考えられま...

  前回の現場診断・指導について(その1)に続いて、解説します。現場診断・指導についてを解説します。現場診断は、以下のパターンが考えられま...


「クリーン化技術」の活用事例

もっと見る
徹底清掃と安全の確保について

 あまり清掃をやってこなかったとか、忙しくて清掃がきちんとできなかった。あるいは震災などで工場が止まり、現場が大変汚れてしまったなど、色々な理由で汚れてい...

 あまり清掃をやってこなかったとか、忙しくて清掃がきちんとできなかった。あるいは震災などで工場が止まり、現場が大変汚れてしまったなど、色々な理由で汚れてい...


クリーンマットを使ったある社長の行動事例

 クリーンマットは、靴や台車の汚れを取ることが目的ですが、汚れたものを剥いで捨てるだけの繰り返しではもったいないです。クリーンマットは、綺麗さのバロメータ...

 クリーンマットは、靴や台車の汚れを取ることが目的ですが、汚れたものを剥いで捨てるだけの繰り返しではもったいないです。クリーンマットは、綺麗さのバロメータ...


クリーン化活動を定着させよう(その3)

 このテーマは4回に分けて連載しています。最下部に、連載記事へのリンクを貼りますので、是非、通読して下さい。    クリーン化を推進している途中で、管...

 このテーマは4回に分けて連載しています。最下部に、連載記事へのリンクを貼りますので、是非、通読して下さい。    クリーン化を推進している途中で、管...