クリーン化について(その132)人財育成(その33)クリーン化の着眼点

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クリーン化について(その132)人財育成(その33)クリーンルーム神話

 

前回のクリーン化について(その131)人財育成(その32)の続きです。今回は、クリーン化の着眼点について説明します。クリーン化について(その128)人財育成(その29)でも現場の見方を紹介しました。それをもう少し深く説明しますが、ここではちょっと抽象的です。

【目次】

    1. クリーン化の着眼点

    最近地震が多いですね。いつ、どこで起きても不思議ではないです。ある女性キャスターの例です。日頃から、わかりやすく、しかも話し方も参考になります。ある時、ニュース解説中に地震が来ました。その方は、机の脇か、下にあったヘルメットを瞬時に取り出し、素早く自分の頭に装着していました。並行して、「地震が来ました。身を守る行動を取って下さい」と、視聴者に繰り返し呼びかけていました。この様子を見ていて、凄いなあと思いました。咄嗟のことですが、ここまでできるんですね。

     

    その場に遭遇した時、それから何をどうするかを考え、優先順位を考えると言うことをしていると、数秒のロスタイムはあるでしょう。あるいはうろたえるだけかも知れません。特にスタジオでは、天井に沢山の照明も吊されているので、考えているうちに落ちてくるかも知れません。一刻の猶予もないというのはこのようなことを言うのでしょう。

     

    自分の頭を守ることが最優先ですが、それだけでなく、多くの方に知らせることができるのです。この時、言葉での呼びかけと、動作や行動での呼びかけ(画像)が同時にできていることに、その凄さを感じました。なんだか、瞬時にアナログとデジタルを並行させているようにも思いました。どちらのメリットも活用していると。

     

    それを見ると、地震が来たと言うことを知ることができ、自分も考える前にヘルメットを準備できるかも知れません。このように緊迫した状態だと知ることで、自分自身のロスタイムを極小化し、身構えたり、心の準備ができます。この動作、行動(アナウンスなど)には沢山の情報が含まれています。その結果、被害も少なくできるでしょう。 スタジオから離れていれば、少し遅れて地震が伝わってくるでしょうから、その沢山の情報を一瞬に発することで、被害の大きさを少なくできると思います。

     

    私は、若い頃、聴力障害になりました。在社中は、退職まで頑張れば良いかと思っていましたが、退職後セミナーなどの機会があることから、補聴器をつけるようになりました。でも日常生活の中で補聴器をつけないタイミングがあります。その時、真剣な面持ちでヘルメットを被る動作を見れば聞こえなくても、瞬時に何があったのかはある程度わかります。それによってより多くの方に、伝えることができます。

     

    この行動ができるのには、如何に自分の持ちうる情報が多いか、そしてそれを沢山の引き出しに整理、収納し、その場に相応しい引き出しを選択し、引き出せるかどうかと言うことですね。こんな風に理屈を並べても、すぐにできないので感心してしまいます。その背景にはどんな努力があるのでしょうか。単に教えられたと言うことではなく、体験、経験が豊富であり、さらに、“多面的にものを見たり考えたりすること” ができるからだろうと思いました。訓練もあるでしょうが、その習慣が積み重ねられた結果でしょう。

     

    今の世の中、いつ、どこで、何が起きるかわかりません。それであっても、この方の例のように、その場に相応しい対応ができるようになりたいものです。

     

    人は、一面、あるいは二面でものごとを判断することが多いです。一面では、「今日は暑いね」と言う具合に、そして二面で判断する例では、対照的なものの見方、考え方です。例えば、暑いと寒い、明るいと暗いと言う風に対照的なものは無限大にありますね。 でもそこだけで終わることが多いでしょう。

     

    クリーン化では、その現象を見た時、これは放っておいて良いのか、このままにしておくとどうなるのかと言う風に、“その先を考えること” が重要です。すると、改善、対策の優先順位を決められます。この、先を考える時、自分が持っている判断材料が如何に多いか、またその応用が如何にできるかです。

     

    現場に入った時だけそのような着眼点で見れば良いと思っても、なかなか不具合は見つからないでしょう。また、現場に足を運ぶことの大切さも、これまで説明しましたが、ただ現場に足を運んでも、なかなか不具合は見つけられません。

     

    ものづくりの企業では、品質、コスト、納期だけでなく、品質管理(トレーサビリティ)、作業ミス(生産者危険、消費者危険)、生産管理(合理化、効率化、在庫管理)、安全(労働災害)、人の育成(人事、労務)など様々なものと繋がります。これらは順次説明していきます。これらをさらによく見ていくと、SDGsに繋がるものが出てきます。そして、工場やクリーンルームの中だけでなく、日常生活などでも活用や水平展開ができることも多々あります。クリーン化は現場でやることだとか、掃除のことだと狭義に考えるのではなく、多面的に見たり考えたりしましょう。それによって、対応の仕方だけでなく、人生の過ごし方も変わってくるかも知れません。この中には、広く...

    クリーン化について(その132)人財育成(その33)クリーンルーム神話

     

    前回のクリーン化について(その131)人財育成(その32)の続きです。今回は、クリーン化の着眼点について説明します。クリーン化について(その128)人財育成(その29)でも現場の見方を紹介しました。それをもう少し深く説明しますが、ここではちょっと抽象的です。

    【目次】

      1. クリーン化の着眼点

      最近地震が多いですね。いつ、どこで起きても不思議ではないです。ある女性キャスターの例です。日頃から、わかりやすく、しかも話し方も参考になります。ある時、ニュース解説中に地震が来ました。その方は、机の脇か、下にあったヘルメットを瞬時に取り出し、素早く自分の頭に装着していました。並行して、「地震が来ました。身を守る行動を取って下さい」と、視聴者に繰り返し呼びかけていました。この様子を見ていて、凄いなあと思いました。咄嗟のことですが、ここまでできるんですね。

       

      その場に遭遇した時、それから何をどうするかを考え、優先順位を考えると言うことをしていると、数秒のロスタイムはあるでしょう。あるいはうろたえるだけかも知れません。特にスタジオでは、天井に沢山の照明も吊されているので、考えているうちに落ちてくるかも知れません。一刻の猶予もないというのはこのようなことを言うのでしょう。

       

      自分の頭を守ることが最優先ですが、それだけでなく、多くの方に知らせることができるのです。この時、言葉での呼びかけと、動作や行動での呼びかけ(画像)が同時にできていることに、その凄さを感じました。なんだか、瞬時にアナログとデジタルを並行させているようにも思いました。どちらのメリットも活用していると。

       

      それを見ると、地震が来たと言うことを知ることができ、自分も考える前にヘルメットを準備できるかも知れません。このように緊迫した状態だと知ることで、自分自身のロスタイムを極小化し、身構えたり、心の準備ができます。この動作、行動(アナウンスなど)には沢山の情報が含まれています。その結果、被害も少なくできるでしょう。 スタジオから離れていれば、少し遅れて地震が伝わってくるでしょうから、その沢山の情報を一瞬に発することで、被害の大きさを少なくできると思います。

       

      私は、若い頃、聴力障害になりました。在社中は、退職まで頑張れば良いかと思っていましたが、退職後セミナーなどの機会があることから、補聴器をつけるようになりました。でも日常生活の中で補聴器をつけないタイミングがあります。その時、真剣な面持ちでヘルメットを被る動作を見れば聞こえなくても、瞬時に何があったのかはある程度わかります。それによってより多くの方に、伝えることができます。

       

      この行動ができるのには、如何に自分の持ちうる情報が多いか、そしてそれを沢山の引き出しに整理、収納し、その場に相応しい引き出しを選択し、引き出せるかどうかと言うことですね。こんな風に理屈を並べても、すぐにできないので感心してしまいます。その背景にはどんな努力があるのでしょうか。単に教えられたと言うことではなく、体験、経験が豊富であり、さらに、“多面的にものを見たり考えたりすること” ができるからだろうと思いました。訓練もあるでしょうが、その習慣が積み重ねられた結果でしょう。

       

      今の世の中、いつ、どこで、何が起きるかわかりません。それであっても、この方の例のように、その場に相応しい対応ができるようになりたいものです。

       

      人は、一面、あるいは二面でものごとを判断することが多いです。一面では、「今日は暑いね」と言う具合に、そして二面で判断する例では、対照的なものの見方、考え方です。例えば、暑いと寒い、明るいと暗いと言う風に対照的なものは無限大にありますね。 でもそこだけで終わることが多いでしょう。

       

      クリーン化では、その現象を見た時、これは放っておいて良いのか、このままにしておくとどうなるのかと言う風に、“その先を考えること” が重要です。すると、改善、対策の優先順位を決められます。この、先を考える時、自分が持っている判断材料が如何に多いか、またその応用が如何にできるかです。

       

      現場に入った時だけそのような着眼点で見れば良いと思っても、なかなか不具合は見つからないでしょう。また、現場に足を運ぶことの大切さも、これまで説明しましたが、ただ現場に足を運んでも、なかなか不具合は見つけられません。

       

      ものづくりの企業では、品質、コスト、納期だけでなく、品質管理(トレーサビリティ)、作業ミス(生産者危険、消費者危険)、生産管理(合理化、効率化、在庫管理)、安全(労働災害)、人の育成(人事、労務)など様々なものと繋がります。これらは順次説明していきます。これらをさらによく見ていくと、SDGsに繋がるものが出てきます。そして、工場やクリーンルームの中だけでなく、日常生活などでも活用や水平展開ができることも多々あります。クリーン化は現場でやることだとか、掃除のことだと狭義に考えるのではなく、多面的に見たり考えたりしましょう。それによって、対応の仕方だけでなく、人生の過ごし方も変わってくるかも知れません。この中には、広く考えると、少子化への対応にも繋がるものもあります。

       

      2. クリーン化って掃除のことだとの先入感

       

      クリーン化のことを知らずして、ものづくりの現場で“旧態依然”のまま生産活動を続けてしまうのはもったいないです。私が訪問したところでは、“クリーン化無くして、品質なし!”とのキャッチフレーズで頑張っているところもありました。この大切さを伝えたいと思っています。しばらく、この部分は残しておきます。

       

      クリーン化について(その130)人財育成(その31)クリーン化教育

       

      次回に続きます。

      【参考文献】 
      清水英範 著、 「知っておくべきクリーン化の基礎」諷詠社 2023年
          同    電子版 「知っておくべきクリーン化の基礎」、諷詠社 2023年
          同   「日本の製造業、厳しい時代をクリーン化で生き残れ!」諷詠社 2012年

       

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      この記事の著者

      清水 英範

      在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

      在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め...


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