現場診断・指導について(その8) クリーン化について(その68)

更新日

投稿日

クリーン化

 

今回から設備診断について説明します。

 

「現場診断しましょうか」と言っても「自分たちでやるから外部の方の診断は不要です」と言われる場合があります。これにはいろいろな理由があると思います。

  • 他の人にいろいろ指摘されたくない。
  • 自職場で職制や担当者がいて自走しているから不要です。

これには、セルフチェックで十分です、という場合と本当はそんなことやりたくないという場合があります。

 

自分たちで実施することも良いのですが、以前説明したように、セルフチェックは甘くなります。見慣れた職場であり、自分たちもその中で働いているので慣れてしまい、不具合があっても見逃してしまう。あるいは厳しく指摘すると自分たちにもその影響が及ぶという意識もあるでしょう。

 

そして“まあいいか”ということになってしまいます。マンネリ化してしまうのです。

 

そこで、専門家や他職場のメンバーに見てもらうことが良いのです。常に新鮮な目で見て、現場を改善していく意識が大切です。その意識がないと、現場を巡回することが目的になってしまいます。

 

他職場の人にいろいろ言われると気分が良くないのは、私も経験があるのでわかります。でも、交差パトロールにすれば、お互い様です。そしてその嫌な部分は棚上げにして、お互いに指摘を有難く捉えましょう。その中で、この職場はこんなに良いことをしているとか、改善事例があれば、私の職場にもこの改善をくださいという風に、情報やノウハウを共有できます。相互に育つということです。それは環境だけでなく、設備に着眼する場合も同じです。

 

【設備診断で期待される効果】

  • 不具合の早期発見、予防保全
  • 品質確保
  • 生産確保、安定生産
  • 事故・災害の未然防止

などが挙げられます。

 

いろいろな人が見れば、着眼することが多くなるので、不具合がたくさん出るでしょう。これらを着実に改善していきましょう。不具合を拾い出しただけで終わってしまう場合もあります。すると、次のパトロールの時に同じ指摘がされます。その繰り返しだと、徐々にやる気が失せます。発見された不具合は、担当、納期、改善前と改善後の写真、図などを残しましょう。それは対応に真剣さが出るだけでなく、過去の事例として参考にできるからです。

 

【設備診断のイメージ】

  1. 設備診断—手順1  設備の周囲を簡単に見る
  2. 設備診断—手順2  設備周囲を詳細に見る
  3. 設備診断—手順3  設備内部を詳細に見る 

外から段々中に攻めていく感じです。日ごろからあまり活動していないところでは、設備周囲の確認の時点から、様々な不具合が見つかります。この場合は中に視点を移していく過程ではもっとたくさんの不具合が見つかります。私の経験では、先ほど挙げた、期待される効果の項目のいずれにも影響があると考えられます。

1.【設備...

クリーン化

 

今回から設備診断について説明します。

 

「現場診断しましょうか」と言っても「自分たちでやるから外部の方の診断は不要です」と言われる場合があります。これにはいろいろな理由があると思います。

  • 他の人にいろいろ指摘されたくない。
  • 自職場で職制や担当者がいて自走しているから不要です。

これには、セルフチェックで十分です、という場合と本当はそんなことやりたくないという場合があります。

 

自分たちで実施することも良いのですが、以前説明したように、セルフチェックは甘くなります。見慣れた職場であり、自分たちもその中で働いているので慣れてしまい、不具合があっても見逃してしまう。あるいは厳しく指摘すると自分たちにもその影響が及ぶという意識もあるでしょう。

 

そして“まあいいか”ということになってしまいます。マンネリ化してしまうのです。

 

そこで、専門家や他職場のメンバーに見てもらうことが良いのです。常に新鮮な目で見て、現場を改善していく意識が大切です。その意識がないと、現場を巡回することが目的になってしまいます。

 

他職場の人にいろいろ言われると気分が良くないのは、私も経験があるのでわかります。でも、交差パトロールにすれば、お互い様です。そしてその嫌な部分は棚上げにして、お互いに指摘を有難く捉えましょう。その中で、この職場はこんなに良いことをしているとか、改善事例があれば、私の職場にもこの改善をくださいという風に、情報やノウハウを共有できます。相互に育つということです。それは環境だけでなく、設備に着眼する場合も同じです。

 

【設備診断で期待される効果】

  • 不具合の早期発見、予防保全
  • 品質確保
  • 生産確保、安定生産
  • 事故・災害の未然防止

などが挙げられます。

 

いろいろな人が見れば、着眼することが多くなるので、不具合がたくさん出るでしょう。これらを着実に改善していきましょう。不具合を拾い出しただけで終わってしまう場合もあります。すると、次のパトロールの時に同じ指摘がされます。その繰り返しだと、徐々にやる気が失せます。発見された不具合は、担当、納期、改善前と改善後の写真、図などを残しましょう。それは対応に真剣さが出るだけでなく、過去の事例として参考にできるからです。

 

【設備診断のイメージ】

  1. 設備診断—手順1  設備の周囲を簡単に見る
  2. 設備診断—手順2  設備周囲を詳細に見る
  3. 設備診断—手順3  設備内部を詳細に見る 

外から段々中に攻めていく感じです。日ごろからあまり活動していないところでは、設備周囲の確認の時点から、様々な不具合が見つかります。この場合は中に視点を移していく過程ではもっとたくさんの不具合が見つかります。私の経験では、先ほど挙げた、期待される効果の項目のいずれにも影響があると考えられます。

1.【設備診断—手順1】

設備の周囲を簡単に見る。

 

診断しようとする設備の周囲を簡単に見ます。その時、次のような一般的に気が付きそうなことを見ます。

  • 電気のプラグが抜けそうだ。電気のコードで足が引っ掛かりそうだ。
  • 配管、排気管が外れそうだ。 
  • 周囲に液体があるが、これは水、薬品、オイル?
  • 設備のカバーが外したまま 

 

手順2と手順3については、次回に解説します。

 

◆関連解説『環境マネジメント』

   続きを読むには・・・


この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め...


「クリーン化技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
三現主義と5ゲン主義(その2)

 前回の三現主義と5ゲン主義(その1)に続いて、今回は経営者、管理監督者の現場対応事例を紹介します。  これまでにいろいろな会社・工場に呼ばれました。そ...

 前回の三現主義と5ゲン主義(その1)に続いて、今回は経営者、管理監督者の現場対応事例を紹介します。  これまでにいろいろな会社・工場に呼ばれました。そ...


メンテナンスについて クリーン化について(その78)

    【この連載の前回へのリンク】 これまで設備や付帯設備について触れてきました。それらについてのメンテナンスについて、下図で...

    【この連載の前回へのリンク】 これまで設備や付帯設備について触れてきました。それらについてのメンテナンスについて、下図で...


ノンクリーンルーム化について クリーン化について(その92)

  【この連載の前回:クリーン化について(その91)局所クリーンルームについてへのリンク】 中小企業の場合、取引先からクリーンルーム化を...

  【この連載の前回:クリーン化について(その91)局所クリーンルームについてへのリンク】 中小企業の場合、取引先からクリーンルーム化を...


「クリーン化技術」の活用事例

もっと見る
東日本大震災とクリーンルーム

1.震災の振り返り  私は2010年2月から、山形県酒田市の工場に2回目の赴任をしていました。2011年3月9日昼、大きな地震があり、震度4を超えて...

1.震災の振り返り  私は2010年2月から、山形県酒田市の工場に2回目の赴任をしていました。2011年3月9日昼、大きな地震があり、震度4を超えて...


クリーン化による強い現場づくりとは

1. 強い現場とは     苦戦を強いられる日本の製造業にとって、最大の資産は「人」です。決められた事を決められた通りやる「あたりまえ」の製造は既に我々...

1. 強い現場とは     苦戦を強いられる日本の製造業にとって、最大の資産は「人」です。決められた事を決められた通りやる「あたりまえ」の製造は既に我々...


クリーン化視点:ボール紙の芯に注意

 セロテープの芯はボール紙製であり発塵する。クリーンルーム内で使用可能なものはないかと最近聞かれたことがありました。同じようにお困りの方もいるのではないで...

 セロテープの芯はボール紙製であり発塵する。クリーンルーム内で使用可能なものはないかと最近聞かれたことがありました。同じようにお困りの方もいるのではないで...