目的を考えるとは

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 今回は、中国地方の旅行で感じたひとこまからです。歴史ある街の寺や神社を訪ねてみようと旅にでましたが、その地域には見たいところが幾つもあるので、見どころを効率良く回れるよう、観光案内所でアドバイスを貰いました。教えて貰ったルートの中に参道があり、土産物店や食堂が軒を連ねていました。
 
 クリーン化
 
 特に多かったのは、饅頭を売っているお店でした。どのお店でも同じ商品を作っていて、お店の中には自動で製造する設備が設置してありました。
 
 お店によってラインの長さは違うのですが、ほぼ同じような製造方法でした。修学旅行生や外国の方などの姿も多かったです。ガラス越しに機械の動きが見えるので、興味深々というところでしょうか。沢山の人だかりで、写真を撮っている人も多かったです。
 
 私もつい見入ってしまいましたが、動くものを目で追っていくと、色々な不具合を見つけてしまいました。摺動部、振動部からは発塵があるという着眼点です。
 
 例えば、設備の上部では、真空や圧空の配管、配線などが往復運動をしているのですが、その度に設備の角に擦れて白い粉が飛散していました。
 
 このまま続くとゴミの発生だけでなく、配管の穴あきも起きるだろうと推測できます。
 
 その上には大きな歯車が噛かみ合って動いていましたが、黒いグリスの塊が周囲に飛散していました。ケーブルや配線をまとめて収納しているケーブルベアも、動くたびにコマ同士や配管、配線同士が擦れゴミが出ていました。
 
 ゴミが発生しているところの下を、饅頭と言う製品が流動しています。その製品の上はカバーがほとんどなく、あのゴミは間違いなく饅頭の中に入ると思いました。
 
 ガラス越しに設備の下を見ると、床には大きな缶に入った潤滑油が置いてあり、その淵には真っ黒な軍手がかけてありました。ちょっと印象が悪いですね。ここまでは3S(整理、整頓、清掃)の部分です。
 
 それではと、他の店の機械も見てみました。
 
 ある店では、製品流動のスピードが速い設備があり、最終工程まで来た製品をどんどん容器に取り込まないと、センサーが感知してラインが止まってしまうので、二人がかりで取り出していました。
 
 良く見ると一人の作業者は透明のビニール手袋で製品を取り出していましたが、もう一人は素手でした。同じ作業をするのに、なぜ違うのでしょうか。
 
 またマスクも鼻や口からずれている人もいて、それで大きな声で話をしているような状態でした。何のためのマスクでしょうか。唾液の飛散も気になります。
 
 ここまでくると食品の衛生管理はどうなっているのだろうかと考えてしまいます。どの小売店の設備も同じような箇所から発塵がありました。
 
 店頭では、ほとんどの人は気が付かないのですが、たまにゴミがあると言っている声も聞こえました。気が付く人はいるんです。気分的には、ちょっとお土産としては手が出しにくくなってしまいました。
 
 ・どの店にも同じような設備が置いてある目的は何だろうか。
 ・今作っているものを即購入できるということが売りでしょうか。
 ・他店でも置いているから、自店でもと思って置いているのでしょうか。
 ・もっと違う考え方があるのでしょうか。
 
 設備を見ていると機械産業のようにも見えますが、お客さまに食品を提供しているという食品業界の視点でも、あるべき姿を今一度考えていただきたい気がしました。
 
 こ...
 今回は、中国地方の旅行で感じたひとこまからです。歴史ある街の寺や神社を訪ねてみようと旅にでましたが、その地域には見たいところが幾つもあるので、見どころを効率良く回れるよう、観光案内所でアドバイスを貰いました。教えて貰ったルートの中に参道があり、土産物店や食堂が軒を連ねていました。
 
 クリーン化
 
 特に多かったのは、饅頭を売っているお店でした。どのお店でも同じ商品を作っていて、お店の中には自動で製造する設備が設置してありました。
 
 お店によってラインの長さは違うのですが、ほぼ同じような製造方法でした。修学旅行生や外国の方などの姿も多かったです。ガラス越しに機械の動きが見えるので、興味深々というところでしょうか。沢山の人だかりで、写真を撮っている人も多かったです。
 
 私もつい見入ってしまいましたが、動くものを目で追っていくと、色々な不具合を見つけてしまいました。摺動部、振動部からは発塵があるという着眼点です。
 
 例えば、設備の上部では、真空や圧空の配管、配線などが往復運動をしているのですが、その度に設備の角に擦れて白い粉が飛散していました。
 
 このまま続くとゴミの発生だけでなく、配管の穴あきも起きるだろうと推測できます。
 
 その上には大きな歯車が噛かみ合って動いていましたが、黒いグリスの塊が周囲に飛散していました。ケーブルや配線をまとめて収納しているケーブルベアも、動くたびにコマ同士や配管、配線同士が擦れゴミが出ていました。
 
 ゴミが発生しているところの下を、饅頭と言う製品が流動しています。その製品の上はカバーがほとんどなく、あのゴミは間違いなく饅頭の中に入ると思いました。
 
 ガラス越しに設備の下を見ると、床には大きな缶に入った潤滑油が置いてあり、その淵には真っ黒な軍手がかけてありました。ちょっと印象が悪いですね。ここまでは3S(整理、整頓、清掃)の部分です。
 
 それではと、他の店の機械も見てみました。
 
 ある店では、製品流動のスピードが速い設備があり、最終工程まで来た製品をどんどん容器に取り込まないと、センサーが感知してラインが止まってしまうので、二人がかりで取り出していました。
 
 良く見ると一人の作業者は透明のビニール手袋で製品を取り出していましたが、もう一人は素手でした。同じ作業をするのに、なぜ違うのでしょうか。
 
 またマスクも鼻や口からずれている人もいて、それで大きな声で話をしているような状態でした。何のためのマスクでしょうか。唾液の飛散も気になります。
 
 ここまでくると食品の衛生管理はどうなっているのだろうかと考えてしまいます。どの小売店の設備も同じような箇所から発塵がありました。
 
 店頭では、ほとんどの人は気が付かないのですが、たまにゴミがあると言っている声も聞こえました。気が付く人はいるんです。気分的には、ちょっとお土産としては手が出しにくくなってしまいました。
 
 ・どの店にも同じような設備が置いてある目的は何だろうか。
 ・今作っているものを即購入できるということが売りでしょうか。
 ・他店でも置いているから、自店でもと思って置いているのでしょうか。
 ・もっと違う考え方があるのでしょうか。
 
 設備を見ていると機械産業のようにも見えますが、お客さまに食品を提供しているという食品業界の視点でも、あるべき姿を今一度考えていただきたい気がしました。
 
 これでメンテナンスの時はどんな風景になるのでしょうか。
 
 その風景によっては、お客様に見せることで印象を悪くすることが無いでしょうか。見せることは商売の一つのメリットのはずが、メンテナンス時は最大のデメリットになってしまうかも知れません。
 
 作業も作業者も、ここでは営業マンです。どんなものづくり業界であっても、“お客様に喜んでいただけるよう、心を込めて作り込む”ことが、ものづくりの根底にあると思います。心の品質、或いは見えない付加価値と言っても良いでしょうか。
 
 リフレッシュの旅のはずでしたが、クリーン化と言う職業病が再発してしまいました。何のためにとか、目的は何だろうかをつくづく考えてしまいました。
 
 せっかく投資するのですから、その設備の設置目的を明確にし、それに相応しい使い方をしたいものです。
 

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この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

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