知的資産経営報告書 知財経営の実践(その23)

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  知的財産
 

1. 知財の持つ価値

 
 知財経営の実践については、その重要性が参考文献のように報告されています。〔1〕〔2〕知財の活用を、企業経営においては、常に意識しましょう。知財経営が有効となるのは、技術が自分の会社の強みとなる場合です。自社の強みを分析してみることが必要です。強みが技術にある場合は、知財戦略を考えてみましょう。
 

2. 知財経営:事業化資金調達のために特許権を活用したい

 
 特許権は、間接的に資金調達に役立ちます。特許権のみで、資金を調達できるというより会社自体の事業への取り組みということから資金調達が可能か判断されます。すなわち事業全体として評価されます。特許権や商標権など知的財産権を持っていると事業の継続性がある、革新的な技術を有していると判断されます。また、独占的な事業が可能であるため、事業の将来性があると評価されます。
 
 金融機関や投資家に評価され資金調達ができるケースがあります。この場合、客観的に自社の技術の優位性を示すことが重要です。そこで、特許調査による特許マップで、他社に対する技術の優位性を示す。知的資産経営報告書を作成する。専門家による知財評価を得る。これらの手段を用いることが有効なケースがあります。
 
 

3. 知財経営:知的資産経営報告書〔3〕

 
 知的資産は、特許権や商標権などの知的財産権だけでなく目に見えない企業の持つ無形資産を意味します。たとえば、技能、ノウハウ、技術、組織力、企業風土、経営理念、顧客とのネットワーク形成などです。これらは財務諸表には表れてこない経営資源です。知的資産を活用して知的資産経営報告書を作成します。
 
 知的資産経営報告書を、株主や金融機関に提示して、自社の将来性を伝えることができます。そして、株主や金融機関から資金を調達するケースがあります。
 

4. 知財経営:知財に関連する資金調達制度

 
 知財を活用して資金を調達する手段として、公的機関が関与する制度の利用を検討してみましょう。知財に関連する資金調達制度は、いろいろとありますが、中小企業にはいろいろな要件があります。自社に適した制度の活用を検討してみましょう。
 

・中小企業金融公庫「新事業育成資金」

 
 他の企業において活用されていない知的財産権を活用して事業を行う方一定の製品化及び売り上げが見込める場合等に融資を受けられます。
 

・日本政策投資銀行

 
 中小・ベンチャー企業に対して知的財産権を担保に融資をしている場合があります。
 

・中小企業基盤整備機構

 
 「がんばれ!中小企業ファンド」の中で、知的財産権を活用した事業に対するファンドがあります。
 
 その他に、知的財産権信託(信託銀行によるライセンスが前提)、民間金融機関の融資を活用できる場合もあります。知財を活用して資...
 
  知的財産
 

1. 知財の持つ価値

 
 知財経営の実践については、その重要性が参考文献のように報告されています。〔1〕〔2〕知財の活用を、企業経営においては、常に意識しましょう。知財経営が有効となるのは、技術が自分の会社の強みとなる場合です。自社の強みを分析してみることが必要です。強みが技術にある場合は、知財戦略を考えてみましょう。
 

2. 知財経営:事業化資金調達のために特許権を活用したい

 
 特許権は、間接的に資金調達に役立ちます。特許権のみで、資金を調達できるというより会社自体の事業への取り組みということから資金調達が可能か判断されます。すなわち事業全体として評価されます。特許権や商標権など知的財産権を持っていると事業の継続性がある、革新的な技術を有していると判断されます。また、独占的な事業が可能であるため、事業の将来性があると評価されます。
 
 金融機関や投資家に評価され資金調達ができるケースがあります。この場合、客観的に自社の技術の優位性を示すことが重要です。そこで、特許調査による特許マップで、他社に対する技術の優位性を示す。知的資産経営報告書を作成する。専門家による知財評価を得る。これらの手段を用いることが有効なケースがあります。
 
 

3. 知財経営:知的資産経営報告書〔3〕

 
 知的資産は、特許権や商標権などの知的財産権だけでなく目に見えない企業の持つ無形資産を意味します。たとえば、技能、ノウハウ、技術、組織力、企業風土、経営理念、顧客とのネットワーク形成などです。これらは財務諸表には表れてこない経営資源です。知的資産を活用して知的資産経営報告書を作成します。
 
 知的資産経営報告書を、株主や金融機関に提示して、自社の将来性を伝えることができます。そして、株主や金融機関から資金を調達するケースがあります。
 

4. 知財経営:知財に関連する資金調達制度

 
 知財を活用して資金を調達する手段として、公的機関が関与する制度の利用を検討してみましょう。知財に関連する資金調達制度は、いろいろとありますが、中小企業にはいろいろな要件があります。自社に適した制度の活用を検討してみましょう。
 

・中小企業金融公庫「新事業育成資金」

 
 他の企業において活用されていない知的財産権を活用して事業を行う方一定の製品化及び売り上げが見込める場合等に融資を受けられます。
 

・日本政策投資銀行

 
 中小・ベンチャー企業に対して知的財産権を担保に融資をしている場合があります。
 

・中小企業基盤整備機構

 
 「がんばれ!中小企業ファンド」の中で、知的財産権を活用した事業に対するファンドがあります。
 
 その他に、知的財産権信託(信託銀行によるライセンスが前提)、民間金融機関の融資を活用できる場合もあります。知財を活用して資金調達ができる場合がありますので、検討してみましょう。
 
次回に続きます。
 
【参考文献】
〔1〕特許庁「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006」(H19.3)
〔2〕「戦略的な知的財産管理に向けて「知財戦略事例集」(2007.4特許庁)
〔3〕「中小企業のための知的資産経営マニュアル」H19.3 中小企業基盤整備機構
 

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この記事の著者

立花 信一

材料技術者および特許技術者として、長年にわたって経験した知識・技術を最大限に生かし技術コンサルティング、知財コンサルティング、行政書士として契約書作成、補助金申請のお手伝いをします。

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