特許マップ 知財経営の実践(その21)

更新日

投稿日

 
  知的財産
 

1. 知財の持つ価値

 
 知財経営の実践については、その重要性が参考文献のように報告されています。〔1〕〔2〕知財の活用を、企業経営においては、常に意識しましょう。知財経営が有効となるのは、技術が自分の会社の強みとなる場合です。自社の強みを分析してみることが必要です。強みが技術にある場合は、知財戦略を考えてみましょう。
 

2. 知財経営:基本技術はノウハウで、応用技術は特許で保護

 
 基本技術を基に、応用技術についても保護したい場合はどのようにしたらよいでしょうか。応用技術についても保護でも、特許出願するかノウハウとして保護するかを判断します。自社の基本技術を基に、応用技術を保護するためには、基本技術と応用技術の関係を把握することが必要です。そのために、基本技術と応用技術を含めた「特許マップ」の作成が有効です。基本技術ではなく応用技術となると、ノウハウとして保護より特許で保護する場合が多くなってきます。
 
 応用技術をノウハウとして保護することは、機密保持が難しいこと、他社との協力関係が必要なことから難しいからです。
 

3. 知財経営:特許マップ

 
 基本技術と応用技術を含めた「特許マップ」の作成では、基本部分の特許と応用部分の特許の双方を含めます。例えば、トナー製品の場合は以下となります。
 
 トナー技術の樹脂組成物が基本技術です。トナー技術の一部の樹脂組成物を変えた組成物が応用技術です。基本技術を守るための特許出願にどのようなものがあるか、用途展開はあるのか、を検討しマップを作成します。
 
 

4. 知財経営:基本技術はノウハウで、応用技術は特許で保護の事例

 
 基本技術はノウハウで、応用技術は特許で保護の事例として、私の勤務したメーカーでのトナー開発及び技術の保護を以下に挙げて解説します。基本技術はノウハウで、応用技術は特許で保護が基本であるとしても、双方を組み合わせて技術を保護することが有効な場合があります。例えば、トナーのような化学製品の場合、トナーに関する部分は特許で保護し、トナーの基本技術である添加剤、添加剤の配合比、製造方法などはノウハウで保護します。
 
 添加剤の配合比、製造方法などは、他社が容易に分析できない製造技術です。この製造技術については、ノウハウとして保護します。ノウハウは、自社のPCに電子データとして保護管理します。必要があれば、いつでも過去のデータを参照できるような体制としておきます。製品に係る有形な技術は特許で保護す...
 
  知的財産
 

1. 知財の持つ価値

 
 知財経営の実践については、その重要性が参考文献のように報告されています。〔1〕〔2〕知財の活用を、企業経営においては、常に意識しましょう。知財経営が有効となるのは、技術が自分の会社の強みとなる場合です。自社の強みを分析してみることが必要です。強みが技術にある場合は、知財戦略を考えてみましょう。
 

2. 知財経営:基本技術はノウハウで、応用技術は特許で保護

 
 基本技術を基に、応用技術についても保護したい場合はどのようにしたらよいでしょうか。応用技術についても保護でも、特許出願するかノウハウとして保護するかを判断します。自社の基本技術を基に、応用技術を保護するためには、基本技術と応用技術の関係を把握することが必要です。そのために、基本技術と応用技術を含めた「特許マップ」の作成が有効です。基本技術ではなく応用技術となると、ノウハウとして保護より特許で保護する場合が多くなってきます。
 
 応用技術をノウハウとして保護することは、機密保持が難しいこと、他社との協力関係が必要なことから難しいからです。
 

3. 知財経営:特許マップ

 
 基本技術と応用技術を含めた「特許マップ」の作成では、基本部分の特許と応用部分の特許の双方を含めます。例えば、トナー製品の場合は以下となります。
 
 トナー技術の樹脂組成物が基本技術です。トナー技術の一部の樹脂組成物を変えた組成物が応用技術です。基本技術を守るための特許出願にどのようなものがあるか、用途展開はあるのか、を検討しマップを作成します。
 
 

4. 知財経営:基本技術はノウハウで、応用技術は特許で保護の事例

 
 基本技術はノウハウで、応用技術は特許で保護の事例として、私の勤務したメーカーでのトナー開発及び技術の保護を以下に挙げて解説します。基本技術はノウハウで、応用技術は特許で保護が基本であるとしても、双方を組み合わせて技術を保護することが有効な場合があります。例えば、トナーのような化学製品の場合、トナーに関する部分は特許で保護し、トナーの基本技術である添加剤、添加剤の配合比、製造方法などはノウハウで保護します。
 
 添加剤の配合比、製造方法などは、他社が容易に分析できない製造技術です。この製造技術については、ノウハウとして保護します。ノウハウは、自社のPCに電子データとして保護管理します。必要があれば、いつでも過去のデータを参照できるような体制としておきます。製品に係る有形な技術は特許で保護する。無形の製造技術や試験、実験のための技術などはノウハウとして保護する。このような戦略的な知財保護をすることが有効です。
 
 次回に続きます。
 
【参考文献】
〔1〕特許庁「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006」(H19.3)
〔2〕「戦略的な知的財産管理に向けて「知財戦略事例集」(2007.4特許庁)
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

立花 信一

材料技術者および特許技術者として、長年にわたって経験した知識・技術を最大限に生かし技術コンサルティング、知財コンサルティング、行政書士として契約書作成、補助金申請のお手伝いをします。

材料技術者および特許技術者として、長年にわたって経験した知識・技術を最大限に生かし技術コンサルティング、知財コンサルティング、行政書士として契約書作成、補...


「知的財産マネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
第4次産業革命とデザイン:二つのシンポジウムから

 2017年3月9日、11日と連続して、「第4次産業革命とデザイン」をテーマにしたシンポジウムが東大と早稲田で開催されました。二つのシンポジウムの概要を解...

 2017年3月9日、11日と連続して、「第4次産業革命とデザイン」をテーマにしたシンポジウムが東大と早稲田で開催されました。二つのシンポジウムの概要を解...


デザインによる知的資産経営:「知的資産」を活用する経営(その4)

 前回のその3に続いて解説します。   8.知的財産権の使い方    自社の「知的資産」を見える化し、デザインの手法によって仮...

 前回のその3に続いて解説します。   8.知的財産権の使い方    自社の「知的資産」を見える化し、デザインの手法によって仮...


弁理士の腕に頼るエンジニアとは

1、弁理士の世界にも腕の差  弁理士の世界にも「ヤブ弁理士」という人たちはいるのでしょうか。私は「そうでもない」と思っています。実際、私はヤブ弁理士を知...

1、弁理士の世界にも腕の差  弁理士の世界にも「ヤブ弁理士」という人たちはいるのでしょうか。私は「そうでもない」と思っています。実際、私はヤブ弁理士を知...


「知的財産マネジメント」の活用事例

もっと見る
知財戦略の柱の一つである営業秘密

 先日、営業秘密管理の専門家から、講習会を受ける機会がありました。  私自身会社に勤めていたころ、国内のみならず海外のグループ会社においても不正競争...

 先日、営業秘密管理の専門家から、講習会を受ける機会がありました。  私自身会社に勤めていたころ、国内のみならず海外のグループ会社においても不正競争...


デザインによる知的資産経営:「ブランドづくり」(その1)

 今回は「無印良品」を例に挙げて、ブランドのつくり方、ブランドの力を、解説していきたいと思います。「無印良品」はなぜ「家」までも売り出したのか。そして、な...

 今回は「無印良品」を例に挙げて、ブランドのつくり方、ブランドの力を、解説していきたいと思います。「無印良品」はなぜ「家」までも売り出したのか。そして、な...


特許情報の見える化と解析で何が出来るのか

♦提案可能な特許情報の見える化事例  パテントマップソフトの使用などに代表される特許情報の見える化は、業界の技術情報とその動向を理解する...

♦提案可能な特許情報の見える化事例  パテントマップソフトの使用などに代表される特許情報の見える化は、業界の技術情報とその動向を理解する...