知財経営の実践(その27)

  
知的財産

1. 知財の持つ価値

 知財経営の実践については、その重要性が参考文献のように報告されています。〔1〕〔2〕知財の活用を、企業経営においては、常に意識しましょう。知財経営が有効となるのは、技術が自分の会社の強みとなる場合です。自社の強みを分析してみることが必要です。強みが技術にある場合は、知財戦略を考えてみましょう。

2. 知財経営:意匠権の活用戦略

 意匠とは、物品の特徴的な外観にかかる産業財産権です。物品の外観ですから、内部構造や顕微鏡でしか見えない形状等は意匠の対象にはなりません。意匠権を活用している例としては、自動車、家具、食品等の業界があります。これらの商品だけでなく部品の形状等に特徴がある場合に利用されています。意匠権は、特許権と比べて以下のメリットがあります。権利取得のための費用が安価であること。権利が侵害された場合に、発見が容易であること。

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3. 知財経営:中小企業の意匠権活用の事例

・模倣品対策のために意匠権の活用

 製品の模倣を防ぐために意匠権を取得します。たとえば、インクカートリッジの模倣品が市場に出回って困っている場合、その形状等について意匠権を取得し模倣品防衛対策として活用します。インクカートリッジ形状について、技術的な特徴があれば意匠権を取得と併せて取得します。インクカートリッジ形状は、目視で確認できるため模倣品を容易に見分けることができます。模倣品を意匠権侵害として訴えることができます。また意匠権は意匠権に類似した範囲まで、権利の効力がおよびます。似たようなデザインまで保護されるため、模倣品防衛対策としての有効性が高くなります。しかし、意匠権の類似範囲は、その効力の判断が難しいという点があります。弁理士等の専門家の判断をあおぐか、あるいは特許庁の「判定制度」を利用して、意匠権の類似範囲を明確に把握しておくことが有効です。

・ブランドを強化するための意匠権の活用

 デザインが重視される製品の包装等の分野では、特許以外に意匠・商標は、類似商品を排除できるため有効です。意匠・商標は、製品のブランドイメージ向上にも有効です。製品の包装は、消費者にとって目につくためブランドイメージに結び付くからです。営業面での効果は大きいものとなります。

 さらに意匠権を取得して他者へのライセンス契約による収入も見込める場合があります。ブランドイメージ向上の戦略は、意匠と商標を組み合わせて総合的に検討することが重要となります。

・特許権での製品保護が困難な場合

 たとえば、製品の包装を新たに工夫して斬新なデザインに変更した場合、技術的な特徴がなければ特許権を取得できません。しかし意匠は、物品の形状等で美的な価値を保護対象としています。製品の包装を特許では、保護できなくても意匠として保護できる場合があります。ただし、製品の開発段階では意匠出願をせずに、製品として市場に出るものだけを意匠出願するという戦略をとることも考えておきましょう。意匠は、物品の外観のため製品開発の段階で見られてしまうと模倣されるリスクがあります。

・特許権と意匠権とを組み合わせての利用

 事業を守る上で、特許や意匠の知的財産権は大きな役割を果たします。特許と意匠の両面から強い権利を取得するという戦略があります。たとえば、インクカートリッジの形状で技術的特徴がある点は特許権を取得し、意匠権は特許権を補完する形で、特許権を取得できないデザインとして意匠権を取得します。意匠権で保護されていることを、武器に営業活動を行うことが有効です。特許と意匠を組み合わせて、トータルシステムとして順次改良し、最良のシステムとするために取り組みことが重要です。特許権と意匠権とを組み合わせることで、製品を強い権利で保護することができます。

 次回に続きます。

【参考文献】
〔1〕特許庁「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006」(H19.3)
〔2〕「戦略的な知的財産管理に向けて「知財戦略事例集」(2007.4特許庁)

 


この記事の著者

立花 信一

材料技術者および特許技術者として、長年にわたって経験した知識・技術を最大限に生かし 特許調査・技術文献作成、著作権・プログラムなどの登録の申請代理、ライセンス契約など 知財活用のお手伝いをします。

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