知財経営の実践(その39)パリ条約

 

知的財産

1. 知財の持つ価値 

 知財経営の実践については、その重要性が参考文献のように報告されています。〔1〕〔2〕知財の活用を、企業経営においては、常に意識しましょう。知財経営が有効となるのは、技術が自分の会社の強みとなる場合です。自社の強みを分析してみることが必要です。強みが技術にある場合は、知財戦略を考えてみましょう。

2. 知財経営:外国に特許出願をする方法

 特許権は、各国で独立して付与されます。日本で、特許権を有していても、その権利をアメリカで主張はできません。特許権の効力は、特許権を取得した国のみで得られ、他の国には及びません。従って、海外でビジネスを行いたい場合は、それぞれの国で特許権を取得しなければなりません。

【海外に特許出願する方法】

  • 日本で特許出願した後、これを基に1年以内にパリ条約等の優先権を主張して外国出願する
  • 特許協力条約(PCT)に基づく1件の国際出願を行い、その後に希望する国の国内段階へ移行する
  • 直接、外国に特許出願をする
 

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3. 知財経営:特許などに関する国際的な枠組み

【パリ条約】

 各国ごとに特許権は存在します。そこで外国で特許権を得たい場合は、各国の特許法に基づいて権利を取得しなければなりません。しかし、各国でルールは勝手に定められると手続きが不便となります。そこで、各国の法律を尊重しながら国際的な利用を促進するため基本原則を定めました。この特許などに関する国際的な枠組みが、パリ条約です。パリ条約には、以下の重要な原則があります。

(1) 内国民待遇(パリ条約2条)

 特許制度は、各国独立が原則です。しかし、他国の国民を自国の国民より厳しく扱うということがみられました。そこで、パリ条約の加盟国の国民に対しては、自国の国民と同等の保護等を与えることと規定しています。

(2) 優先権制度(パリ条約4条)

 特許制度は、各国独立が原則です。そのため自国に出願した後に多数の国に出願する場合は、各国ごとの言語や手続きをしなければなりません。出願人にとっては、時間的や費用面の負担が大きくなります。そこでパリ条約では、これらの負担を軽減しるための「優先権制度」を設けました。日本で特許出願した後、これを基に1年以内にパリ条約等の優先権を主張して外国出願すると最初の出願をしたものと同じ効果が与えられます、たとえば、日本で3月1日に特許出願をして、この出願に基づいて9月1日にパリ条約の同盟国に出願したとします。この場合は、パリ条約の同盟国については、9月1日を基準として新規性などの特許要件が判断されることになります。

(3) 特許独立の原則(パリ条約4条の2)

 特許制度は、各国独立が原則です。日本で、特許権を取得したからといって、アメリカで特許を取得できるとは限りません。また、特許は各国ごとに発生し消滅します。ある同盟国の特許は、他国の同一の発明の特許は、独立したものとなります。これが「特許独立の原則」です。

【特許協力条約(PCT)】

 特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)による国際出願制度は、1つの国に出願するだけで、各国に出願したことと同じに扱うという制度です。出願人にとっては、出願手続きの負担が軽減され便利です。PCTは、出願、特許調査、審査などの合理化を図ることを定めた条約です。PCTは、パリ条約の下で各国国内における特許審査までの手続きを統一するものです。出願人は、日本の特許庁に日本語で特許出願をすることで、PCT加盟国に対して正規の出願をした効果が得られます。PCTは、あくまで特許審査までの手続きを統一するもので、特許の実体審査は各国で行われます。

 次回に続きます。

【参考文献】
〔1〕特許庁「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006」(H19.3)
〔2〕「戦略的な知的財産管理に向けて「知財戦略事例集」(2007.4特許庁)


この記事の著者

立花 信一

材料技術者および特許技術者として、長年にわたって経験した知識・技術を最大限に生かし 特許調査・技術文献作成、著作権・プログラムなどの登録の申請代理、ライセンス契約など 知財活用のお手伝いをします。

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