知財経営の実践(その47)特許権と企業経営

知的財産

1. 知財の持つ価値

 知財経営の実践については、その重要性が参考文献のように報告されています。〔1〕〔2〕知財の活用を、企業経営においては、常に意識しましょう。知財経営が有効となるのは、技術が自分の会社の強みとなる場合です。自社の強みを分析してみることが必要です。強みが技術にある場合は、知財戦略を考えてみましょう。

2. 知的創造サイクル

 企業の事業活動では、「知的創造サイクル」が重要となります。「知的創造サイクル」とは、創造ー権利化ー活用という一連の流れです。「創造」は、研究開発活動であり、その中から発明が生まれます。「権利化」は、研究開発活動の中から生まれた発明を権利として保護します。発明者は、優れた発明を公開し、公開の代償として一定期間の独占権が認められます。「活用」は、その発明を他者に実施させたり、自ら独占的に実施したりすることで経済的利益を得ることです。

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この記事の著者

立花 信一

材料技術者および特許技術者として、長年にわたって経験した知識・技術を最大限に生かし技術コンサルティング、知財コンサルティング、行政書士として契約書作成、補助金申請のお手伝いをします。

材料技術者および特許技術者として、長年にわたって経験した知識・技術を最大限に生かし技術コンサルティング、知財コンサルティング、行政書士として契約書作成、補...

知的財産

1. 知財の持つ価値

 知財経営の実践については、その重要性が参考文献のように報告されています。〔1〕〔2〕知財の活用を、企業経営においては、常に意識しましょう。知財経営が有効となるのは、技術が自分の会社の強みとなる場合です。自社の強みを分析してみることが必要です。強みが技術にある場合は、知財戦略を考えてみましょう。

2. 知的創造サイクル

 企業の事業活動では、「知的創造サイクル」が重要となります。「知的創造サイクル」とは、創造ー権利化ー活用という一連の流れです。「創造」は、研究開発活動であり、その中から発明が生まれます。「権利化」は、研究開発活動の中から生まれた発明を権利として保護します。発明者は、優れた発明を公開し、公開の代償として一定期間の独占権が認められます。「活用」は、その発明を他者に実施させたり、自ら独占的に実施したりすることで経済的利益を得ることです。

 この経済的利益をもとに、企業はさらなる研究開発を進めます。この知的創造サイクルが、うまく回転することで、企業の事業活動は発展します。ひいては産業の発達につながります。

3. 企業経営と特許権の関係

 ここでは、メーカーにおける特許権と企業経営の関係について解説します。

 特許権は、ある技術についての独占的排他権です。特許権については、経営上、以下のような効果が得られると考えられます。

・積極的効果

 ライバル企業の市場参入防止や牽制を行うことができます。電機業界等の技術がある程度成熟した業界では、排他的独占は難しくなってきています。しかし電子写真のトナーを例にとると、新しいトナーの材料や製法技術の発明によりライバル企業が市場に参入してくるまでの時間(リードタイム)を稼ぐことができます。競争が激しい業界では、リードタイムを稼ぐことで、ライバル企業が参入するまでに利益を得るという効果は大きいものです。また特許権の譲渡やライセンスによる収益の確保を図ることができます。

・消極的効果

 他人の特許権の侵害防止

 電子写真のトナーを例にとると、いわゆるサードパーティーによるトナーやカートリッジが市場に出回っています。これらによって純正品の販売が減少するという状況にあります。サードパーティーによるトナーは、それ自体は合法です。

 しかし他者の特許権を侵害することは違法です。その場合は、特許権の侵害として警告状を送付して、さらに訴訟を提起することとします。他人の特許権の侵害を防止する効果が得られることとなります。保有する特許権を相互にライセンス(クロスライセンス)することによりお互いの発明を利用した自由度の高い製品設計が可能となります。

 そして事業活動の自由度が確保できることとなります。電子写真のトナーを例にとると、電子写真技術は機械、電気、プロセス、ソフトウエア、材料技術等の多岐の技術から成り立っています。電子写真のトナーを例にとると、が多くの特許権を取得しています。したがって、自社の技術や特許だけでは、製品開発が難しい場合が多くなります。

 ライバル企業の製品の解析や特許調査等により自社と他社の技術の強み弱みを把握することが重要となります。その上で、ライセンス契約とするかクロスライセンスとするかなどのライセンス戦略を決めることとします。ライセンス戦略としては、ライセンス収入による収益を確保できるメリットがあります。一方で、市場を独占することができないので、利益が少なくなる可能性があります。

 企業としては、このようなメリット、デメリットを考慮しつつ、何を重視するかによってライセンス戦略を定めることになります。 他人の特許権を意識することで、新しい技術の開発を活発にする効果も期待できます。特許動向調査を行うことで、新しい技術動向を把握し、他人の発明を見てよりよい発明を思い付いたりします。さらに企業として研究開発に積極的に取り組んだりする効果も期待できます。

 次回に続きます。

【参考文献】
〔1〕特許庁「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006」(H19.3)
〔2〕「戦略的な知的財産管理に向けて「知財戦略事例集」(2007.4特許庁)

 


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