弁理士、弁護士の活用 知財経営の実践(その48)

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知的財産

1. 知財の持つ価値

 知財経営の実践については、その重要性が参考文献のように報告されています。〔1〕〔2〕知財の活用を、企業経営においては、常に意識しましょう。知財経営が有効となるのは、技術が自分の会社の強みとなる場合です。自社の強みを分析してみることが必要です。強みが技術にある場合は、知財戦略を考えてみましょう。

2. 弁理士や弁護士の探し方について

 弁理士の場合には技術分野、弁護士の場合には知的財産の経験を、最初に確認することが重要です。以下のような方法で探すことができます。

・HPを活用して探す

 日本弁理士会の「弁理士ナビ」を利用するという方法があります。「弁理士ナビ」では、弁理士・特許事務所を事務所所在地、専門分野、技術分野、取り扱い業務、中小・ベンチャー企業対応、出張対応可能地域等の条件による検索が可能です。「弁護士知財ネット」という知的財産権に関連する業務に対応できる弁護士のネットワークがあります。

・知財関連の相談会やセミナーで探す

 無料相談会やセミナー等の講師として話を聞いたりする中で、選定している場合があります。無料相談会やセミナー等に積極的に参加し、専門家と知り合う機会を設けることが必要です。

・紹介

 知人やアドバイザーを通じての紹介、異業種交流会の知人等の紹介を受ける場合があります。まずは、つきあいのある弁理士がいれば、相談してみて知財に詳しい弁護士を紹介してもらう場合もあります。先行技術調査でも、発明協会からの協力を得て専門性の高い特許事務所を選んでもらう場合があります。

 外国出願を念頭に置いている場合は、国内出願と外国出願では要求される専門性が異なるので、それに応じた弁理士を選定する必要があります。特に外国出願の場合は、弁理士にまかせきりになるため、企業側としては見分ける力が必要となります。

・専門家の活動から調べる

 これまでの出願した書類、裁判事例等を調べて自分にあう専門家を探します。専門家が出版した書籍があれば、その書籍を読んでみることもよいでしょう。

・東京都弁理士マッチング支援システム

 東京都の場合は、東京都知的財産総合センターの「弁理士マッチングシステム」があります。弁理士マッチングシステムは、都内の中小企業と弁理士の出会いの場を提供します。弁理士が実務経験を登録し、中小企業が知的財産権の取得や活用する際に、適任の弁理士を選任できるというシステムです。

3. 弁理士や弁護士の選定のポイント

 専門家といっても、技術分野等で得意・不得意な分野があります。技術分野ごとに複数の専門家を使い分けている場合があります。

・弁理士

 得意な技術分野を重視して依頼することが重要です。技術分野の専門性が重視されますので、大学時代の専攻や専門家のプロフィールを参考とする場合もあります。また、地域性や中小企業の出願手続代行の経験を選定のポイントとする場合があります。発明した技術や製品を見せて説明したい場合は、専門家との面談が必要です。そこで、地域内の弁理士を重視する場合があります。

 出願の経験が少ない企業の場合は、中小企業の出願手続代行の経験を重視する場合があります。中小企業が弁理士に業務を委託する理由としては、多...

知的財産

1. 知財の持つ価値

 知財経営の実践については、その重要性が参考文献のように報告されています。〔1〕〔2〕知財の活用を、企業経営においては、常に意識しましょう。知財経営が有効となるのは、技術が自分の会社の強みとなる場合です。自社の強みを分析してみることが必要です。強みが技術にある場合は、知財戦略を考えてみましょう。

2. 弁理士や弁護士の探し方について

 弁理士の場合には技術分野、弁護士の場合には知的財産の経験を、最初に確認することが重要です。以下のような方法で探すことができます。

・HPを活用して探す

 日本弁理士会の「弁理士ナビ」を利用するという方法があります。「弁理士ナビ」では、弁理士・特許事務所を事務所所在地、専門分野、技術分野、取り扱い業務、中小・ベンチャー企業対応、出張対応可能地域等の条件による検索が可能です。「弁護士知財ネット」という知的財産権に関連する業務に対応できる弁護士のネットワークがあります。

・知財関連の相談会やセミナーで探す

 無料相談会やセミナー等の講師として話を聞いたりする中で、選定している場合があります。無料相談会やセミナー等に積極的に参加し、専門家と知り合う機会を設けることが必要です。

・紹介

 知人やアドバイザーを通じての紹介、異業種交流会の知人等の紹介を受ける場合があります。まずは、つきあいのある弁理士がいれば、相談してみて知財に詳しい弁護士を紹介してもらう場合もあります。先行技術調査でも、発明協会からの協力を得て専門性の高い特許事務所を選んでもらう場合があります。

 外国出願を念頭に置いている場合は、国内出願と外国出願では要求される専門性が異なるので、それに応じた弁理士を選定する必要があります。特に外国出願の場合は、弁理士にまかせきりになるため、企業側としては見分ける力が必要となります。

・専門家の活動から調べる

 これまでの出願した書類、裁判事例等を調べて自分にあう専門家を探します。専門家が出版した書籍があれば、その書籍を読んでみることもよいでしょう。

・東京都弁理士マッチング支援システム

 東京都の場合は、東京都知的財産総合センターの「弁理士マッチングシステム」があります。弁理士マッチングシステムは、都内の中小企業と弁理士の出会いの場を提供します。弁理士が実務経験を登録し、中小企業が知的財産権の取得や活用する際に、適任の弁理士を選任できるというシステムです。

3. 弁理士や弁護士の選定のポイント

 専門家といっても、技術分野等で得意・不得意な分野があります。技術分野ごとに複数の専門家を使い分けている場合があります。

・弁理士

 得意な技術分野を重視して依頼することが重要です。技術分野の専門性が重視されますので、大学時代の専攻や専門家のプロフィールを参考とする場合もあります。また、地域性や中小企業の出願手続代行の経験を選定のポイントとする場合があります。発明した技術や製品を見せて説明したい場合は、専門家との面談が必要です。そこで、地域内の弁理士を重視する場合があります。

 出願の経験が少ない企業の場合は、中小企業の出願手続代行の経験を重視する場合があります。中小企業が弁理士に業務を委託する理由としては、多い順に以下が挙げられます。〔出典〕中小企業約300社の調査結果(2015年 特許庁)

  • 自社の技術を理解しているから
  • 自社の技術分野の専門知識があるから
  • 長くつきあいがあるから
  • 価格が他より安かったから

・弁護士( 知的財産権が専門の弁護士 )

 依頼の内容にもよりますが、知的財産権に関する経験を重視する場合が多いです。なお、訴訟となりそうな出願については、出願時点から弁護士のいる弁理士事務所で出願している企業もあります。

 次回に続きます。

【参考文献】
〔1〕特許庁「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006」(H19.3)
〔2〕「戦略的な知的財産管理に向けて「知財戦略事例集」(2007.4特許庁)

 

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この記事の著者

立花 信一

材料技術者および特許技術者として、長年にわたって経験した知識・技術を最大限に生かし技術コンサルティング、知財コンサルティング、行政書士として契約書作成、補助金申請のお手伝いをします。

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