知財コンサルティング 知財経営の実践(その45)

1. 知財の持つ価値

 知財経営の実践については、その重要性が参考文献のように報告されています。〔1〕〔2〕知財の活用を、企業経営においては、常に意識しましょう。知財経営が有効となるのは、技術が自分の会社の強みとなる場合です。自社の強みを分析してみることが必要です。強みが技術にある場合は、知財戦略を考えてみましょう。

2. 知財コンサルティングとは

 知財経営を行うためには、社内体制の整備や社内意思決定プロセスの明確化が重要です。そのために外部専門家を活用することも活用する必要があります。そこで外部専門家からの知財コンサルティングを受けるということも検討してみましょう。知財コンサルティングというのはなんでしょうか?受けてみたいのですが、どうすればよいでしょうか?知財コンサルティングとは、外部のコンサルタントや専門家による知財経営を企業に導入・定着させるための支援業務のことをいいます

3. 知財コンサルティングの意義

 企業の強みは技術にある場合には、知財コンサルティングが経営戦略を立てる上で、有効となります。知財コンサルティングの支援を受けると、以下の成果を得られる場合があります。

・経営面での成果

 知財を活用した経営を行い成果をあげた例としては、以下のケースがあります。特許調査・分析により自社の技術分析評価を得て、新分野への進出が実現した事例や資金調達につながった事例です。

・体制面での成果

 知財戦略を経営戦略上に明確に位置づける意識が共有されて、知財の体制が整備された事例や支援終了後も外部専門家のアドバイスを受けることとした事例です。

 

4. 知財コンサルティングの支援の具体的な内容

 知財コンサルティングの支援内容は、各種あります。知的財産による自社の競争力を把握するために保有している知的財産の棚卸し、特許調査・分析等を行います。その結果に基づいて、企業のニーズに合ったコンサルティング計画を立案します。自社の課題が、知財の活用、侵害警告対策等のように明らかになっている場合は、その課題に即した知財コンサルティングを受けることがよいでしょう。

< 知財コンサルティングの内容、製品開発のステージごとの説明 >

・基本技術の開発

 特許調査、特許マップ分析、権利化手法選択、権利化

・応用製品開発・試作

 特許調査、特許マップ分析、権利化手法選択、権利化

・量産化

 権利侵害品対策、ライセンス契約、IRへの活用、知的資産経営報告書作成等

 製品の開発のステージでは、最初の特許調査、特許マップ分析が特に重要となります。これらの調査・分析を基にして、権利化手法を選択し権利化というフローとなるからです。体制...

の整備としては、人材育成、営業秘密管理体制、発明奨励制度、出願処理システム構築、データベース構築等があります。これらは、すべての製品開発のステージにおいて必要となります。知財の戦略構築、出願、侵害警告の対応等、それぞれの場面で支援を受けることができる外部専門家が異なります。まずは、外部専門家に相談してみるとよいでしょう。

 次回に続きます。

【参考文献】
〔1〕特許庁「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006」(H19.3)
〔2〕「戦略的な知的財産管理に向けて「知財戦略事例集」(2007.4特許庁)

 

◆関連解説『技術マネジメントとは』

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