特許権侵害 知財経営の実践(その35)

 

1. 知財の持つ価値 

 知財経営の実践については、その重要性が参考文献のように報告されています。〔1〕〔2〕知財の活用を、企業経営においては、常に意識しましょう。知財経営が有効となるのは、技術が自分の会社の強みとなる場合です。自社の強みを分析してみることが必要です。強みが技術にある場合は、知財戦略を考えてみましょう。

2. 知財経営と特許侵害

 知財経営の基本の一つは、特許網(ポートフォリオ)を構築して他社に対する参入障壁を高めることです。強い特許網を形成すると、競合他社が市場参入は難しいと考えて参入してこないことが多いです。しかし、なかには強い特許網を形成していいても、市場参入してくる場合があります。このような場合は、どのように対応したらよいでしょうか。

 特許権侵害というと、裁判を起こして争うということが思い浮かびます。この訴訟だけでなく法的に対抗する手段があることを知っておきましょう。「訴訟」の他に「判定制度」、「Alternative Dispute Resolution; ADR (裁判外紛争手続き)」があります。特許権の侵害を受ける場合と侵害していると警告される場合の両方の立場から争う戦術も学ぶことが必要です。また実際に争う場合は、専門家に相談しましょう。

3. 知財経営:特許権侵害を争う方法

・民事的解決

 民事的解決方法としては、「訴訟」、「判定制度」、「ADR(裁判外紛争手続き)」があります。最初に侵害の相手方に、警告状を発するのが一般的です。

 警告状を発する前には、相手方の侵害の事実や自分の特許権に「瑕疵」がないかなどを十分に検討する必要があります。この際には、弁護士・弁理士の鑑定書や特許庁の判定制度等を活用することが一般的です。警告を発した場合に、相手方から発明は特許権の侵害でばないと主張をされたり、特許が無効であるとの主張(特許無効審判)を請求されることがあります。自らの持つ特許権の有効性について、再度、確認しておくこが必要です。

・行政の活用

 海外での侵害製...

品に対しては、税関での侵害製品の輸入や輸出の差止の申し立て等の行政処分による保護があります。なお、国内での侵害者の告訴も可能です。この場合、特許庁の判定制度を利用して侵害している根拠とすることもできます。

 次回に続きます。

【参考文献】
〔1〕特許庁「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006」(H19.3)
〔2〕「戦略的な知的財産管理に向けて「知財戦略事例集」(2007.4特許庁)

◆関連解説『技術マネジメントとは』

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